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プロダクトデザイナーによる人材育成の学び -認知行動療法編-

今回はメンター/コーチングにおける「認知行動療法」の学びの話し。
いつもと同様に学んだことを自分なりに編集していくことにする。

繊細なデザイナーに多い認知の歪みと現実の乖離

例えば誰かに挨拶したとして、返事がなかったみたいなケースはあるだろうか?(ぼくはある)

この時咄嗟に「失礼だったかな?」「嫌われたかな?」「怒らせたかな?」みたいに思い浮かんでしまうことがあると思うがこれを自動思考という。

自動思考そのものに良い悪いは無いが上の例の場合だと、実際はただ聞こえなかった・考え事をしていて気づかなかっただけかもしれない。
この時体調が悪かったり、心が弱っている時などは特にネガティブな論理的思考を自分の中に作り上げてしまうことがよくある。「嫌われたかもしれない」「怒らせてしまった」と思い悩んでしまい、その原因を自分の中に求めてしまうのだ。

ちなみにこのような自動思考は人それぞれの概念や価値観を元に自動的に思考しているとされている。これをスキーマ(概念や価値観)という。

自動思考は、何らかのきっかけがあるとそれに伴って自動的・習慣的に、意図せず脳裏に浮かぶ思考やイメージのことです。スキーマあるいは信念は過去の経験から形成され、恒常的で、個人に特異的な認知です。

引用:認知療法研究所 https://qr.paps.jp/1Tdct

このようにスキーマを元に自動思考した考えをネガティブに変換してしまい思い悩んでしまうと人間ネガティブな思考は中々コントロール出来ないものだ。これは元来野生で生きてきた人類が、生存戦略として危険がいっぱいな野生で生き残っていけるよう、危険やリスクに対し強く注意を向けられるよう適応進化してきたからだ。(じんるいすごい)

リスク回避のために、生物が進化の過程で身につけたものではないか、といわれている。生物が生き抜くためには、目の前のリスクやトラブルに注意を向けることが重要だからである。

出典:ネガティビティバイアス https://imidas.jp/genre/detail/F-133-0080.html

認知の歪みと行動への影響

このような認知によるネガティブな思考をコントロールできなくなってしまうことで、精神や実際の行動に悪影響を及ぼすことがある。

例えば他の人にも気軽に挨拶できなくなったり、嫌われたり怒らせたりしないよう、無難な行動を取ってしまったり、反対意見を持っているのに言えなかったりと現実の行動や精神に悪影響が出てしまうのだ。

こういった認知と現実のズレを認知の歪みと言い、認知の歪みから来る行動への悪影響を対話やヒアリング等によって整え、修正していくことを「認知行動療法」という。

これはうつ病や精神疾患において効果があるとされる医学的理論に基づいた心理療法だが、近年だと主に海外では広くビジネスの場で活用されることも多く、とりわけマネジメントやコーチングの場で活用できることが多い。

マネジメントにおける認知行動療法

本来スキルやパーソナリティに問題が無いはずなのに、この認知の歪みによって実際の行動の質が落ちてしまっている場合などは特に有効であるし、この理論に基づいて実際的にメンバーの行動の質≒スキルが低いのか、認知の歪みで低くなっているのか、固定値として低いのか変動しているのかを適切に見極めることが重要だと思っている。

何故なら認知の歪みが故に行動の質が落ちているのだとしたら、その後いくらトレーニングや学習を進めてもあまり意味がないからだ。少なくとも効率が高いとは言えないはずだ。

認知の歪みからのネガティブな思考や、そういった状態に陥りやすい傾向=スキーマがあると、何か新しいことを学習したり、既存のスキルを磨いたりなど、とてもそのようなモチベーションを持てないし、本来一定のスキル値に達していたとするならば、新たに学びなおしたとしても認知の歪みによって質が下がることになるので本質的な解決にならないからだ。

結果として現場で何が起きるかというと、「教えても中々成長しない」「この人には教えても意味がない」などと、とんちんかんな評価を下してしまう。評価が落ちることでますます認知の歪みが進み、行動の質が落ちるという負のスパイラルに陥ってしまう。
更にはメンバーを成長させられないマネージャーの評価も下がり、育成を完全に諦めてしまったり、外部からの採用でなんとかしようとしたり、本質的な解決に繋がらないカルチャーの啓蒙をしたりと、個人間の問題が組織的な問題へ繋がったりもする。(実際これは多くありそうな感覚)

このように問題の出発点は明らかにマネジメントサイドにあるのだが、このことにマネジメントサイドが自ら気づくのは不可能に近く、本人はいうまでもない。まずもって問題に気づく仕組みがないし、認知行動療法を取り入れているIT企業の現場を今のところ体験したことはない。(DeNAさん等あるところにはあるきちんと調べるとあるとはいくつか事例もあると思う)

メンターとしての実践へ

この認知行動療法については様々な理論や方法論が1つに集約した形を取っている。集約される観点は効果的か否かの1点だ。
つまり使えるものは入れるし、使えないものは入れないという極めて臨床的な在り方

したがってビジネスの場においても同様に、使えるものを選定したり、組み合わせたり、相手の状態や特性、個性に応じてきちんと機能するよう調整することが実践するということだと考えている。

とはいえひとまずは基本的な理論や方法論など概念を理解したい。

  • 基礎的な認知モデル(認知と感情・行動との関連)の理解

  • 自動思考を誘発する中核的スキーマの理解

  • 技法についての理解(行動活性化療法やアサーション等)

すぐには無理だろうが、まずは普段から意識していくことを心がけていこうとおもう。意識するだけでその後のインプットも行動も変わってくるのは経験から分かっている。認知の歪みのポジティブ版みたいなものだ。

まとめ

認知の歪みによる現場での機能エラーほど救われない話はないなと考えてしまうし、僕自身も含めて色んな場所で色んな認知の歪みを見てきた。

だからこそ今メンターやコーチングを改めて実践している中でこの認知行動療法をきちんと扱えるようにしたい。

これは今後関わっていきたい育成・教育領域においてすごく有効なアプローチだと信じて今回も僕なりに学んだことをまとめ直してみました。

ちなみにこの領域は学ぶことが多すぎて深すぎてUIデザイナーに特化した育成の学びはいつになることやら😇

ぼく

最後まで読んでいただきありがとうございます。
以上が中間的な僕の学びとポエムでした。
もし今の自分に悩んでいたりキャリアに悩んでいたり、正体不明のもやもやがあるなどのデザイナーの方人材育成やマネジメント等に課題がある企業の方、osioに興味を持って頂けた方、ぜひTwitterからお気軽にDMください🫠

直近悩んでいてすぐ何かしたい人へ

ひとまず認知行動療法におけるセルフでも行える思考記録法というのがあるので試してみるのもいいかもしれません。

厚生労働省がアップしているPDF
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/kokoro/dl/03.pdf

分かりやすい解説はこちら

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