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【つながる旅行記#107】岩木山登山part.4 ~つるつる下山道~

前回は危険な下山ルートを回避し、リフトで降りてきた。

登山者としてどうなんだそれはという気持ちが自分の中にあったのかはわからないが、現在自分はバスで降りるのではなく、こうして再び登山道に入ろうとしている。

普通にこれも未知のルートなわけだが、もう仕方がない。
そういう人間なのだろう。

遠くに集落が見える。
あそこまで歩くのだ。

とはいえ、経験上は歩いていると意外にいけるものだ。
とにかく足を動かそう。

登山道の様子を見るに、雪渓が出てくるような感じではない。
これなら問題なく下山できるだろう。

問題があるといえば、クマが出てきたときくらいか。
今のところ、自分以外の登山者の気配はない。
襲われたら色々大変そうだ。

多分こっち側のルートを選ぶような人は車で上までいくだろうし、わざわざ登山道を使わないのかもしれない。

そういえばこれはブナの木だろうか?

なんだかまた白神山地を味わえているようで嬉しい。

木には不思議な模様のようなものが浮かぶことがあるようだ。

大自然の神秘……!

(自然……?)


いや絶対人工的なやつだわこれ。


なにかの意図があって刻みつけているのだろうか……?
正直、思い出作りの落書きに見えるけど。

ブナの木もまさかこんなことをされるとは思わなかっただろう。

倒れた木の根

かなり降りてきた。

今はクマだけが怖い。

北海道の先輩の話では、「クマが居たらニオイでわかる」とのこと。
よっぽどなニオイがするのだろうか。

!?


そのとき、すごいものが居た。(人によっては注意


でっかいナメクジだ。

最初は卵か何かだと思ったが、どこかで聞いた覚えがあった。
山にはでかいナメクジがいると。

まあ毒もないしゆっくり這いずるだけなのでOKとしよう。


なんだか山に入ると生物への判断基準が変わるのを感じる。

普段の生活ではちょっとした昆虫ですら忌避する自分だが、
山に入ると危害を加えてくる虫以外は許せるようになるのだ。

自分は山に入らせてもらっている客のようなものだと感じているからなのか、ある意味で諦めの境地なのかはわからないが、不思議なものだ。

(ちなみに山を降りると元の価値観に戻る)

しかしあんなでかいナメクジは初めて見たなあ。

やはり新しい発見があって山登りはおもしろ……

ズルッ!!(滑る音)


滑った

めっちゃ滑った。

これは気が抜けてきている証拠だ。
下山のときはこういうことに気をつけなければならない。

よく見ると地面はよく滑る泥のようなものに変わってきていた。

そりゃこの湿気ならナメクジにとっては素晴らしい環境だろうな……。

と、そんなことを考えていると、またナメクジがいた。

こ、これは……!!


貴重な交尾シーンはともかく、どんどん降りていく。

なんかもうこういう細い道に突然クマが出てきそうで怖い。

そんな恐怖を感じながら降りていくと……

稲荷神社があった。

こういう人工物があると安心感がある。
もう人里はすぐそこだろう。

下山完了!!


時刻は15時くらい。
登り始めが朝の8時だったので、休憩を含めて7時間といったところか。

リフトを使ってなかったらどうなっていたのやらだ。

看板を見ると、あの稲荷神社は温泉を見つけるきっかけになったキツネのために作られたらしい。

建物には建てられる理由がちゃんとあるのだ。

いやーしかし、生きて帰れて良かった!


雪渓にはどうなることかと思ったが、アイゼンをザックにしのばせた過去の自分と、山のリフトを整備してくれた方々に感謝しよう。

これからは別ルートもしっかり確認しておかないとな……。


さて、ではこの辺りを散策しよう。

登山の達成感と緊張のあとの、この弛緩タイムがまた良いのだ。

ここは嶽温泉(だけおんせん)というらしい。

登山を開始した岩木山神社から西に行ったところにある。

というか何か食べよう。
もうなんでもいい。

失ったカロリーを補給完了。

では、バスが来るまでぶらぶらしよう。

良い登山だったな……。



ホテルに戻り、シャワーを浴びた。

窓には雲に覆われた岩木山が見える。


信じがたいが、ついさっきまであの山頂に居たのだ。

再び湧き上がる満足感。

この感覚をこれからも味わっていきたいと思った。


そんな感じで次回へ続く…


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