- 運営しているクリエイター
#オールカテゴリー部門
【短編小説】完全犯罪
「おら!おら!いっつもいっつも俺を苔にしやがって!里田め!おら!殺してやる!」
気付くと俺は、同期の里田を殴り殺していた。
この部屋は、かつて里田とルームシェアしていた
ときと同じだ。
同じ会社に入社した俺と里田は、同期として、友
として、互いに競い合い、高め合っていた。
本当に、良いバディのような感じだったと思う。
しかし、里田と俺との間に軋轢が入ったのは、
つい1ヶ月前くらいか
【短編小説】夢の材料
昨日、妙な夢を見た。まぁ、夢は全般的に妙なのだが。
夢の中で、皿洗いをしていると、ついお気に入りの皿を落としてしまった。すると、皿の破片は宙に浮き、窓の方へと向かっていった。何故だか、破片は窓の外に行きたいと言っているような気がして、無意識に開けてやると、一目散に飛び出して行った。
長年使っていた皿の旅立ちを見守っていると、冬なのにどうにも蒸し暑い。ふと上を見上げてみると、無数のストーブが、煙
【短編小説】アジフライ
人混みで見え隠れする定食屋の暖簾をくぐった。
風情ある歪な形の板にお品書きが記され、壁に掛かっている。
「じゃあ、アジフライ定食を一つ。」
「はい、まいど。」
しばらくして、注文を取ってもらった三角巾のおばちゃんの手に、トレーが見えた。角席の僕の方へと向かい、そっとテーブルに置いた。
しかし、トレーに乗っているのは、湯気が煙る大盛りの白飯、たくあんの漬物、なめこのお吸い物、そして、一枚の皿