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プレーパークと、こどもたちが羽ばたく自由について

プレーパークという施設をご存知だろうか。全てにおいて安全と安心が求められる現代社会における、子供たちのオアシスがそこにはあった。自宅からわずか10分でたどり着く、現代の特異空間について、こちらの記事で解説したい。

組織概要はオフィシャルサイトを見ていただくのが一番だ。具体的な様子は、こちらの写真を見るのがわかりやすいだろう。

プレーパーク世田谷事務所
世田谷区公園内にあり、なんと4m近い屋根に「登れる」のだ

少年少女であったあなたが、かつて夢見た秘密基地、それがもっとも正確な表現だろう。おおよそこの現代日本から排除されそうな構造物が、公園の一角を占めているのだ。

滑り台、中は迷路になっている
これも結構な高さがある

他にも、本物のノコギリや釘とハンマーなど、大人が危なくて触らせたがらないが、子供が触りたくてたまらないもので満ち溢れた場所、それがプレーパークだ。

作業台手前のノコギリハンマーコーナー
道具一本一本に名前がついている

ノコギリのコーナーには、本物のノコギリ、切っても良い端材、そして本物の釘とハンマーが置かれている。あわてて、大はしゃぎでノコギリを振り回そうとする手をつかみ、二人でノコギリで端材を切り終わる頃には、飽きた息子は横の滑り台に走って行く。

いずれの遊具も、職員とボランティアが自作しているものであり、手すりのような生やさしいものは存在しない。まだ小さい私の息子は懸命に端を掴んでよじのぼるが、親心にはトゲが刺さらないか気になって仕方がない。しかし、子供心を思い出そう、あなたが4歳の少年の頃、こんな滑り台を見て登らずにいられただろうか。そんなニブい人間では無かったのだ、私も、息子も。

極め付けは、焚き火である。なんと、公園の中で焚き火が許されているのだ。かつては火の中に突撃しようとしていた息子も、今や恐る恐る団扇で火を煽ることを覚えた。火遊びほど、許されざる楽しさがあった遊びがあっただろうか。

あらゆるリスクが回避される現代において、極めて得難い「ちょっと危ない」場所がここにはある。また、この空間で賑わう遊具は大物だけではない。

回せベーゴマ、プライドをかけて

ベイゴマを回した経験はお持ちだろうか?プラスチックの機械で回すあれではなく、本物の鉄の鋳型で作られるモノである。恐らくわたしたちの親世代では皆が遊んでいたモノかもしれないが、今遊んでいる子供たちを見るのはまれでは無かろうか。

あの手のおもちゃは、その面白さが「他の子と遊べるか否か」に左右されるため、遊び場と、一緒に競う友人が無ければ、盛り上がることは難しい。

そして、その遊び場が設置されているのだ。ちなみにベイゴマは買っても良いし、貸し出し用も無造作に置いてある。

ベーゴマバトルフィールド
年に一度、大会が行われるという、優勝者は張り出してくれる

「事故にあう危険性」をおおむね葬り去った現代日本社会、その効果はめざましかった。子供たちが不慮の事故で命を落とす件数は、35年間で十分の一にまで減少している。そして、わたしたちの子供たちは、はるかに安全と安心に満ちた環境で育つこととなった。

消費者庁サイトより、わたしたちの社会は、わたしたちが子どもの頃よりはるかに安全・安心だ
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/2018/white_paper_124.html

だが、その圧倒的なメリットの裏で、危険と見なされた遊具は撤去され、ちょっとしたボール遊びすらできなくなった公園など、子供たちが育まれる環境として最適か、という点については、考慮から漏れてしまっていたのでは無いだろうか?

もちろん、事故で命を落とすより、そんな危険を一切排除して生きる方が良いかもしれない。しかし、事故が起きるかもしれないヒヤヒヤした感覚を、体験することが無いまま子供が育ってしまうこと。それは、生きる上での重要な経験の欠落では無いだろうか。

そのオルタナティブとして、プレーパークはわたしたちの町に存在している。
「禁止事項ばかりになってしまった事への反省と、子どもが豊かに生きていくために地域のみんなが力を合わせて」

利用者に向けたメッセージ
地に足を付けた市民運動の結実を、わたしたちは享受している


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