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今年度の長い旅路のスタート|2023スプラウト壱岐商業高校①

前日(5/29)は大分県南部への出張かと思えば、今日は壱岐へ。紆余曲折を経て2023年度も壱岐商業高校での高大連携アントレプレナーシップ教育プログラム「スプラウト」が始まる。

今年度から一連のプログラムに「スプラウト」と名づけ活動していくことにした。各地でプログラムが展開されていること、名前が長いこと、ある補助金をもとに活動することが決定したので、呼び名をつけた次第。

2022年度の活動の様子はこちらのマガジンにまとめています。

今年は5/30現在で高校3校と1地域での実施が決まっており、順次授業実施に向けた準備を進めている。また、授業内容も(研究目的に合わせて)従来同様の経営学・会計学の基礎知識を伝えるものと、2月のシンガポール出張後に話になった「新規事業をAI(Chat-GPT)のサポートを受けながら立案する」ものとの2本立てになる。特に後者は共同研究にしていく予定もあり、恐らく数年かけて調査していくものになるかもしれない。

そんなこんなで今年も結局忙しくなりそうな予感しかないが、学生とともにプロジェクトに勤しんでいくことにしたい。

ということで、2023年度最初のスプラウトが始まります!

雨に打たれた船旅から

朝7:30に博多港集合。3人の学生と合流して博多港から壱岐・郷ノ浦港に向かう。

いつもの高速船

沖縄に台風が近づいたこと、梅雨入りしたこともあって海が荒れるのではないかと不安だったが、約70分の船旅は順調そのものだった。

郷ノ浦港到着後、今年度もお世話になる壱岐みらい創りサイトの森下さんと合流。レンタカーを借りてコワーキングスペースに向かう。

貼ってあったポスター。現実逃避しに来ました!

今日の参加メンバーは諸般の事情があり、4年生1名と3年生2名で構成。3年生は昨年度のサポートメンバーだったりもしたが、教壇に立つのは初めてということもあり、緊張して仕方なかったようだ。しばらく打ち合わせをして、今日の授業の流れを確認。

僕らの想い出の場所はまた変化していた。

その後ランチで勝本浦へ。

今年夏に開催する予定のマルシェも再び勝本浦で行う。学校側の強い希望もあってのことだそうだ。またCOVID-19の影響も小さくなり始め、地域のイベントも再開され始めている。まちづくり協議会のご協力もあって、開催に漕ぎ着けられそう。

ただ、目当ての店は今日も休みで、モガジャバカフェ大久保本店でランチ。

ハンバーグを頼んだ。

ここに来たら壱岐牛を食べるべきだったかもしれない…。が、食事もそこそこに授業の時間を迎えることになった。

いざ壱岐商業高校へ!

もう何度も来ているのだけれども、2年目のそれはまた新鮮な気持ちになる。特に今回は緊張して初々しい学生と一緒だし、どんな生徒が授業を受けてくれているのかもわからない。

漫画『奈緒子』のモデルになった後者

今日は短縮授業で45分授業。それを2コマ。前半は学生から「アントレプレナーシップとコレクティブ・ジーニアス」の授業を、後半は私からこのプログラムの意義と付加価値を生むことに企業活動の意義があることを話すことになっている。

緊張しながら授業を進める3年生

13:10に授業がスタート。自己紹介をして、10人を3グループに分けてグループディスカッション。そこから準備してきた授業を話し始める。緊張したと言っている割にはしっかり喋っている。多少情報の取捨選択が甘かった部分もあったが、事前動画を理解していたからか、順調に進んだ。

グループディスカッションは年が近いこともあって和気藹々

ただ、高校生からすれば「組織的に活動して成果を導く」コレクティブ・ジーニアスの考え方を実感できる場面がそれほど多くないこともあって、理解できたと「?」が混じった不思議な感じだったかもしれない。

参加している高校生10人は多くが部活に所属し活躍している。陸上、ソフトボール、吹奏楽、太鼓。中には口を開けばグループがまとまると周りから信頼感バッチリの生徒もいたそうだ。先生からは「今年は去年に比べてちょっとシャイな生徒が多くて」とは言うものの、発言を促せばしっかり話してくれるし、終始良い雰囲気で授業が進んだように思う。

学生も休み時間に積極的に高校生に話しかけて、距離を徐々に詰めていく。

今回参加してくれた唯一の4年生

2コマ目は、私からいつも学生に向けて話す付加価値の創造の重要性、価値の分配を行う機能、地域格差、3月の調査で学んだ「壱岐の漁業」の話をしながら、マルシェを通じてどのような目的を持って、どのようなお客様に、どのような機会を提供するか、何を持って「マルシェが成功した!」と決めるのは実は難しいという話をした。どうしたいかは生徒自身が決めて良いのだと。

当初予定していたワークは実施できなかったが、このプロジェクトの意義であったり、何をするかはきっと伝わっただろう。そして、積み残しは次回6/20の授業でさらに解説をすることに。

授業終了後は校長先生にご挨拶。大きな期待を寄せてくださっていることを学生にも直接語りかけてくださった。本当にありがとうございます。

ふりかえり:授業回数の制約がある中で成果を最大化するにはどうするか?

こうして無事1回目の授業が終了した。

昨年度、壱岐商業高校での授業はほぼ毎週1年間にわたって実施された。その授業の様子はこちらのマガジンにまとめている。

一方、今年は学校側の方針変更があり、新年度になって授業実施が急遽決まった。そして、マルシェは夏のみ実施、それに向けた授業を5-7月に4回実施し、最終回のふりかえりを2学期が始まってすぐ行うスケジュールに。しかも、マルシェ開催までに対面で授業を実施するのは今回のみ。ここから先は全てオンライン授業になる。

授業回数がおよそ5分の1になることで何が変化するのだろうか。内容の圧縮、端的に伝えること、できることとできないことの峻別。何を尺度に授業の成果を測るのか。1回の授業の重要性はどれほど高まるのか。わからない。それでも、授業実施の正式決定から1ヶ月ほどと、準備に十分な時間をかけられなかったが、なんとか授業ができた。ホッとしている。

1回目の授業終了後、恒例のふりかえりを実施したが、学生は満足していなかった。

もっと準備しようとすればできたこと、話す内容の取捨選択ができていなかったことを挙げていたが、私からすれば十分過ぎるほど当初の目的を果たしていたように見えているのだが…。これからまだ他の学校、地域での授業が控えており、さらにブラッシュアップが期待できる。頑張りましょう。ここで満足していないことがさらなる成長に繋がる。そう、まだできる。

それと(私自身も教員として理解できることだが)他者が作った授業資料で授業を行うことの難しさ、授業の前提になる知識のインプットと取捨選択にまだまだ課題がある。今回、こうした課題が出たことは、これからカリキュラムの標準化、教材の作成とその展開を進める上で大きなヒントが得られた機会になった。その難しさをしっかり言語化して教材作成に反映させて欲しいところ。

次回は6/20と3週間の時間がある。理念、戦略、計画がテーマ。現在の授業計画では高校生に馴染みのあるビジネスであるコンビニエンスストア業界3社を比較して、その理念や戦略を検証するというスプラウトでは定番になっている授業。そして、2コマ目はこれを踏まえた上でマルシェの目的やターゲットの選定を検討していく授業を予定している。特に2コマ目は抽象的な議論になりそうなこともあって、大学生のサポートが必要不可欠になる。十分にシミュレーションして授業に臨みましょう。

というわけで、2023年度スプラウト、壱岐商業高校での第1回授業は無事終了。17:10のいつもの高速船で博多に戻るのでありましたとさ。

追伸

2023年もこのプログラムの模様を記述し続けていこうと思います。いつもその日に起きたことを書き綴っているだけの面白みのないnoteになりますが、少しでも多くの方にこの取り組みを知って頂ければ幸いです。

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