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【cinema】サミット

2017年84本目。ラテンビート映画祭5本目。

私がもし、この映画のキャッチコピーをつけるとしたら、コレだ。

––––我こそが何かを動かしていると信じている人は、今すぐ己の足下を見た方がいい。あなた自身が誰かの駒かもしれない––––

舞台はチリの雪山に囲まれたリゾート地。南米首脳会談に出席したアルゼンチン大統領ブランコは、政治の重大な決断と家族の問題の間で苦悩する…。2017年のカンヌ国際映画祭ある視点部門出品作。アルゼンチンの名優リカルド・ダリンはじめ、『私が、生きる肌』のエレナ・アナヤ、『グロリアの青春』のパウリナ・ガルシア等、各国のスター俳優が勢ぞろいした本格的社会派サスペンス。(ラテンビート映画祭公式サイトより転記)

中南米各国の思惑が交錯すると共に「普通の人」と揶揄もされるアルゼンチン大統領の「真の顔」に迫りながら、交渉が続く。仕切っている、操っている、動かしていると自負している人達こそ実は誰かの駒でしかないってことを思い知らされた。そして、「何もない」「清廉潔白」「フツー」と言われる人こそ何かを抱えていたり、それを見せずにいるってことも。(いや、本当になーんにも考えてない人も中にはいるよ…)

面白いのは、このリカルド・ダリン扮するアルゼンチン大統領ブランコが過去に犯したであろう家族の中での事件が(一部の人間に)明るみになっていくのとサミットの交渉がいい塩梅に同時進行して、絶妙なサスペンスになっていることです。中南米諸国の立ち位置なんかも見えて、そういうのが好きな方には堪らないと思います。エレナ・アナヤは各国首脳にインタビューを行う記者なんですが、彼女は気づくんですね、彼だけがある問いに哲学者の言葉を引用してきたと。(ここの記憶が曖昧で、社会学者だったか何だったか)「フツーの人」がそんなことをするだろうかと。

以前にもイタリア映画で「告解」という先進国財務首脳会談が舞台になったものを見ましたが、サミットというのは、これらの映画がとりあげている以上にサスペンスフルで、熱い闘いの場なんでしょう。ニュースで流れるのは、決まってトップ画のように、各国首脳が並んで笑顔で写真に写っているシーンだったりしますが。

それと、中南米諸国の議題に常に介入してくるのは、かの大国アメリカです。そして、このアメリカまでも「駒」でしかない。それがわかっていくのがまた面白くて。しかもアメリカの交渉人として出てくるのが、クリスチャン・スレーター!わお!久しぶり!オッサンになったね、という感じで、別のところでもにまにましてしまった。

↑クリスチャン・スレーター。まぁあんまり変わってないか。私にとっては彼を久しぶりに見て。こんな映画に出てるのね、と。

どうやってこのレビューを締めくくろうかと迷いに迷って、でも月並みな言葉になりますが、是非一般公開を!もう一度見て、やっぱり考えたい。超スペクタクルエンターテイメントを期待する方には合わないですが、極上のドラマです。

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