セキララ
[まえがき]
正直、この記事を書き終えた後公開するか悩んだ。
あまりにも人に言えないような過去を書いてしまったから。
この記事はもしかすると『繭の家』公演後(配信後)かそれより前に非公開にすると思う。
そしてこの記事は稽古中盤(3月初旬ごろ)に書き始めた。
現在より少し前の事柄として読んでいただけると幸いである。
🏯昨年参加したタテヨコ企画『橋の上で』の過去記事はコチラ。
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僕は今、『繭の家』という作品をタテヨコ企画の皆さんをはじめとする、素敵な座組の皆さんと日々捜索している。
あ、誤字った。
いや、あながち間違いではない気がする。
青木柳葉魚氏が執筆したあの世界をどう立体化させるか日々皆んなで色んな正解を捜索し、創作している。
「ひきこもり問題」という大きな社会問題を題材にした作品ということもあって、皆責任を持って、身が引き締まる稽古の日々。
そして、僕個人は今迷路を彷徨っている。
たぶん、今の自分にとってのベストな正解まであと一歩のところまできている気がしている。
先日の初通しで光が見え始めた。
今回僕がいただいた役は、ひきこもり当事者の青年である。
この青年は、平凡な僕にとっては想像を絶する経験と問題を幼い頃から幾つも抱えている。
台本を貰った日から、演じられるだろうかと僕は頭を抱えていた。
「役柄と自分の共通点を探すこと」
これは、僕にお芝居を教えてくれた恩師の教えである。
この教えには今まで数々の作品で救われてきた。
僕とこの青年の共通点とは。。。。
実は案外早くにそれは見つかった。
それというのは、「他人に期待をしすぎないこと」だ。
他人は必ず裏切るから。
大人も子供も関係なく、人間は自分が一番大事な存在だから、利害によって敵や味方に直ぐ裏返る。
皆、自分視点だからね。
彼らに裏切ったつもりはないの。
それでも期待したくなっちゃう気持ちも分かるけど。
言い方を変えれば「裏切られた経験」というのが、僕と青年を繋ぐ唯一の共通点だった。
僕は、小学6年の頃から中学卒業までの約4年間、陰湿ないじめの対象だった。
僕が通っていた小中学校はやんちゃな人が多くて、いじめが珍しくない空間だった。
いじめられることはなくとも、その事象を目撃することは少なからずあった。
それでもいざ自分がその対象になった瞬間、いったい何が起こっているのか理解が追いつかなかった。
その日は急に訪れる。
どこで何をしていても汚物のような扱いをされ、基本口は聞いてもらえず、口を開けば罵詈雑言や嘘まみれの噂を流される毎日。
それを見て離れていくかつての友人たち。
当時は、自分が何をしたのかと真剣に考えたりもしたけどあるとき考えることをやめた。
あの人たちにとって僕である理由などないことに気がついたから。
ただの暇つぶし、八つ当たりの対象がたまたま僕であったということに。
正直面倒で、しょうもないしいつか飽きるだろうと思ってたけど、学生である自分にとって社会そのものの学校で毎日その扱いを受けることは苦痛以外の何物でもなかった。
何よりも辛かったのが友人の「裏切り」だった。
友達ってその程度だったのかと。
もちろん、全員が離れていったわけではなかった。
何事もなかったかのように一緒にいてくれた友人もいた。
彼らは今でも付き合いのある親友になった。
彼らに悪影響を及ばさないように、いじめっ子たちに見えるところではあまり一緒にいないように心がけた。
その時培った注意力は、空間把握だったり聴覚嗅覚の良さに繋がっていて、今の俳優の能力として皮肉にも活かされている気がする。
今回演じる青年との共通点はここにある。
対人関係に関してとても敏感になるのだ。
それも、発育過程に経験するとそれは後遺症のようにつきまとう。
あの青年もそうなのだろうと他人事には思えなくなっていた。
あのとき、両親にいじめられていることを知られるのが嫌じゃなかったら。自室があったら。僕は確実に引きこもっていたと思う。
その上、あの青年は両親からの抑圧もあったから家でさえ安息を感じることはできなかったかと思うと想像を絶する日々の渦中だっただろう。
拠り所がない人生。
その中で、劇中さまざまな事象が巻き起こり彼を襲う。
これを書いていてまた少し彼に近づけたような気がする。
今作『繭の家』では、この青年の幼少期から大人までの姿を演じる。
作中、彼とどれほどリンクできるか、僕自身怖くて楽しみである。
そして、タテヨコ企画主宰の舘智子さんも同じくひきもこりを演じる。
彼女が演じるのはまた違う圧によるひきこもりだ。
ひきこもりの要因はひとつに限られず、数多の事例がある。
年齢も関係ない。
もしかすると、今を生きる我々も今日明日に突然社会と遮断したくなるかもしれない。
我々とは切っても切り離せない問題なのだ。
そしてそれを支援する人たちも存在する。
今作は、支援する団体を起点にふたりのひきこもりと家族とで問題に向き合う物語である。
3月27日から開幕される『繭の家』。
ぜひ劇場で生で感じて、演劇というエンターテインメントとして楽しんで欲しい。
🏠ご予約はコチラから可能です。
公演情報とトリガーアラート、配信の詳細を下記にまとめております。
⭐️公演詳細
タテヨコ企画第45回公演
●タイトル:「繭の家」
●作・演出:青木柳葉魚
●キャスト:
あさ朝子
舘智子
西山竜一
久行志乃ぶ
ミレナ
(以上タテヨコ企画)
坂本容志枝(よなよな)
椎名茸ノ介
谷口継夏
林竜三
森啓一朗(東京タンバリン)
リサリーサ(劇26.25団)
●スタッフ:
舞台美術/濱崎賢二(青年団)
照明/中佐真梨香(空間企画)
音響/おにぎり海人(かまどキッチン)
宣伝美術/水主川緑
チラシ写真/神山靖弘
制作/三國谷花(舞台芸術創造機関SAI)
タテヨコ企画制作部
製作/タテヨコ企画
The other members/
大塚あかね加藤和彦
舘野完
ちゅうり
服部健太郎
向原徹
遊佐絵里
好宮温太郎
主宰/横田修
協力/
(株)アートエンターテイメント
sanpodouraku
(株)ナノスクエア
(株)バウムアンドクーヘン
放映新社
●公演日程
2024年3月27日(水)〜31日(日)
全7ステージ
3月27日(水)19:00☆
28日(木)14:00☆/19:00☆
29日(金)19:00☆
30日(土)14:00/18:00
31日(日)14:00◎
※受付開始は開演の1時間前、開場は開演の30分前
※◎=ママ・パパ観劇day(小さなお子様をお預かりいたします)
※☆=ウィークデー割引
●会場
シアター風姿花伝
〒161-0032 新宿区中落合2-1-10 03-3954-3355
http://fuusikaden.sakura.ne.jp/
●料金: 前売/4,200円(日時指定・全席自由) 当日/4,500円
ウィークデー割引/4,000円 小・中・高校生/1,500円
U25(25歳以下)/2,500円 シルバー割引(65歳以上)/4,000円
配信/2,800円
*未就学児童の入場はお断りさせていただきます。
□ママ・パパ観劇day
小さなお子さまを、上演中責任を持ってお預りします。安心して観劇をお楽しみ下さい。
*定員になり次第締め切らせていただきますので、必ず事前にお問い合わせ下さい。
◆お申し込み イベント託児・マザーズ 0120-788-222
(お申込受付:月〜金曜 10:00~12:00 13:00~17:00)
日時:3月31日(日)14時の回
料金:¥500(チケット料金別)
●前売開始日
2024年2月27日(火)
●問合せ先:タテヨコ企画
(03-5384-0250 ・ information@tateyoko.com )
●配信サービスを行います。
詳細はタテヨコ企画HPまたはSNSにて。
□キャッチフレーズ
<キャッチA>
手をのばす。そこは誰かの世界。
<キャッチB>
まゆ【繭】
活動が停止または鈍い活動状態にある動物を包み込んで保護する覆い。
□ものがたり
S市役所生活福祉課・一ノ瀬瑠佳は暗澹たる気持ちであった。
辞めようか辞めたい辞めてやる。そう思いながら働く疲労困憊の日々。
そんな彼女に新たに課せられたのは、ひきこもり支援業務だった。
フリーライター・福井薫子は今日も走り続けていた。
長期ひきこもりの支援活動のため、日々数件の家庭を訪問し当事者と関係を築こうとしているのだ。
ひきこもり相談の方が本業よりも忙しいのが気にかかるところではあるが。
研修として行動を共にすることになった瑠佳と薫子。
二人が訪れる先にあったのは、繭の家だった。
⚠️トリガーアラート
「苦手な表現」へのご注意
『繭の家』は「ひきこもり」を題材とした作品であり、登場する家族や支援員たちのやりとりには以下の描写・表現を含みます。
暴力描写、イジメ描写、DV描写、心理的なホラー描写、身体的暴力の無いケンカ・大きな声での言い争い、暗転(完全な暗闇)・薄暗いシーンの継続、大きな音量での楽曲使用
ご予約・ご観劇いただく際にご検討ください。
その他、ご不明な点・ご懸念がおありの方は劇団までお問合せください。
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