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生き方を考える〜「帰ろう」藤井風〜

この曲を初めて聴いた時に、「人の死」について歌っていることがすぐにわかった。
「人の死」という重たいテーマに、私は、少し気が重くなりながらも曲を聴き続けた。
そして、曲を聴き終えた時、今さっきまで「人の死」がテーマだと思っていた曲が「人の生き方」というテーマでも歌っていることに気がついた。

この曲の中では、「人の死」というのは「人の生き方」を考えさせるキッカケだと感じたからだ。

そう感じた理由は、この曲が最後の一行以外は「亡くした誰か」に対して歌っているのではなく「亡くなった自分」という主観的な立場で「人の死」を描いている点にある。

「亡くなった自分」なんて、想像もしなかった。

日々の生活が、ずっとこの先も続いていくとしか想像していなかった。
しかし、日々の生活が進むと同時に身体は老い、いずれは死んでしまう。
「人は生まれると同時に死ぬことが決まっている。」
そんな当たり前のことなのに、死ぬことを受け入れては生きていないことに、この曲を聴き、気がついた。

そして、この曲の中で、いずれが来た「亡くなった自分」は「人の生き方」を自分の人生の振り返りながら教えてくれる。

憎しみあいの果てに何が生まれるの
わたし、わたしが先に 忘れよう

この歌詞を聴き、はっと気づかされた。
生きているなかで、誰かの不快な行動で、その誰かを恨んだり嫌ったりしていた。

しかし、その気持ちを持ち続けて人生を終えた時、何が残っているのだろうか。何が生まれるのだろうか。
きっと、憎しみの先は憎しみしかなく、限られた人生を憎しみという感情に身を落すことしかできない。
そして、その感情は人生の終わりと共に消えてしまう運命であるということに気付かされる。

あぁ、そんな感情を持っていても意味がないんだな。

「亡くなった自分」を想像しなければ気づけなかったことだと思った。

感情が人生の終わりと共に消えてしまうなら、いっそ感情が消えるまでの間、幸せな感情をたくさん感じて生きていようとも思った。

そして、この曲は最後の一行で、この曲の伝えたかったことを伝えている。

あぁ、今日からどう生きてこう

「人の死」というのは「人の生き方」を考えさせるキッカケなんだと思った。

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