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高校生がまちを,大人を元気づける,勢いづける|出雲・サンロードなかまち訪問記

今度は出雲へ。

昨年10月末に来て以来の訪問。今回も出雲市駅近くの「サンロードなかまち」商店街における課題解決を図るミーティングを行うために来た。

前回訪問の記録はこちら。

福岡から出雲へは陸路だと新山口まで新幹線,そこから在来線で合計4時間ちょっと,あるいは広島まで新幹線で高速バスというルートもあるが,これもそんなに時間は変わらない。

飛行機だとプロペラ機で1時間弱で到着するが,朝と夕方にしか便がなく,時間の余裕と好みのルートによって行き方が変わる。今回は飛行機での往復を選択した。

7:15発の出雲行。荷物確認は7:00出発便の乗客で大混雑。

そして,1時間のフライトで出雲空港に到着。宍道湖近くの洲に広がる空港。着陸時には日本海と宍道湖の間に横たわる山々に荘厳な雲がかかって幻想的な景色が見られた。

飛行機を降りてバスで30分。出雲市の中心駅であり,今回の仕事の舞台「サンロードなかまち」に最寄りの出雲市駅に到着。あいにくの曇り,時折パラパラと雨が降っている。

出雲大社本殿を模した駅。かっこいい。

今回も専門家である木藤亮太さんに同行するような形で来たが,仕事そのものは夕方までない。そこでホテルのチェックイン時間まで,朝食→オンラインミーティング→ランチ→ミーティングとそこそこ時間を費やす必要があった(笑)。

早朝出発で朝食もろくに食べずに来たこともあり,まずは腹ごしらえ。商店街にほど近い喫茶店が9:00オープンということで行ってみた。Cafe Naka蔵さん。

Cafe Naka 蔵のモーニングセット

店内は蔵をイメージした造りで,ソファーはカリモク60のグリーンのフェルト生地,カウンター近くには暖炉もある。客単価は1,000円から1,200円くらいだろうか。福岡でも少し高めに感じる価格帯ではあるが,出雲の豊かな食を楽しめた。今回は限定のクラムチャウダーセットを注文。クラムチャウダーもさることながら,パンもサラダも食べごたえがあって,満足の一品。

その後,近くのホテルロビーをお借りして,オンラインミーティングや事務手続きの仕事。寒くて身体が冷えてしまった。ランチは再び商店街に戻り,前回も訪問した「発酵文化研究所」でグラタンを頂いた。話に夢中で写真を撮り忘れてしまいました…。

お店は古い商家をリノベーションしたのでしょうか,木造の中庭のある瀟洒な建物。レンタルスペースや宿泊施設もあり,いずれ家族とゆっくり過ごしたい場所。

と,まるで旅行記のような記事になりましたが,ここからが本番。夜の高校生と商店街,行政をも巻き込んだガチンコ話をお届けしましょう。

まずは話題提供

今回のミーティングは,出雲商業高校の2年生3人と1年生2人,高校の先生,商店街の会長と事務局,メンバー,出雲市副市長,市役所と商工会議所職員,そして福岡から来た3人という構成。初めてお会いする方もおられるのもあり,まずは私から「スプラウト」の実践例をご案内した。

ここでは高校との連携,とりわけ商店街を舞台に取り組んでいる飯塚,授業の一環ではなく,課外活動でプログラム実施の例として「おおいた起業体験プログラム」のお話を話題提供的に。

商店街で文化祭をやるとこうなる的な。

「スプラウト」は地域で事業を営み、付加価値を生み出してその価値の分配を行うことが企業の機能の1つだということを起点に、若い人が将来的に地域で事業を営む、自分で一歩踏み出せる勇気を持とうというメッセージを伝えることが目的。その先に行政区域があり、リージョンがあり、国があり、グローバルがあるし、まずは自分の生まれた場所との関わりを考えようと。

そこで各地で見せている飯塚の商店街の劇的な変化を見せつつ、高校生が商店街、特に空き店舗を使ってできることをやろうよと語りかけてみた。

福岡の繁華街,天神のカフェ&大分県の就業支援施設で販売体験

あるいはちょうど今週末に行う「おおいた起業体験プログラム」の販売実習の取り組みも紹介。高校生が自分たちで仕入れをしたり、商品開発をしたものを福岡のカフェに持ち込んで販売する。それまでに2回それぞれ150分の授業と合間に2-3回大学生とメンターを含んだミーティングをして、準備を進めている。その成果は週末に明らかになるが、出雲のこの商店街で自分たちの力を試す機会をみんなに創ることができるよというメッセージ。

高校生が前のめりで話を始めた

ここから高校生のアイデア発表の時間。特に2年生の独壇場に。

Aさんは、すでに地域に根ざした活動に参加していて、出雲できる機会を模索していたとのこと。そこでの取り組みも参考にしてだろう、年齢関係なく来た人誰もがコミュニケーションを取れる「ゲームカフェ」を提案。

今回参加してくれた高校生。画角の関係であと1人入らず。

Bさんは、学校が終わったあとに自習をできるスペースが欲しいとコワーキングカフェがいいなと提案。商店街にも喫茶店やそうしたスペースはあるものの、高校生には単価が高いし、入りづらいとのこと。

Cさんは、仲間作り掲示板を作りましょうと。アナログで育った私たち世代で言えば、駅にある掲示板のようなもの。そこでメンバー募集をして、気軽に集まって学校外の友達も増やしていきたい。

高校生からの意見まとめ

そうしたアイデアの中で、商店街の皆さん、そして副市長も「面白そう!」と盛り上がったのが給食カフェのアイデア。すでに他地域でも同様のコンセプトカフェは誕生しているが、「高校生になって給食がなくなってしまい、あの懐かしいメニューをまた食べたい」という高校生のコメントにその親世代である大人たちも反応。今後の展開の柱になりそうなアイデアが出てきた瞬間だった。

さあ、どうする大人チーム

時間になって高校生は帰路に。残った大人チームで実現可能性について議論スタート。どうやら行政側ではこの1時間ほどのミーティングでいろんなパズルが埋まったよう。何より生徒に同行されていた高校の先生から革新的なアイデアが出されて、そこに誰もが乗っかる形に。

古くから続く商店街にはイベント開催のノウハウも資源も蓄積されていて、あれもこれもすぐできる。しかも、出雲市内には高校生が集まってさまざまな活動をする団体もできていて、学校や地域の垣根をなくして高校生のアイデアを形にしようと前進し始めた。

高校生が帰る前に皆さんで記念写真

ここで「スプラウト」がどう関わるか。大学生をわざわざ福岡から連れてくる必然性はという疑問も少し湧いたけれども(笑)、こうやってさまざまな人の声を集めて形にしようと動き出せるのは、この出雲という土地柄なのかもしれない。難しい方程式が解けたあの瞬間と同じ感覚。

あとは実装をどう進めるかなので、ここから先は出雲の皆様がメインで進んでいくことでしょう。とは言え、今回のミーティングでは一歩も二歩も進んだ感覚があり、そのあとのふりかえり(という名の飲み会)でもいろいろと議論が進んだ。これが商店街の活性化、高校生の活動の場と繋がっていくことに大いに期待したいし、そこに何か関わることができるのであれば嬉しい。

その前に商店街と高校で協働して行うイベントが3/30に開催されるので、ぜひ足を運ぶことにしたい。

朝起きると、飛行機欠航のお知らせ

気分よくホテルに戻り、気づいたらベットで寝ていた。天気が良ければ前回同様に出雲大社をお参りしてから帰るつもりだったが、あいにくの雨。いや、そんな淡い思いを吹き飛ばす連絡が目に飛び込んできた。

飛行機、欠航!

そのメール

いやいや(笑)んなわけないだろと何度も確認したが、残念ながら欠航に。

そこでチケットを切り替えて夜便で帰ることも考えたが、その後の福岡でのスケジュールを考えると難しい。そこで、チケット払い戻しの上、JRで帰路につくことにした。しかし…。

JALのWebの通りクリックしてもキャンセルできないし!

では電話で問い合わせようにも

平常時は8時だけど、今は人が足んないから9時からね!夜は20時までね!

とどうにもこうにも…。さらに電話をかけたら、20分待っても繋がらないという状況で、朝からヤキモキしてました。

結局、本来乗るはずだった飛行機と同じ時間、11:00発のおきで新山口へ向かい、新幹線で博多に15時過ぎ着という行程で福岡に戻ることに。

それがこのチケット

今、この記事はおき号の中で書いていますが、この列車はディーゼル車かつ振り子なので揺れに揺れてます。文章書くのも一苦労(笑)

ふりかえり

九州であれば福岡の大学から学生が来るには一定の意義があるが、山陰地方の出雲まで来る意味は。これを問われると、答えるのはなかなか難しい。

たとえアントレ教育プログラムの一環とは言え、そこに大学があり、元気な高校生が活躍できる基盤があるのであれば、それを基礎に活動をして頂くのが良いだろう。ここまでさまざまな場所で高校生が活動してきたこと、活動できるという紹介をしたことは無意味ではなく、皆さんへの話題提供という形で貢献できたのは良かったのかもしれない。

出雲市駅にある木像。出雲は神話の国。

それにしても、たまたまかもしれないが、今回参加してくれた高校生たち、みんなジブンゴトとして前向きに活動しようとしていたし、自分の地元に貢献したいという想いを強く持っていたなぁ。こういう生徒さんに選んでもらえる大学、学部になるにはどうしたらいいのだろう(私が考えることではないか)。あるいは、どう環境を整えれば生徒をプロアクティブに導けるのだろう。いや、導くのではない。何というべきか。

ここに来た収穫は、まだまだプログラムを通じて何をどうしたいのかを詰めていく必要があること。正当性、必然性のようなところをどう考えるか。ここ数日得られていた自信のようなものがなくなったわけではないけれども、自分たちが同じ土俵に立つにはどういう力を身につけるかを考えなければならないのかもしれない。

力が足りない。むー。もう50になるけど、チャレンジは続く。そろそろ他のことも自分でできるようになりたい…。

山陰に来たし、カニ!

というわけで、揺れる車内でランチを頂きます!

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