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忘れられない人①

大学生の頃。

とても大好きだった彼女が自殺した。
携帯の留守電に『大好きだよ、ごめん』ってメッセージを残して。

それから朝起きるとただ絶望しかない日々。
このまま目が覚めない方が良いと思って夜を過ごす日々。

学生で、ただただ時間だけがあった。
いつも明け方までくだらない話をした。
幸せな時間に悲しい終わりがあるとは想像などできなかった。

20年くらいたって自分の中でやっとこの事に冷静になれた気がする。

でも、いまだに知らない女性の後ろ姿に彼女の面影をみつけたり、ふとした瞬間に思い出して涙が溢れないように唇を噛しめたりする。

とても辛い思いをさせられたのに、どうしても彼女のことは嫌いになれない。


あの頃の僕はとにかくこの出来事を忘れることに躍起になっていて、携帯電話も写真もその頃着てきた洋服も彼女を連想させるものは全て捨ててしまった。

記憶だけは、ゴミ箱に捨てる訳にいかず心の奥底に仕舞い込んだ。

自分の気持ちを冷静に整理したい。

それと同時に彼女のことを、どこかで忘れたくないのだと思う。

とても時間がかかるけど、彼女のこと、自分のことを少しずつ書いていきたい。

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