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こどものつぶやき。

私が通っていた幼稚園では、園児一人ひとりが、日常生活の中で、何気なく言葉にしたことを、親か先生が聞きとって、それらが「こどものつぶやき」という冊子になって、毎年配られていた。

たとえば、こんなもの。
母「りえちゃん、一目散に走ってきたねぇ」
りえ「いちもくさんってだぁれ?」

他にはこんなの。
(先生の手をつなごうとする子たちが何人もいる中で)
ケイコ「こっちの手は、ケイコのだった!」

あと、コレは私が年長組のとき…
(職員室で)「せんせいたちってパジャマで来てるの?」

本当に何気ない日常を、親や先生が見守ってくれて、切り取ってくれていたんだなと思う。

そんな中で、私自身が年中組のときに呟いて、今でも、自分でもその言葉を発したシチュエーションを時折思い出すことがあります。

「ママがおばあさんになったらかわいそうだから、私はお母さんにならないの」

ピアノの練習をしていて、ふとそんなことを考えて、涙を流しながら、そう呟いたんです。何でそんなことを突然考えたのかもわからない。けれど、すごく悲しくなって、言ってしまったのを覚えています。母からしたら、笑えるポイントでしかないですよね。

というか、それをまさしく今体現してしまっているじゃないか…。母は、「おばあちゃん」になりたがっているというのに。でもその時の私の言う「おばあさん」は「年老いた人」ってことだったんだと思う。そこで何で「お母さんにならない」に結びついたかはわからないけど。

それでも、たまに、ふとした時に、このつぶやきを思い出してしまう。母が聞きとって、幼稚園にそれを知らせていなければ、冊子にもならずにこぼれ落ちてしまったつぶやき。多分どこかを探したら、その冊子、出てくると思う。

あの頃の私たちは、本当に無邪気で、思ったことを口にして、親や先生を驚かせたり、笑わせたりしていたんだろうなぁ。

いつか、なれないかもしれないけど、自分がそういう立場になったら、そういうことを大切にできる人になりたいなと思った次第です。

#コラム #エッセイ #つぶやき #子ども #私のこと #超個人的

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