見出し画像

言い返せない

治療方針を決めるとき。病院の都合、スタッフの要望、患者の要望、主治医の判断、全てが同じ方向を向いていないケースが往々にある。

主治医が病状に応じた判断を下すためには患者とその家族への説明と同意、経験、技術、知識、医療資源の把握、バランス感覚が必要でガイドラインや他の医師の意見、患者・家族の要望を取り入れたうえで、自身の倫理観に基づき患者の利益を第一に考えた総合的な判断を下す。

しかし、病院の都合の肥大、スタッフとのパワーバランスなどの外的要因により判断を歪められることがある。

明らかに顧客(患者側)への不利益となるような判断を繰り返させる外的要因があると非常にやりづらい。

どの職業でもこういった事はあるのだろうか?

「命」「人生が」と人命至上主義を唱えるつもりはないが、主治医として1人の患者を診ているとき、できる限り要望に沿って良い結果を出したい。

それが叶わない時。スタッフや病院経営層からの外圧に対し意見を述べたくなる。「この人はまだ退院させないで欲しい」「この薬を使わせて欲しい」「入院させて欲しい」「ここでは診られない病気になっているから◯◯病院を受診させて欲しい」など。しかし、、それをすると抽象的かつ観念的な論理展開が始まり会話にならない。その意見が経営層の自尊心に触るようなものであれば糾弾され雇用関係を楯に制裁をかけられる。

「医者の怠慢」「社会性がない」「代わりはいくらでもいる」「思いあがるな」それにより病院を去った医局員は数えきれない。

恐怖と欲望は思考を停止させる。「お金」「資格」「居場所」を失う恐怖を日々感じていると知らぬ間に思考を停止させた状態となる。しまいに感情を押し殺し、暴走させることを繰り返し次第に諦めに達し平坦となる。

宣伝広告が上手く競合が少ないため多くの患者が集まる。良くなった人もいるが忖度ない判断ができれば。。。と思う人も沢山いる。    

うまく立ち回る方法はなかったのだろうか。

恐怖と欲望に支配され、思考を止め、自分の価値観に嘘をつき続けてきた結果がここにある。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?