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子供たちにはかける言葉もない···

北海道もオミクロン株を中心とした新型コロナウイルスの急拡大が止まらない。第5波までは札幌が圧倒的な感染者数を記録し、ほかの地域はそれほど警戒感はなかったが、この第6波は広い北海道の全域に感染が拡大している。

そんな中、残念な知らせが入ってきた。僕の高校の同級生のご子息が、アイスホッケーの中学生神奈川選抜で、21日からの中体連全国大会に出場するために北海道釧路市入りした。だが、釧路の感染拡大に伴い、直前の20日に大会が中止になった。

全国から来た選手も保護者もホテルに缶詰め状態だという。

遠方の親御さんにとっては子供たちの遠征費もばかにならないし、自身も子供の晴れ舞台を応援するために、安くはない旅費をかけてはるばる釧路入りしている。このような実費を、実行委員会はどのように補助するのだろうか。

個人的には、子供たちに悲しい思いをさせないためにも、大人が責任をもって無観客で良いから開催すべきだったと思うし、主催者も苦渋の決断だったと思うが、中止するなら決断はもっと早くすべきだったと思う。

幸いにも子供たちの多くは辛い思いをしながらもこの決定を受け入れ前を向いているという。落ち込んでいるとは思うが、次のステージでの活躍を願わずにいられない。


僕はスポーツに携わりながらも東京五輪開催(いや、オリンピックというイベント自体、役目は終わったと思っている)に反対の立場だったが、国民の意見が二分されながら、デルタ株感染拡大の中、開催された。

正直、オリンピックを目指すようなトップアスリートが特別視されるのは違和感しかない(もちろん常人では計り知れない努力をしてきたことは十二分にリスペクトしている)。

コロナ禍で、2020、21年度は多くの少年、青年の大会が中止となった。子供たちにとって、特に各カテゴリーの最終学年の選手にとっては最後の大会であり、その大会が彼らのオリンピックだと思う。大会が中止になるという経験は戦後、今の現役世代たちだけだ。彼らの心中は如何ばかりか、経験がないので分からないし、かける言葉も見つからない。

僕が関わっている北海道学生サッカーでも、この2年、リーグ戦は前期は中止で、後期だけで順位を決めていた。リーグ戦中も、棄権したり、すべての試合をこなせないチームも多かった。優勝が決まった翌日に感染者が出て、全国大会出場を辞退したチームも出た。

大学それぞれでコロナへの対応もバラバラで大学の施設が使えなかったり、練習もロクにできないチームもあり、各チームもコンディションがバラバラで、けが人も数多く出ていた。

レギュレーションの問題もあり、圧倒的強さで2部を制したチームが無念にも1部に昇格できなかったりもした。

大学スポーツは卒業とともに競技自体を引退し、社会人として仕事に専念する選手が多く、真剣勝負ができる最後のカテゴリーでもあるので、仲間との大事な思い出作りができなくなってしまう。本当に気の毒だ。

そんな思いをしている選手たちを目の当たりにし、一方で、オリンピックで金だ銀だと大騒ぎし、まともに試合や練習ができない学生たちが、札幌市で開催されたサッカーやマラソンでボランティアとして半ば強制的に動員されている状況に違和感しか感じなかったのだ。

スポーツは、スポーツを愛するすべての人々にとって平等であるもので、上手い下手、才能のあるなしは関係ない。もちろん努力してきたエリートが応分の恩恵を授かるのは当たり前だが、エリートだけを特別視するのは間違いだ、とハッキリ言っておこう。

子供たちの健康と天秤にかけることなので、軽はずみなことは言えないが、これ以上辛い経験をさせないためにも、基本的には大会は開催する方向で進めた方が良いし、そのためにも全スポーツ(屋内、屋外)に共通した開催ガイドラインを作れないものだろうか?

インフルエンザや風邪と一緒で、人類はこの新型コロナウイルスとずっと付き合っていかなければならないはずだ。なので、今後も感染拡大、収束で大会の可否を決めてばかりいたら埒が明かない。

とにかく、この状況が早く落ち着いてほしいし、子供たちがなんの気兼ねなくスポーツで一喜一憂できる環境になればと願うし、大人たちがその舞台を整える努力を重ねることが必要だと感じている今日この頃だ。

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