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新型コロナの特効薬|ラゲブリオとパキロビッドパックを比較してみた

12月末に新型コロナ治療薬のラゲブリオが特例承認されたことに続いて、先日パキロビッドパックも承認されました。
パキロビッドパックの使用はまだかなり限定されていますが、今月末から徐々に広く使用される予定です。

ワクチンに次いで、この二つの特効薬の出現によって、コロナ禍もいよいよ収束に向かっていくのかなと期待しているところです。

そこで、ラゲブリオとパキロビッドを比較、検討してみたいと思います。

もしかしたら飲むことになるかもしれない薬ですので、是非知っておいてください。



そもそもコロナウイルスとはどんなウイルスなのか?


「一本鎖プラスRNAウイルス」に分類されます。このタイプのウイルスは他に、C型肝炎ウイルスやノロウイルスなどもあります。

DNAではなく、RNAがゲノムであり、ゲノムそのものがmRNAとしても働くので、ヒトの鼻や喉の粘膜上皮細胞に侵入すると、すぐにウイルスタンパク質を合成し始めます。

ウイルスは単体では増殖することができません。ヒトの細胞内に侵入し、システムを乗っ取り、その機能を利用して自分の細胞を増やし、また外に出ていきます。

抗ウイルス薬というものが、細菌を攻撃する抗生物質と違って大変難しいところは、ウイルスを破壊しようとすれば、ウイルスが侵入しているヒトの細胞のシステムも一緒に破壊してしまう危険性があるところです。
その為、ウイルスだけに作用する、つまりウイルスにしかないシステムをターゲットにして攻撃する必要があります。それを「選択毒性」と言います。



ウイルスの増殖に必要な過程


ヒトの細胞内に侵入したウイルスが、増殖するのに必要な過程が以下の2つです。


①ウイルスの合成に必要なたんぱく質をつくる。
⇒メインプロテアーゼが長いペプチド(アミノ酸が鎖のように繋がったもの)を裁断し、必要なタンパク質を作ります。


②RNAを複製する。
⇒RNA依存性RNAポリメラーゼによってウイルスのRNAを複製します。


軽症、中等症向けに開発されたラゲブリオパキロビッドはウイルスにしかないシステム、「RNA依存性RNAポリメラーゼ」「メインプロテアーゼ」をターゲットとしてそのシステムをピンポイントで破壊する抗ウイルス薬です。

それによって、ヒトの細胞にダメージを与えずにウイルスの増殖を阻止することができるのです。(ただし、副作用が全くないわけではありません。何しろ細胞の中に入って戦うわけですから、細胞への影響をゼロにするのは難しいです💦)



それでは、この2つの抗ウイルス薬を比較しながら見ていきましょう。



💊ラゲブリオ


まず最初に承認された「ラゲブリオ」成分名モルヌピラビルは、
RNA依存性RNAポリメラーゼの働きを阻害します。

上記の② RNAの複製の過程で、ラゲブリオの活性物質がRNA依存性RNAポリメラーゼによってRNAに取り込まれ、ゲノムの複製エラーを起こし、ウイルスの増殖を抑制します。



ラゲブリオの投与にあたっての特徴、条件


♦重症化リスクのある18歳以上
♦妊婦は禁忌
♦他の薬の併用禁忌は特になし
♦腎機能、肝機能による用量調節はなし
♦主な副作用は下痢、悪心、めまい、頭痛
♦入院・死亡のリスクを30%軽減
♦経口のカプセル剤



💊パキロビッドパック


ラゲブリオに次いで経口抗ウイルス薬として承認されたのが、「パキロビッドパック」です。
2種類の抗ウイルス薬、ニルマトレルビルリトナビルがパックになっています。

上記の① ウイルスの合成に必要なタンパク質をつくる過程で、メインプロテアーゼの働きを阻害することで、ウイルスの増殖を抑制します。

リトナビルはHIV(エイズ)の治療薬から転用されたもので、メインプロテアーゼ阻害作用があり、またヒトの体でつくられる、薬を分解するための酵素の働きを弱めて、ニルマトレルビルがすぐに分解されないようサポートする役割も果たしています。
これによってブースター効果が得られます。
そのせいで、併用禁忌が多いのですけど。



パキロビッドパックの投与にあたっての特徴、条件


♦重症化のリスクのある成人及び12歳以上かつ体重40㎏以上の小児
♦妊婦への投与が可能
♦併用禁忌の薬剤が多い
♦中等度の腎機能低下のある人には減量
♦主な副作用は味覚不全、下痢、悪心、めまい
♦入院・死亡のリスクを88%軽減
♦経口の錠剤


※重症化のリスクとは

61歳以上
活動性のがん(免疫抑制又は高い死亡率を伴わないがんは除く)
慢性腎臓病
慢性閉塞性肺疾患
肥満(BMI 30kg/m2以上)
重篤な心疾患(心不全、冠動脈疾患又は心筋症)
糖尿病
ダウン症
脳神経疾患(多発性硬化症、ハンチントン病、重症筋無力症等)
コントロール不良のHIV感染症及び AIDS
肝硬変等の重度の肝臓疾患
臓器移植、骨髄移植、幹細胞移植後




💊ラゲブリオとパキロビッドパックについてのまとめ



「ラゲブリオ」

✅RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤⇒ウイルスのゲノムの複製を抑制
✅18歳以上
✅妊婦は禁忌
✅併用禁忌薬はなし
✅死亡・入院のリスクを30%軽減


「パキロビッドパック」

メインプロテアーゼ阻害剤⇒ウイルスのたんぱく質の合成を抑制
✅12歳で40㎏以上
✅妊婦に投与可
✅併用禁忌薬多数
✅死亡・入院のリスクを88%軽減

効果だけを見るとパキロビッドパックの方が良いですが、併用禁忌や用量調節などの制限があり、それぞれ一長一短がありますね。でも、この2つの抗ウイルス薬の存在は心強い限りです。


最後まで読んで下さりありがとうございました。
ちょっと難しい話ですが、誰にとっても使う可能性のある薬ですので、ご参考にしてください。


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