睡眠の質を左右する「深部体温」
人間には「皮膚温度」と「深部体温」という二つの体温があるそうです。
そして、睡眠に大きくかかわるのが、「深部体温」の方だそうです。
この「深部体温」が下がることで、入眠スイッチが入ります。私には娘が3人いますが、夏の夜、クーラーも付けずに一緒に寝ていると確かに
「パパ、暑くて眠れない。」
と言ってきたことがありました。
子どもは体温が比較的高いので、夏はお風呂も熱がってあまり入りたがりません。よく、「肩までつかって」というのですが、子どもたちはこれを嫌がります。むしろカラスの行水のようにささっと湯船に浸かったらすぐに上がってしまいます。
私の平熱は36.5℃くらいですが、幼稚園の娘たちの平熱は37.2~3℃です。子供たちは代謝が良くて、きっと体温も高いからこそ、私よりも暑がりなのかもしれません。
また、赤ちゃんを育てたことのある人は分かるかもしれませんが、赤ちゃんが眠りそうになると、だっこをしているとぽかぽかと体が熱くなっていると感じます。
あれはまさに、手足から放熱して深部体温を下げている状態なのだそうです。
さて、入眠に大きく関係のある「深部体温」。これを下げるためにはどうしたらよいのでしょうか。
それは、一旦体温を上げることが効果的だそうです。体温が上がれば、その後下げようとする力が働き、深部体温が急降下するそうです。
この急降下したタイミングが、まさに入眠のスイッチが入っている状態なのです。
『スタンフォード式最高の睡眠』の著者であるスタンフォード大学の西野精治教授は、次のように述べています。
40度のお風呂に15分入ると深部体温が0.5度上昇し、90分かけて元に戻ります。そして、ここから入浴しない場合に比べてさらに下がり始めるので、このタイミングでベットに入るとスムーズに入眠できます。
ということで、入眠の90分前、つまり1時間半前に入ることが重要だと言うことが分かります。入眠したい時間から逆算すると、次のようになりますね。
夜21:00(午後9:00)に寝たい場合
21-1.5=19.5 夜19:30くらいに済ませる
夜22:00(午後10:00)に寝たい場合
22―1.5=20.5 夜20:30くらいに済ませる
夜23:00(夜11:00)に寝たい場合
23-1.5=21.5 夜21:30くらいに済ませる
入浴後の時間の「入眠ゴールデンタイム」は90分後ですから、このように逆算すると、意外と早めに入っておくことが大事だということが分かります。
また、西野教授によれば、夏など、部屋が暑い場合は、エアコンは付けっぱなしで、きちんと室温を適度に保っておいた方がよいそうです。
もったいないと思うかもしれませんが、健康を損なう方がもっと不経済であると指摘しています。加齢に伴って、体温調節機能が衰えてくるそうなので、適切にエアコンを活用することは重要のようですね。
子どもが「暑くて眠れない」というのは、まさに入眠にかかわる非常に重要かつ科学的に根拠のあることだったのだと改めて思いました。
参考文献
西野精治(2017)『スタンフォード式最高の睡眠』,サンマーク出版
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