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雲仙・島原へ行きました:天空のコワーキングスペースと学生によるコミュニティ・カフェ訪問記

昨日(8/11)は日帰りで長崎県は島原半島へ行ってきました。不要不急の外出自粛が要請されている中ではありますが,2年ゼミ生が地元に戻ってコミュニティ・カフェを運営していると言うので,その様子の視察へ行ってきました。

ここでも何度か書いていますが,大学教員として研究・教育のみならず,ここ数年,特に昨年から地域との結びつきを強くしていこうということで,人口5万人程度の高等教育機関(大学・専門学校)がない街をターゲットに,福岡からあるいはインターネットを有効に活用した創業支援を行うをコンセプトに活動を進めています。その流れで,2021年には宮崎県の高千穂町,小林市,高原町を訪問したり,(まだできるかどうか不明ですが)夏の合宿地兼創業体験プログラムの企画として,3年生には鹿児島県枕崎市との連携を深めようとしています。

残念ながら,この日はあいにくの雨。しかも,かなりひどい雨。警報はもちろん,避難勧告が出るほどの大雨でしたが,このエリアが持つワーケーションのポテンシャルの高さを感じてきました

天空のコワーキングスペース:HUB雲仙

近年,コロナウィルス感染症のまん延とかねてからの関係人口創出という流れの中でワーケーションだったり,リビングシフトというキーワードが流行ってますが,そういう文脈には乗りつつも,メインストリームとはちょっと違うやり方をしようということで。で,今回は島原に行くついでに,8/3にオープンしたばかりのコワーキングスペースHUB雲仙に行きました。

運営団体のアールイーのプレスリリースはこちら。
https://reshimabara.net/20210729-01/

訪問するとアールイーの理事で島原半島でさまざまな仕掛けをしておられる辻野さんがたまたまおられました。突然の訪問だったにもかかわらず,ご丁寧に対応頂きました。

さて,このコワーキングスペースがどんなところかと言うと…。

じゃじゃーん。

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テラスから外を見ると「おしどりの池」という雲仙温泉郷に造られたダム湖を望むことができます。ここは雲仙温泉郷のほど近くにある別荘地(居住地)の中にあった企業の保養所を改修して造られたコワーキングスペース。

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1階は広々としたスペースがあって,奥には個室ブースもあり。手前側はカフェスペースもある。

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おまけに,こんな広々としたキッチンもあってという。ここに食材を持ち込んで夜は懇親会(もちろん感染対策はして)とかもできそう。

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2階は長崎市内の企業さんの研修施設になっていて,宿泊も可能。

こちらは研修室でベッドを入れてホテルに早変わり。

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昔ながらの旅館風の和室も2部屋。そして,写真を撮りそびれましたが,広々とした特別室もあったりして,最高の景色を見ながら研究合宿やったり,文豪なみのホテルで原稿執筆ができそうな感じ。

私の写真撮影が下手くそなのでよく分かりづらいとは思いますので,気になった方は下記のYoutubeに詳しい説明があるので,こちらを御覧ください。

ドロップイン1時間500円、1日利用1,000円という爆安価格です。宿泊はまだできませんが、できるようになったら1週間くらい滞在して、私と妻氏は仕事、娘氏は夏休みの宿題とかできる環境が整いそう。素晴らしい夏休み。

島原半島最大の都市である島原からでも,全長105mある日本一長い足湯で有名な小浜からでも,ここまで約30分。福岡からだとプラス2時間でここまで来れる。休憩入れて3時間。一般的に福岡から島原や雲仙は遠いというイメージなんだけど,時間距離では小林,高千穂行くのとそんなに変わらない(感覚おかしい)。

夏でもエアコンがいらないほど涼しいそうです。春は緑,夏は避暑,秋は紅葉と季節ぞれそれで楽しみ方もあるようで(冬は道路が凍るからどうかなと),温泉と合わせてぜひまた来たい場所が増えました。

島原グルメ・具雑煮を堪能してからのコミュニティ・カフェ訪問

午前中は雲仙の雄大な景色を堪能して,ランチは島原で。島原と言えば具雑煮。学生オススメの姫松屋へ。

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こちらが具雑煮。言わずもがな雑煮ですが,妻氏は美味しいを連発。

餅や鶏肉,ごぼうなどが入っているのは定番として,面白かったのは高野豆腐が入っていること。出汁が染み込んで,大変美味しく頂きました。朝早い出発で寄り道をしてしまったので,お腹が空いた私達は…。

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カツ丼と具雑煮のコンボ。明らかにカロリー摂取のしすぎなのですが,美味しいものは美味しいのでペロリと頂きました。

食事中に雨はさらに酷さを増し,車に飛び乗って商店街へ移動。15年ほど前にも熊本から船で島原に遊びに来たことがありましたが,(大雨ということもありますが)その頃と比べてもお店は減り,人の姿もあまり見えなかった。

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そんな中で「大学生がカフェやってみた!」の企画でゼミ2年生がコミュニティ・カフェを開催。どうやらゼミの1つ上の学年が行っている"BESIDE COFFEE STAND"プロジェクトから感化されて,自分でもやれることをやってみようということで仲間に声掛けしたらしい。

そして,自分で商店街や市役所など,地域のキーパーソンに働きかけて,今回のコミュニティ・カフェの開催にこぎつけたそうで。口先だけ,想いだけでなく,ちゃんと形にしようとする。アントレプレナーシップの塊みたいやね(笑)

クラウドファンディングをしたら,なんとか目標額も達成。227,000円という学生にとっては小さくない金額は,支援者の希望ですものね。

こうして始まった学生によるコミュティ・カフェ。こんな感じでした。

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場所は市役所近くの商店街で,万町商店街振興会の施設1階を使っての活動。コーヒーやかき氷などのカフェメニューに加えて,18歳で多くの人が市外に出ていってしまうことから高校生の進路相談に応えたいということで面談スペースを設置。

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ゼミ生は自分の高校の後輩からの相談に答えていました。

加えて,小学生も勉強しに来ていて,お兄さんやお姉さんと一緒に夏休みの宿題をやってしまおうという企画も。こういうところも大学生らしい面白い着眼点ですね。

今回のカフェ運営にあたっては学生の島原での友人たちに集まってもらったようで,なんとこのプロジェクトには20人近い若者たちが関わっているのだそう。地元のメディアにも取り上げて頂いて,「実際に外で暮らし始めて、島原にある素晴らしいものに改めて気づかされた。今後は外に向けても島原の良さをアピールしたり、学生の団体を作って島原を盛り上げる1つになっていけたら」なんて答えているけど,悪い大人たちはその先を考えたりしてました(笑)

彼には商店街のキーパーソンである宝石店のオーナーをご紹介頂いた。短時間だけれどもさまざまな話をすることができました。また,私たちも,その先の悪巧みまで含めて2時間ほどミーティングや仕事をしながら,過ごすことができました。

新型コロナウィルスの感染拡大に伴い,残念ながら13日までの営業になってしまったけど,第一歩を踏み出せたことがとても素晴らしいことで。学生さん,とても偉いですよ。偉い。

地方都市で学生がカフェを運営するという取り組み:改めて理念に立ち返って

クリエイティビティ(創造性)のある街には,必ずカフェ,書店,映画館がある。

これは私がずっとしている(もしかしたらリチャード・フロリダの影響かな)主張なのですが,街が廃れていく要因にこれらの文化的装置が失われていくことと大きな関係性があるように思います。

だから,カフェはもちろん,セットで私設図書館を作りたいとも学生たちには常々話をしています。そのために勉強会に参加したり。

大分県日田市を中心にゼミ3年生が進めている"BESIDE COFFEE STAND"というプロジェクトでは,同地に8月頭の3日間出店してました。売上はそこまで大きいわけではないけれども,4月以来2回目の出店ですでにファンがいるようで,「前回のコーヒーが美味しかったからまた来たんだよね」「日田にはこういうコーヒー出してくれるお店あるにはあるけど…。」「え?大学生?フクオカダイガク?なんでここで出店?」といったさまざまな反応が。学生たちが運営しているInstagramを見てきたという人もいて,とてもありがたいです。

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大分県日田市の日田駅前にある
「ニコニコ交流館」で出店していた"BESIDE COFFEE STAND"

また,地元で農園を営まれている方からはFacebookページで告知頂いたばかりでなく,夕食をごちそうになったり,近くのキャンプ施設との場を取り持って頂いて次回(9月)の出店を模索することになったりと動きが出始めています。学生からは市議会議員さんからこの取り組みを議会で報告するということも伺っており,小さな一歩だけれども着実に地域に根を張りつつあることを実感しています。

もちろんBESIDE COFFEEのゴールは,地元から「自分がやる!」と手を挙げてくださる方が出てくること。そこまではもう少し時間がかかりそうだけれども,こうやって学生自身が試行錯誤しながら前進している姿を見ていて,希望が見えてきます。

この動きを島原でもということで,さっそく動き出しているみたい。

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市役所が公開している空き店舗情報から店を見つけてきて,さっそく大家さんと交渉。この活動している彼の実家は商売をやっているそうで,先のコワーキングスペースもそうだし,商店街にもたくさんの顧客がいるそう。

そういう地元だからというつながりが何よりもキーになるし,貴重な財産。こうやって「やりたい」と思っている学生の背中を押すことができていることが喜ばしく。

福岡に若い人を吸い上げるだけでなく,ちゃんと育ててお返しする。

どうするかの意思は学生自身が持つものだけれども,この動きを始めて5年ほど経過してようやく形になりつつある。動き始めた当時を思い返すと忸怩たる思いをすることもあるけれども(だから今組織に縛られずに好き勝手やってる),「都市で育てて地方に還す。小さくてもキラリと光る。」のコンセプトは間違えていない。いかに思い込みを外して現場に立つか。実践の中から本質を見出すか。まだまだ厳しい状況下ではあるけれども,この動きは続ける。続けたい。

最後に

この10年の取り組みを福岡のメディア「フクリパ」に取り上げて頂きました。創業体験プログラムを通じた学術的視点と実践的視点を自分の中でどうバランスを取っているのかを中心にお話しました。

この記事は前半戦。後半は18日に公開予定です。ぜひご笑覧ください。

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