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【2話】「デュクシ・ファンタジー~小学生ノリの俺が最強な世界~」

T「昔は子供だった総ての人に贈る」

〇路上~歩道橋の下
   不良になぐられ、這いつくばるつとむ。
たかし「小学生と遊んでたらしいな?」
けん「なにか問題起きて、もし内申に響いたらどうしてくれるの?」
たかし「俺のスポーツ推薦もな!」

M「そっか、ずっと友達とか……ないんだ」

   つとむ、泣きそうな顔で、ヨロヨロと立ち上がると、
M「でも、あの日々が……なかったことになってほしくない」

   人差し指同士を合わせた。
つとむ「俺たち、しんゆうじゃないのかよ? そんなこと言ったら絶交だぞ!」
たかし・けん「!」

   笑う二人。
   不良達は困惑。
たかし「あったなそれ」
けん「懐かしいですね」
   つとむも笑う。和気あいあい。
つとむ「だろ? 懐かしいよな」

   たかしとけん、つとむの人差し指を握る。
たかし「いいな、絶交しようぜ」
けん「僕たち、しんゆうじゃないし、友達でもないからね」
   人差し指を引きはがそうとする二人。
つとむ「うう……」
   つとむ、涙を流しながら抗う。

けん「君が大人にならないから」
たかし「いつまでもガキだから」
たかし「絶交」
けん「絶交」
   二人の絶交コール。不良達も便乗。

   人差し指がはがされ――あらぬ方へ折られる。
つとむ「あぁぁぁ!!!」
【タイトルロゴ】

〇異世界~草原
   つとむの視界。真っ暗に。

   徐々に景色が見えてくる。広大な草原。
   遠くに洞窟が見える。城も見える。
つとむ「(あぁ、いつもの妄想か)」

   中世ファンタジー世界の草原にポツン。
   鳥が飛んでいる。
   と、鳥が徐々に大きく。
つとむ「おぉ、リアル~」
   徐々に徐々に。
つとむ「ん?」
   近づいて来る。
つとむ「んーー?」
   それは、鳥ではなく魔物。
   襲いかかってくる。激しい風圧。
つとむ「なーーーっ!!!」
   逃げる!

つとむ「ヤバぃ!」
   が、
つとむ「これ現実なんだっ!」
   にやけてしまう。

〇同・洞窟
   洞穴に飛び込む。
   鳥は、通り過ぎていった。
つとむ「助かったぁ……」

〇同・別の草原
つとむ「なんでこんなことに?」
   再び鳥に追われるが、やっぱり嬉しそう。
つとむ「理由はいいや。こんな世界が本当にある! すげぇ!」

つとむ「たかしとけんに教えてやらなきゃ!」
   が、さみしく笑い、
つとむ「……興味ないか」

〇同・別の草原
   前方に村。
つとむ「うぉぉ村だ!」

〇同・村の入り口付近
   と、少年が遊んでいる。
少年「お兄ちゃんだぁれ?」
つとむ「あー、えっと」

つとむ「多分、めちゃくちゃ凄い宇宙の神秘の地底の海のオーラの古代のパワーかなんかが、バーンってなって、ぼくの絶望がドーンってなって、そのバーンとドーンが合わさって、時空がつながった感じで、この世界に来た高校生」

少年「……全然わかんない」
つとむ「わかれよぉ」
少年「遠くから来たってこと?」
つとむ「そう」
少年「すげーや!」
つとむ「だろ?」

   と、村人AB(少年の両親)、来る。
村人A「ミハル、ご飯の時間よ」
   つとむに気づき
村人A「なにその服装、怪しいわね。(村人Bに)ショガセを呼んだ方がいいんじゃない」
村人B「こらこら、失礼だろ」
少年「パパママ! このお兄ちゃんね、すごーく遠くから来たんだって!」
少年「ぼくもいつかすっげー遠くへいってみたいな!」
   と、目を輝かせるが

村人A「そんなこと言っちゃダメでしょ!」
M「え?」
村人B「夢みたいなこと吹き込まないでくれよ。君、大人だろ?」

M「……この世界も、そんな考えなのかよ?」

声「魔物だぁぁぁぁ!」

〇同・村の別の箇所
   魔物が、村を襲っている。
   虎の様な見た目だが、カラフルで巨大な手には爪。

〇同・村の入り口付近
村人B「こっちだ!」
   一同、逃げる。
つとむ「どうするの? 戦う?」
村人B「バカ言うな。何もできん。村を捨てるしかない」
少年「捨てちゃうの?」
   少年、さみしそうに周囲を見る。店。広場。川。

つとむ「……」
   魔物の方へ走り出す。
村人B「どこ行くんだ!?」

〇同・村の中央付近
つとむ「こんな世界に来たんだ!」
つとむ「逃げるなんて! そんなの、つまんないし!」
   落ちていた斧を手に取る。

つとむ「うぉぉぉ」
   と、背後から魔物に切りかかる。

   斧が折れた。
つとむ「……だよねぇ」

   魔物、つとむを睨む。
つとむ「……魔法とかないの?」
   怯える。
   
   と、
誰かの声「あとは任せな!」
つとむ「?」

   出てきた屈強な一団。
村人の声「ショガセが来てくれたぞ!」

   つとむ、一団の姿に驚愕。
つとむ「え? ショガセって――」

   一団。自信満々の表情。
   剣や盾を装備し、鎧を着ているが、下は小学生みたいな短パンとうわばき(名前入り)だ。

つとむ「――小学生?(キョトン)」

   安堵する村人たち。
村人B「ショガセが来たら安心だ」
   が、少年は
少年「カッコわるーい」
   
   ショガセの一人、ニッチョク
うわばきの字「2-1 ニッチョク」
   つとむを追いやり、
ニッチョク「邪魔だ」

つとむ「な、なんなの?」
   スキンヘッドのチョーカイ
うわばきの字「2-1 チョーカイ隊長」
チョーカイ「我々は、国王直属の戦闘部隊。魔物退治の専門家だ」

   一同、素早く散り、魔物を囲う。
チョーカイ「プランAでいくぞ」
   が、
   筋骨隆々で派手髪の男トゲーコ
トゲーコ「隊長、俺に行かせてくれよ」
うわばきの字「2-1 トゲーコ」
トゲーコ「せっかく、いい武器もらったからよ」
   と、取り出したのは、グローブの様な丸い武器。(実は体育着袋)。

   トゲーコ、特攻。
チョーカイ「やれやれ」
チョーカイ「プランEに変更」

   トゲーコのグローブが派手に光る。
   魔物に一撃。
トゲーコ「よっしゃ!」

   周囲からショガセ達、跳びかかる。
   剣が光り、切る。
魔物「ぐぎゃー!」

トゲーコ「俺一人でいいってのに」

つとむ「すげぇ! 魔法だ!」

   ×    ×    ×

   倒れている魔物。

   村人たち、感謝を述べる。
つとむ「ぼくもその力、使いたい!」
トゲーコ「なんだこのガキ?」

   チョーカイ、余裕の笑みで、
チョーカイ「我々の力の源は、イマジネーションだ」
つとむ「すごい!」
チョーカイ「だが、イマジネーションを鍛えるためには、厳しい修行が必要だ」

つとむ「……イマジネーションって、鍛えるものなの?」
つとむ「子供は、みんな持ってるのに?」

ニッチョク「子供だったら、だろ」
ニッチョク「大人になれば失う。だから修行する。当たり前のことだ」

   ショックを受ける、つとむ。
M「この人達も……なんか違う」

   ニッチョク、嫌らしく笑い、
ニッチョク「あー、お前あれか? オムツが取れないガキか?」
ニッチョク「そんな奴はママのおっぱいでも―」

   突如、隊員Aの身体を角が貫く!
   魔物は生きていた!

つとむ「あ……」

   つづく。

#創作大賞2024 #漫画原作部門 #少年漫画 #異世界

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