某グローバル企業のIaaSサービス

クラウドサービスは多々ありますが、システムを動かす基盤(サーバ等)をクラウドで提供するサービスをIaaSと言います。
有名なところで、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure(Azure)、Google Cloud Platform(GCP)があります。サーバーでいうとIAサーバ系のサービスですね。

某グローバル企業(以降A社と書きます)も、IaaSのサービスを提供しておりますが、もともと他のグローバル企業に後れを取っていたためか、大手IaaS会社を買収して自社サービスとして、サービス提供を開始した経緯があります。

私は、色々な経緯からサービスが提供されて日本ではそんなに実績がない、A社のIaaSサービスを一部のシステムで利用する事になりました。今から10年ほど前の2014年ぐらいの話です。

当たり前ですが、グローバルでサービスを展開しており、サービスを利用できる拠点は世界中にあり、自分の利用したいリージョンを選択してサーバを利用していきます。私が利用していた時は、まだ日本は選択肢にはありませんでした。たしか米国のある拠点が一番日本と通信性が良かったのでその拠点を利用していた気がします。もちろん日本語の対応はありません。そのサービスはたしか当時、複数のリージョンを利用する場合リージョン間のデータ通信を同サービスのバックボーン回線を利用すれば、通信費が無料という優位点を持っていたと思います。

同IaaSサービスに社内のサーバと連携をするために、社内のネットワークと同社のIaaS環境へVPNで接続するには機器の相性問題があり、一癖も二癖もあり、なかなか難しかったと思います(IaaSのサポートに問い合わせても、A社の日本法人に問い合わせても解決できない)。まあ当たり前ですが、WEBからサーバへのアクセスは、容易でした。

サービスを利用して、このIaaSサービスは自動化されておらず、人力でサービスを提供をしているのではと感じました。
通常、IaaSのサービスを利用して、各種の利用設定や申請をしたら、自動化されていて、人をかえすことなく自動で変更や新規作成作業が行われると思いますが、このA社のIaaSのサービスは、絶対に人が動いて作成や変更作業、機器の設置を行っているとしか考えられませんでした。
何分後に作業完了という時間が表示されていますが、申請があると人がアサインされて、その時間内に人が人力で作業をしていると思われます。A社もサービスのサポート窓口も人力でやっている事は言ってきませんが、トラブル時などにサポートへの問い合わせなどをして、その回答からもひしひしとこれは人力で作業をしているなと感じました。

システムメンテナンスでサーバが止められることは、多々ありました。定期メンテナンスもそうですし、緊急メンテナンスもかなりありました。サポート時間はシステムの利用時間などを考慮してくれません。パブリッククラウドであり、さらに海外のサービスの為、日本の日中に停止される事も普通です。
また、サポートから案内される停止予定時間はあてになりません。停止予定時間がすぎても作業完了の連絡はありません。問い合わせをしたところ、停止予定時間を過ぎてサーバに接続できても、メンテナンス終了の案内が出ないと、再度停止する恐れがあるとサポート窓口は回答をしてきます。あまりにも遅いので、個々のサーバのメンテンス状況を問い合わせても回答はくれません。停止予定時間を12時間超えても、普通にそのような回答をしてきます。実際にはサーバが利用できるようになれば、そのサーバのメンテンナンスは終わっており、停止されることはありませんでした。結局停止予定時間を大きく経過してから、メンテナンス終了連絡が届きました。この嘘のメンテナンス予告時間のせいで、休日が2日間台無しにさせられた事を覚えています。

また、ある時は1月1日の早朝に、サーバーを落とされました。えぇ起こされましたよ。とても良い1年の始まりです。そして対応とサーバ上の利用者へのお詫びをしましたよ。停止された時間は2時間程度でしたが、サポートに問い合わせても、原因はよくわかりませんでした。そのA社のサービスだけかもしれませんが海外のサポートは本当に適当です。

さらにある時、サーバがいきなり停止する事がありました。そのサーバは専用の契約をしていたので、私たちしか利用者がいないサーバです。まずは、問題解決のために、サポートに連絡をして対応を依頼しました。サーバーが復旧すると、こちらもログなどを確認しました。こちらからはサポートに報告書を出す様に依頼をしました。

サポートから報告書が送られてきましたが、内容にとても驚きました。
サーバーラックの前に物を置いており、サーバが冷たい空気の吸気と廃熱が出来なくなってサーバが落ちたとの報告でした。ご丁寧にサーバラックの前に物が置いてある写真がついていました。物を片付けたので、問題は解決したとの事です。社内の担当者間で衝撃が走りました。こんなバカな運用をしているとは、日本では考えられない事です。
また、海外の技術者はなんて正直な人達なんだろうと、変な意味で感心しました。日本では考えられない問題ですし、もしそのような問題が発生した場合、報告をする場合、色々考えて報告を行います。
本当に、このサービスを提供している海外の技術者は正直者なのだと思いました。また、運用をしている人達はマニュアル通りの対応者で、とりあえずマニュアル通りすればよいと言う考えで、常識が通用しない馬鹿な人達なんだなと思いました。マニュアル通りできる人を安く雇い、海外はそれが普通なのかもしれません(このような対応をする人達でも、エンジニアなので日本に比べて高給取りかもしれません)。

さて、その後ですが、日本のA社(日本法人)に即クレームを入れました。A社はすでにサポートから報告書が出ているにも関わらず、そのような事実は無いとしらばっくれて、別の報告書を持ってきました。まぁそうですよね。サーバの前に物を置いている事もありえませんが、それでサーバを落として何も問題が無いと考える海外の対応は日本人には理解ができません(ただし、先ほど記述した通り、こちらはサポート窓口から正式文書で物が置いてある写真付きの報告書をもらっています)。
A社としても、海外にある本社が買収した会社のサービスを、自社のサービスとして提供をしているので、所詮日本法人であるA社にはなんら、サービス提供者側のコントロールが出来ていないみたいです。A社は本社が推進しているので販売をしており、日本法人にサポート担当者はいるけれど期待できないし、日本法人のサポートは役に立たない(日本のサポート担当者も提供元のIaaSサービス部門・会社に問い合わせをしているに過ぎない。いわば第3者の立場で根本原因は日本法人のA社には分からない。結局IaaSのサービス窓口の回答が正である)。

そんなサービスを使わせるなよ。と思いました。

そんなことがあってから10年ほど経過した今はA社のそのIaaSサービス名称は無くなり、名称を変えて別のサービスとしてIaaSを提供しています。A社はある部門を他社に売却したり、ある部門が独立したりして、会社がバラバラになっています。グローバル企業と言えば、今日でいえば、vmwareのEMCからDELLへの売却、その後のBroadcom買収後、製品毎に会社がバラバラになるなど、やはりグローバル企業は怖いですね。今はどのようにA社がサービスを提供しているのか私にはわかりませんが、自動化を進めて、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure(Azure)、Google Cloud Platform(GCP)と戦えるサービスとなったのかな?サービス提供当時は地下鉄でよく広告の動画を流しており、利用者の大企業の上層部の方が「素晴らしい」など言う内容でしたが、騙されて導入してしまった企業のシステム担当している人は地獄を見ているだろうなと思っていました。
もしIAサーバ系のIaaSを利用するのであれば、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure(Azure)のどちらかをお勧めします。

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