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出雲は本当に縁結びの街だった!|出雲市サンロードなかまち商店街にて「スプラウト」を叫ぶ雑記

10月24日(火),朝早く福岡を出て昼前に出雲市に到着。これまで数度出雲には行ったことがあったが,念願の新幹線→在来線での日本海側を通るルートでの出雲入り。所要4時間の旅だったが,快適に過ごした。が,この時はまだ頭がボーッとしててこのあと来る怒涛の1日を知る由も無かった…。

新山口8:36発スーパーおき2号で出雲へ向かう

今回の出雲行きは中小企業庁の商店街活性化事業の一環で,そのメインアドバイザーに入っている木藤亮太さんからの要請で決まったもの。商店街活性化のアプローチとして,壱岐や飯塚で行ってきた高校生を組み入れた活動の成果,その前提としての「スプラウト」での活動が評価されてのことだ。

わずか1泊2日の短い時間の滞在だったが,そこで過ごした時間は濃いものだった。このあと起きるかもしれない楽しいことの序奏になれば良いのだが…。今回も私目線での記録をお読み頂けると幸いです。

出雲でアントレプレナーシップ教育の意義を叫ぶ!

ランチ前に木藤亮太さんと合流。今日の舞台のひとつ,サンロードなかまち商店街へ。商店街は出雲市駅から徒歩5分ほど。入口には大社のお社の姿のように大きな切妻になっていて,日中でも車が行き交うアーケードになっている。

商店街の入口

ランチは商店街内の「発酵文化研究所」でカレー。雲南の和紅茶とともにとても身体に優しい感じで緩やかに時を過ごす。身体と心を整えて高校訪問へ向かう。

今回最初の訪問地は島根県立出雲商業高校。実は本務校から指定校推薦を出している学校でもある。教頭はじめ先生方にご挨拶。「今年もよろしくお願いします」と丁重なご挨拶を頂く。

また,甲子園出場経験を持つ同校OBにはカープで活躍した大野豊氏がいる。校内に展示物がいっぱい。

立派な展示館になっている

商店街には出雲市内にある各高校のOBOGだったり,保護者だったりもいるので,いろいろと話が早いという現実がある。今回もこの話をするにあたり,商店街内の理容室オーナーであり同校OB,かつ甲子園出場メンバーという強力なコネクションを活かして,教頭以下,PBLに携わる先生方が同席してくださった。

すぐに会議室でミーティング開始。今回のテーマは商店街と高校の連携可能性を議論すること。そこで,多少高大連携アントレ教育プログラム「スプラウト」についてもお話をしつつ,産学連携の1つのあり方として商店街で高校生に何ができるかを中心にお話しする。が、実はそれは今日起きる諸々のことの導火線に過ぎなかった(笑)

担当の先生から矢継ぎ早に質問が繰り出され話が盛り上がる。飯塚や壱岐での事例をもとにあれやこれやと。そして,教頭先生からは「20年程前に商店街で同様の活動を行ったら,高校生の店ばかり売れて周りの商店が売れなかったという経験から地域との連携に及び腰になってしまっている。そのため,『出商デパート』も校内でしか実践できていない」と。

さらに,島根県の魅力化事業の中でも出雲市内の高校が置かれている環境についてお話を伺う。地域魅力化事業の中核として地元高校に力を入れているという話は知っていたが,まさかそのようなことになっていたとは。あれよあれよと1時間が経過。なんとなく手応えを得て離脱。

後半は郊外にある別の私立高校に。こちらではボランティア活動を行う部活動の先生メインにお話をし、地域に関わる活動大事ですよねと話しつつ、同校の状況についてご丁寧にご案内頂く。

夜は商店街と高校をつなぎ合わせる絶好の場所に

しばしの休憩の後,今回の出張のメインであり、商店街活性化事案の一例としての「スプラウト」を中心とした地域と学校連携を図るプログラムの話を私からさせて頂いた。ここには急遽出雲商業高校から先生も参加されて、図らずも商店街と高校が同じ席で私の話を聞くことに。何かが起きる予感…。

ここ最近各地で話をしている内容を少しアレンジして(順序を変えて)お伝えすることにしたのだが,この中で今回強調したのは「商店街で高校生が活動できる場所を作るってのは、部活動の場所を提供するようなものですよ!」と。

日中の出雲商業高校での話を終え,商店街に戻ってふりかえりを行っていたところ,実は商店街側の体制さえ整えば,高校生の活動の場として商店街を活用してもらうことはできるのではないかという手応えがあったよねという確認をしていた。だからこそ,商店街内の合意・納得が得られれば前進するのではないかと考え,こんな余計な提案をした。

ここでお話をさせてもらいました。

そしたら,やっぱりメッセージが商店街側に響いた模様。生活に密着し、生きる術を得るビジネスを通じて「失敗しても良い!」という環境を作り出す。そこから試行錯誤して,すぐにチャレンジすることができる。それこそがアントレ教育の肝だし、地域に愛着を感じながら機会を追求できる人材を創り出す装置としてこのコラボには可能性があるんだという話をした。

一方、高校からも「出雲市内には複数の高校がある。だったら,商店街を舞台にビジネスプランコンテストをやるでも良い!どうせなら出雲市内の高校にも参加を呼びかけましょう!」と勢いのある意見が出る。魅力化事業最先端を走る島前高校で教鞭をとられていた経験がある。面白い意見がポンポン出てくる。「実はこんなことを地元の高校に赴任しからにはやりたかったんです」と熱く語り始める先生。福岡女子商業高校との関係を説明すると「実は校長のファンなんです…」みたいな話も出てきて一気に距離が縮まった。なんや,そういうことか(笑)

そこにどうやって今私たちが取り組んでいる活動「スプラウト」を絡めるか,これには課題があるが,過去数年間取り組んできた地域に根ざして高校と連携しながら活動を進めるということは,地域の課題を一歩前に押し出す側方支援ができる良いコンテンツであるということは言えそうだ。改めてそのような手応えを私自身も獲得することができた(自画自賛)。

商店街✕学校✕大学✕専門家のコラボレーション

さらにアフターではとにかく盛り上がる。ざっくばらんに意見交換しながら、商店街と高校の連携に夢が膨らむ。素晴らしい時間が過ごせた。

なお、余談になるが今回食事をした皆さんの中にはこちらのメディアに取り上げられている方もチラホラ。

商店街内で造り酒屋を営む方古い家の蔵を改築して日本を代表する特撮モノでVFXを制作するプロなど、表からだけでは見えない面白い人がこの街にはいる。こうした資料があるだけで、もうカリキュラムができてしまったではないか。ここまで培ってきたノウハウを活かして,授業やってみたい。

しかし,こちらのリソースが問題になりそう(笑)誰か一緒に出雲行こう。

ふりかえり:出雲大社へ行き来する道すがらに感じたこと

翌日11時の飛行機で福岡に戻ることになっていたが,せっかくの機会なので(これまた乗ってみたかった)一畑電車で出雲大社に向かうことにした。

京王5000系がここではハロウィン電車に!

途中乗り換えを含んで約30分。日中に訪れれば観光地で多くの人が訪れる出雲大社もこの時間は荘厳な祈りの場所。7時前に到着したが,すでに参拝の人がチラホラ。

行ってよかった出雲大社

約1時間ほどの滞在であったが,心をリセットするよい機会をもらえた気がする。もう30年も前の学生時代,休み期間にいつも訪れていた大徳寺で過ごした時間を思い出す。

今回撮影したお気に入りの一枚

しかし、帰りの電車の中でふと気になったことがあった。出雲大社から出雲市駅へ戻る列車の乗客のほとんどが高校生。が、彼・彼女たちは誰とも話すことなく、教科書を読み、スマホを眺め、周りを気にするそぶりもない。友達と会話をするわけでもなく、笑顔があるわけではない。

東京と変わらないであろう景色がそこにはあった。

なぜにそんなに疲れているのだろうか。前の晩にオジさんたちはバカみたいに盛り上がり、飲み屋では隣の若い女性たちが大声でああでもこうでも言っていた次の日に見た景色にはいろいろと考えさせられた。ただの余計なお世話なのだろうか。

地元に戻って生活基盤を築けるのは地域を愛していられるから。が、18歳ではなかなか見えないし、別に見えることが良いことでもない。ただし、自分たちの食事や生活がどうやって成り立っているのかを知ることが、未来に「出雲でどうやって暮らそうか」に繋がるのだろう。そうして日本の美しい地方は自立した街として生きていくことができる。昭和、平成とは違う令和のまちづくり。縁結びで成り立つこの街が人と人との間のご縁を大切にしないはずがない。

きっと何かできる。やり切る。出雲の皆さんとのご縁を大切にしたいですね。

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