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【cinema】Most Beautiful Island

2017年81本目。ラテンビート映画祭2本目。

ルシアナは、過去の辛い出来事から逃れるためニューヨークで新しい生活を始める。だが不法移民の彼女が出来る仕事は限られており生活は苦しい。そんな時、ロシア系不法移民でバイト仲間のオルガから、破格の報酬を手にできる秘密のパーティーに誘われる…。(ラテンビート映画祭公式サイトより、一部改訂)

シュッとしたタイトルとは裏腹に大都市ニューヨークの底辺と頂点に生きる人間たちを描いている。

キラキラ感いっぱいの先ほどの「ホーリー・キャンプ」との落差が激しすぎて、動悸がした。

※要注意※ ゴキブリにクモ。虫嫌いの方には身震いするシーンがございます。

不法移民の生活をとりあげた作品は数多見てきたけれども、これはまた違うスリルがあって、途中からの緊迫感はハンパではなく。

「生きるか死ぬか」は極端な形容かもしれないけれど、不法移民の彼女たちにとっては、何に代えても、ここニューヨークにすがりつきたい一心で、どんなことでもやってやる!の覚悟がすごい。神経ギリギリで生きていくってこういうことなんだと。こんな世界ばかりではないと信じたいけれど。一方で、そんな彼女たちを食い物にするアッパークラス、頂点に立つ人々がいるということも忘れてはならない。彼らにとっては、彼女たちは文字どおり「虫ケラほどもない」のである。それがとてもよくわかるお話。

ルシアナが食べたラストのアイスクリームはヘンな高揚と虚無感で、味がしなかっただろなぁ。そこだけは、何か目の奥がツンときて。それまで、どうしてもルシアナに共感できなくて、死んだ魚のような目をした彼女が、一体どうなるんだろうってドキドキしながら見ていたけれども。シチュエーションは異なるけども、前に見たフィリピン映画「ローサは密告された」でも、ローサがラスト、出店で何かを買って食べるシーンがあるんですが、それと感覚が似ていて。彼女たちは、「一仕事終えて」昂ぶった気持ちを落ち着かせるために、食べる。食べるって、生きるって、こういうことなんだなって気づかされるんです。こういう時、女は絶対涙は見せない。それは、女だから。逆に、男なら涙するかもしれない。

"Most beautiful island"と書きなぐられた紙ひこうきが、飛ばされるシーンは、この映画の主題でもあって、今のニューヨークを皮肉り、それでもなお、多くの人々が憧れ、降り立ち、蠢く街なんだなぁと思いました。

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