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【cinema】私と彼女

イタリア映画祭 大阪 5/8(日) 2本目。

元女優で今はレストランを経営する好奇心旺盛なマリーナ。慎重な性格で一人息子がいる多忙な建築家のフェデリカ。対照的だが愛し合う2人は、ローマの豪華なアパートで5年間一緒に暮らしていた。しかし、ささいな出来事で親密な関係に亀裂が入る。名優のマルゲリータ・ブイとサブリーナ・フェリッリが息の合った演技を見せる。(映画祭サイトより)

上記、ささいな出来事⇒フェデリカが男に浮気する。

それだけではないんですが、全編とおして、総合的に見ても非があるのは、フェデリカじゃん!とツッコミたくなるのは私だけだろうか。マリーナ全然悪くない。違う?

毎回書きますが、LGBTの映画はもはやそういうジャンルではなく、私たちの誰もが考えたり、思い当たる普遍的なことであって、このフェデリカとマリーナの恋愛はいわゆる女同士の性愛ってわけでなく、ごくごく当たり前に起こることとして描かれている。

5年も付き合ってるとマンネリ化しますか?フェデリカが昔好きだったマルコに再会した途端に気にしてしまうのは何でなんだろう。マリーナとの時間を息苦しく感じた発端は全部貴女にあるじゃんと言いたくなるんです。

ここまで書くと50代の女性2人の結構シリアスな恋愛物語っぽく思われるかもしれないけど、わりと随所に笑えるところがあって、フェデリカの元夫や息子(この子が話のわかる子でかなりイイ)とのやりとりも微笑ましいです。同じコメディなら、私はこういうのが好きだな。

フェデリカの気の迷いもわからないではないです。彼女の場合、レズビアンではなく、たまたま愛したのがマリーナだった。マリーナが初めて女性として愛した人だったというだけ。彼女は常に周りからの目を気にしていて、もっと自信を持てばいいのに、不安に、慎重になりがちで。マリーナのようにあっけらかんとはなれなくて。映画では描かれていないし、重要ではないと思うんだけど、二人の出会いの馴れ初めを知りたかったかも。どうやって二人は惹かれあったのかなぁと。

それにしてもこの2人の姿はカッコいいんです。ファッションやインテリアを見ているだけでも楽しい。あとマリーナの飼い猫のベンガラちゃんがかなりいい味出してる。それとハウスキーパーのローランド(フィリピン人のゲイ)。

色々まとまらないんですが、私はこのフェデリカ役のマルゲリータ・ブイという女優さんが好きで、彼女の作品で日本で上映されるものはわりと見ていると思うんですが、何か好きなんですよね。雰囲気かな。穏やかで上品で、でも年齢を経ての艶みたいなのもあって。

あと、フェデリカとマリーナがまだ仲違いする前に、鏡の前でフェイスクリームを同じものを使いながら話すシーンがあるんです。匂いを確かめながら。すごくいいんです。あー、いいなーって思える。

この映画を穏やかにしている大きな要因がBGMにあると思います。うまく表現できないけど、とても美味しい珈琲をゆっくり味わう感じ。ラストは、あー、よかったー、と思えます。ちょっと笑えて。

最後に気になったこと。タイトルの「私と彼女」は原題を直訳していて、多分「私」はフェデリカで「彼女」はマリーナなんだけど、主観的にはなっていなくて、あくまで二人を客観的に映していると思いました。だから、何でこんなタイトルなのかなとも思って。

東京での上映分は見ていないのですが、私は今回の映画祭でこれが一番好きでした。一般公開されるといいなぁ。

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