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お隣の国がそうだった時、私たちは何をしてた?

タクシー運転手 約束は海を越えて

一見コメディかと思いきや、めちゃくちゃシリアスなテーマを扱っているのがこちら。

前のレビューでは、シリアスなイラン・イラク戦争がテーマの「遺灰の顔」が実はコメディだったので、今度はその反対。

1980年5月、民主化を求める大規模な学生・民衆デモが起こり、光州では市民を暴徒とみなした軍が厳戒態勢を敷いていた。「通行禁止時間までに光州に行ったら大金を支払う」というドイツ人記者ピーターを乗せ、光州を目指すことになったソウルのタクシー運転手マンソプは、約束のタクシー代を受け取りたい一心で機転を利かせて検問を切り抜け、時間ギリギリにピーターを光州まで送り届けることに成功する。留守番をさせている11歳の娘が気になるため、危険な光州から早く立ち去りたいマンソプだったが、ピーターはデモに参加している大学生のジェシクや、現地のタクシー運転手ファンらの助けを借り、取材を続けていく。(映画.comより転記)

途中までは、ホンマにコメディ。ちょっとヌケてるシングルファーザーのタクシー運転手、キム・マンソプのニカニカした笑顔が、どう光州事件につながるんだろうと。

とはいえ、私自身、光州事件については、世界史でサラッと勉強したくらいで、後の大統領、金大中が逮捕された「学生民主化運動」のようなものだと思っていた。映像を見て、なんか、ワナワナするってこういうことかと思ったし、震えて、涙が出た。感動じゃなくて、憤りで。

こんなことが私が生まれる一年前に、お隣りの国で起こった出来事なのかと。母に知っているかと聞いたら、やはり知らなかった。まだあの頃は世界は今とはまた別の次元で、混沌としていたし、情報統制もされまくってて、何でもアリだったように思う。

そんな中、ネットでこんな記事を見つけた。

韓国映画「タクシー運転手」の大ヒットで浮上した歴史論争

この光州事件は、今でこそ韓国の市井の人々による民主化運動として認められているが、その当時は、北朝鮮による陰謀説も語られてきたという事実。実在のドイツ人記者ユルゲン・ヒンツペーターを乗せたナゾのキム・マンソプ(偽名と言われている)というタクシー運転手とは、一体何者だったのか、ということが書かれている。

歴史には二面性があって、オモテの顔とウラの顔があると思っている。それを見せつけられたように思った。単に歴史の教科書に載っている事実として、撫でたくらいの知識では、憶測すらできないことはわかっていても、なんか悔しかった。私は何にも知らなさすぎる。

とにかくこの映画は、光州事件をベースに、キム・マンソプとドイツ人記者との出会いから交流、友情、また光州の学生や同業運転手たちとの交流、連携、軍部や私服警官達との攻防戦など、盛りだくさんで、最初はゆる〜い感じだったのに、最後の方は、もう文字どおり、猛スピードで駆け抜ける現代歴史ドラマなのです。

何が言いたいのかわからないレビューになってきたけれども、ストーリー展開というよりは、テーマである光州事件について、調べずにはいられない話。

それと、よくネタのように、韓国の大統領には、悲惨な末路が待っている、と言われるけども、調べれば調べるほど不可解で、あの国はいろんな意味で呪縛に囚われているんじゃないかなぁとも思った。朴正煕、全斗煥、盧泰愚、金泳三、金大中、盧武鉉、李明博、朴槿恵などなど。Wikiで調べてみて下さい…。この光州事件の「親玉」とも言われる全斗煥のことを調べるだけでも、むかむかしてくること間違いナシ!

しかし、副題の「約束は海を越えて」。感動を狙いたかったのかな。かのタクシー運転手は、異国の記者に対して、最後まで素性を明かすことができなかった時代。あれから35年以上経ち、ヒンツペーター氏も亡くなった今、彼はまだお隣の国に生きているんだろうか…。

2018年44本目。シネマート心斎橋にて。

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