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言葉では表せない感情と日記

○映画『インサイドヘッド2』が公開中です。私はこの夏に「2」を観ましたが、できれば「1」も観てほしいです。

○この物語の「1」では、悲しみを悲しみとして受けとめることの大切さが表現されています。「2」では、思春期の入口に立った主人公のライリーが、それまでのライリーの持っていた言葉では表せない感情を抱き、思い悩むさまがえがかれています。

○物語のポイントは、【言葉では表せない感情】です。思春期はこの【言葉では表せない感情】に思いなやんだり、とりあえずの言葉を与えたりする時期だと、私は考えています。

○映画の中では、感情には意味があり、「いかりや悲しみなど、ネガティブな感情を抱いた自分も、自分の大切な一部なんだ」と、主人公がだんだんと感情を受け止めていく様子が表されています。また、感情を受け止める家族や友達といった「他者」が重要である場面も多く登場します。これらは「ネガティブな感情の社会化」という心理学とか教育学の重要なテーマでもあります。以下の大河原先生の本がとても参考になります。

○私が人に日記を書くことをすすめているのは、「書くこと」が自分の感情に気づいたり、言葉では表せない感情にとりあえずの言葉を与えてみたり、感情の意味を考えたりする機会になるからです。この「note」もそういった一面がありそうです。記事を読んでくれる人がいることが嬉しい、という感情に気づけたのもnoteのおかげです。

○もちろん日記を書くことだけでなく、「話すこと」でも自分の感情やその意味に気づくことができます。でも、「話す」ためには聞き手が必要で、しかもその聞き手がしっかりと自分の話を受け止めてくれないと、よい対話にはなりません。あなた自身が職場の仲間や友人、家族のよい聞き手になることができれば、心のふかいところで共感し合える関係に発展していくはずです。

○一方で、「書くこと」では、書いたものの最初の読み手はあなた自身です。日記に表現された自分との対話の中で感情に気付いたり、感情に意味を与えたりすることができます。心のふかいところで、自分に共感できる・・・そんな瞬間も訪れるかもしれません。

○日記を書く際に大切にしたいことは「事実」「感情」「意味や価値」です。まずは事実をありのままにとらえ、うそを書かないこと。自分のそのときの感覚でとらえた事実をよく思い出して書きます。そこにどんな感情が生まれるのか。言葉にならない感情の場合は、その気持ちをそのまま書きます。そして、その感情になったのは自分が何を求めているからなのか、どんな願いがあるからなのか、といった意味や価値を考えて書いていきます。【感情には意味がある。】と考え、書くのです。感情には人が人らしく生きるための意味や役割がある、というのが映画インサイドヘッドの主題でもあると考えています。

○私は15年以上、教師として仕事をしてきました。教師の仕事には、子どもたちが自分と対話ができるような手助けをする役目がある、と私は思っています。なので、教師になってからずっと日記指導を続けてきました。

○教師が子どもの作文にコメントをいれることを「赤ペン」とよく言います。通信教育の世界には「赤ペン先生」という言葉もあります。最近は子どもたちが一人一台端末を使って(パソコン)で日記を書くこともあるので、その場合は赤ペンではなく、「赤レス」とか「赤打ち」という言葉になるのでしょうか。

○子どもたちの日記や作文を、私が子どもだったころのことを思い出しながら読んで、対話の手助けになるようなコメントを返しています。が、忙しいときや時間のないときは、「見ました」というハンコだけになってしまうこともあります。それでも、しっかり読んで、子どもたちが日記を書くことを続けたいと思えるよう励ましています。

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