愛想笑いしてないんだけどな…
「お前ってほんとに愛想笑い上手いよな!!」
なにかの課外授業のときに、クラスメイトにいきなり言われたセリフだ。
たしか小学校の頃だったと思う。
そう、自分は愛想笑いが上手い……わけがない。
そもそも小学校の頃の自分は、「愛想笑いで人間関係を円滑にしよう」と考えられるような知能が存在しないのだ。
当時の自分の頭の中にあるのはゲームのことだけである。
なのでそう言われたときは本当に驚いた。
他人からはそんな風に見えてるんだなあと。
……どうしようもないなと。
「学校は勉強だけでなくコミュニケーションを学ぶ場所だ」なんて意見があるが、たしかに学校生活はそういう面があったなと今になって思う。
友達の友達との対立だったり、
なんかヤバい人間との出会いがあったり、
先生同士の派閥争いがあったり……
ああいうのは確かに社会に出たときに役立ったような気がする。
自分はそんなにコミュニケーション重視な学校生活は送っていなかったが、それでも大事だったと思うのだから、本当に意味はあるのだろう。
動画やAI教師に勉強だけ教わっても、学校で集団生活をしなければ何かが欠落するというのはありえそうだ。
そんな学校生活で今でもよく思い出すのが、過去に記事で触れた倍速再生を朝の時間に始めた担任の先生のこと。
もう本当に、人生で一番最高の先生だった。
授業もめちゃくちゃわかりやすく、生徒のことをしっかり考えてくれていて、何かと最新の情報を授業に取り入れてくれていた。
あとは、出席日数が足りなくなりそうな自分のために玄関で待ってくれていたり……
……いや、これは思い出すのはやめておこう。黒歴史だ。
だが、そんな最高の先生に対してすら、「なんか気に入らねぇ…!」と言って嫌っているクラスメイトが居たのである。
自分はそれを知ってかなり衝撃を受けた。
たしか嫌っている理由は「外見」だったりとか、なんだか必死に理由を寄せ集めたような残念なものだったと思うが、あれで「どんなに素晴らしい人でも全員から好かれるのは無理」というのを理解できた気がする。
嫌うことが目的の人間は、どんな聖人相手でも嫌う理由を探すものなのだ。
そうだ、最初に述べた「自分に対していきなり悪口を言ったクラスメイトの話」には続きがある。
のちに……といっても3年以上経ってからだと思うが、彼がそんな事を言っていた理由がわかったのだ。
どうも彼は、自分がそのとき偶然話していた女の子のことが好きだったらしい。
彼はあのとき、思いを寄せる女の子と普通に会話する自分に嫉妬していたのである。
自分を愛想笑い野郎認定したのも、その女の子の前で自分の評価を下げようとした行動だったのだ。(すごい闘争心だな…)
そして彼はそのあとに、「お前って〇〇(その女の子)のこと好きだもんな~!!」という発言をした。
これは彼が行った、その女の子をどう思っているかのチェックである。
自分が恋愛のライバルなのかどうかを知りたかったのだろう。
だが当時の自分の知能では、もちろんそんなことは理解できない。
正直なところ、その女の子は自分にとってただのクラスメイトでしかなかったのだが、良い子だったし別に嫌いというわけでもなかった。
そしてなにより、普段そんなに会話もしたことがない彼からの突然の攻勢に、自分は混乱していたらしい。
そう、ぶっちゃけ会話を早いとこ打ち切りたかったのだ。
「あはは……そうだね^^;」と自分は答えた。(たぶん)
愛想笑い野郎発言への反論もせず、女の子への好意も否定せず、流した。
いやまあ全然流せてないんだけども。
致命的なんだけども。
この答えを聞いた彼の心境たるや、どんなものだったのだろうか……。
職場の後輩に、「aosagiさんって他人に興味無いですよね」と言われたのが未だに心に突き刺さっているが、こりゃ小学校時代は更にヤバそうである。
というか今気づいたが、よくその女の子の前でこんな答えを言えたもんだ。
昔の自分、心死んでるんじゃないのか?
女の子への配慮がゼロである。
本気で対人関係において、何も考えていない……!
こうして昔を思い出すと、自分はもう少し学校でコミュニケーションを学ぶべきだったのかもしれない。
思えば、他にもテキトーな返答や態度で関係性が途切れたことがめっちゃ思い浮かぶ。
もはや手遅れとはいえ、なんてもったいないことを……。
そんな悪口を言っていた彼も、今は医者である。
あの闘争心は見事受験に活かされたわけだ。
もし友達になれていたら、すごく頼りになっただろうなあ……。
いや、こういう友人への考え方はあんまりよくないか。
RPGで言えば、もうあのイベントは失敗してしまったのだ。
せめて今後は失敗しないようにしよう。
今日はやけに、ノスタルジックな気分だな……。
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