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「クリエイティブ司書賞」の結果を発表します!(2022.2.22)

この記事は、2022年2月22日に書かれています。

2月22日といえば「猫の日」(にゃん・にゃん・にゃんの日)、おでんの日、椎葉村図書館「ぶん文Bun」(ぶん・ぶん・ぶん)の日・・・そしてそして「クリエイティブ司書賞」の結果発表の日です!!パチパチパチ

🖊たくさんのご応募をありがとうございます

1月20日から2月20日まで一ケ月にわたり募集いたしました「クリエイティブ司書賞」にご応募いただきました皆さま、誠にありがとうございます。

「クリエイティブ司書賞?誰やねん?」と笑い捨てられるのがオチかな・・・とも畏れていましたが、おかげさまで【63名】の方々から【392点】のご応募をお預かりすることができました!

ご応募期間はほぼ毎日、皆さまからお届けいただく新鮮・芸術的なコピーを読み、心愉しく過ごすことができました。

どこの犬の骨とも知れない人物のキャッチコピー賞であるにもかかわらず「図書館」という文脈にご共感いただいてご応募いただいたことかと思います。改めましてご応募いただきました皆さまへ、そしてこの縁をつないでくれた図書館という存在に深謝申し上げます。

🖊総評

392点、一点一点を、できるだけ図書館人としての先入観なく新鮮な気持ちで読み込ませていただきました。そのうえで、審査を行った際の総評を下記の通り書き述べておきます。

≪審査担当者総評≫
「図書館専門のキャッチコピー募集」という切り口はこれまでに無かったのかもしれません。そうした取り組みを自身で、日本三大秘境の椎葉村から全国の図書館界を応援すべく企画発案できたことを大変誇らしく思います。
その誇らしさが克明になったのは、日々積み上げられる皆さまの「図書館への熱いメッセージ」としての応募作品を一つ一つ読み上げていくなかでのことです。392点のメッセージが幾重にも織りなす立体的な図書館像は、まさに生きたナニモノかとして躍動していました。
とくに私が着目したのは、本を生きものとして扱うキャッチコピーや、図書館における対人関係の物語を描いたキャッチコピーが非常に多く、また魅力的であったことです。これはまさに、図書館が単に資料を集め・保管し・読ませるだけの無機質な場所ではないということを示しています。
図書館は、無数の記憶と現在により生き生きと活躍しています。これから皆さまにもご覧いただくキャッチコピーの数々を読めば、きっと図書館のにぎやかな声が聞こえてくることでしょう。
企画当初の意図通り、このキャッチコピーたちが多くの図書館のお客さまたちに届くように願っています。そしてまた、多くの図書館勤務者にも届くように願っています。
利用者×勤務者の多くがキャッチコピーを通じて図書館の物語を感じ「わたしの場所」としてのそれを再認識するとき、図書館の在り方はもう少しスムーズで明るいものになっていることでしょう。

クリエイティブ司書・小宮山剛

🖊「ファイナリスト的、よかったコピー」

「クリエイティブ司書賞」では二部門、すなわち「図書館にいきたくなるコピー」「図書館ではたらきたくなるコピー」にクリエイティブ司書賞を授与すると謳ってあるのみで、段階的なファイナリスト作品を挙げることは考えておりませんでした。

しかしながら皆さまの御作品を呼んでいるうちに「これはぜえぇんぶ紹介してぇなぁ!ウヒヒ」という気持ちになりましたので、クリエイティブ司書賞受賞作発表の前に「これはよかった!」という作品を順不同で紹介させてくださいませ。

「ファイナリスト的、よかったコピー」の掲載については、お名前・ペンネームの掲載を省略いたします。また、各部門のよかったコピーのうちいずれか一つは「クリエイティブ司書賞」受賞作となります。

「自分だったら」どれを選ぶかな~、と考えながらお読みいただくと楽しいかと思います!

✑「ファイナリスト的、よかったコピー」:「図書館にいきたくなるコピー」部門

会えない時代でもどこにだって行ける

本を読めば、その土地や舞台にひとっ飛びできますね。コロナ禍だからこそ嬉しい!

わたしを待ってる作家(ひと)がいる

作家さんとの相互の疎通が言語化・可視化されるようでドラマティックなコピーです。

ググるより、めくる。

心地よい音が聞こえてきそうな、テンポのいいコピーです。紙の本の良さが際立ちます。

眠っている本を、起こしに行こう。

本と人との劇的な出逢いが予期されるようなキャッチコピーにドラマを感じます。

あの人と、ノルウェイの森で待ち合わせた。

「本の前で待ち合わせ」というのがとってもキュートで「ノルウェイの森」とあえて固有な作品なのも良いです。

こんなに静かなのに、 そうぞうしい。

「そうぞうしい」の字に込められた心地よい「騒々しさ」とクリエイティビティの同居が感じられます。

あなたとぺらぺら、黙々タイム。

オノマトペを上手に使いながら、外見的な静けさと内面の活発さを同時に表現しています。

ぶらり、ライブラリー。

たしかに!「ライブラリー」には「ぶらり」が入っていますね。うまい!

人生一冊逆転。

「一発逆転」を可能にするような本との出会いが窺われる、劇的なコピーです。

借りて読み終えた本は、いつか買った本でした。

すごく積読的なのが良くて、つい選んでしまいました・・・。

ジャケ読みしましょ。

そうそう、表紙だけ見て「いい感じじゃん」と開く本が良かったりするんですよね。

ずっと前から、本棚の中であなたを待っていました。

生きている本との壮大なドラマが始まりそうなコピーです。

春・夏・冬「なんで君だけ?」

「読書の秋」を逆手にとったコピーですね。うまい!年中図書館に行きたくなります。

放課後、僕は勇者になる。

とてつもなく惹かれるコピーです。一人のお子さんが、図書館の本の中という壮大なファンタジーに出かける様子がありありと伝わってきます。

私のなかの、知が騒ぐ。

「血が騒ぐ」とかけた、ウィットのあるコピーです。

積読するなら、まず図書館。

積読はとりあえず図書館だろう!みたいな感じがとってもいいです。積読最高!!

連れて帰って欲しそうに、 あなたと目が合う本がいる。

完全に本が生きています。こういう物語が生まれる場としての図書館という認識が嬉しいですね。

✑「ファイナリスト的、よかったコピー」:「図書館ではたらきたくなるコピー」部門

本の虫、輝く。

働き始めて輝いているところだけではなく、そこに至るドラマも想像できそうなコピーです。

"「図書館で働いています」 なんか、合コンで聞きたい。"

「嘘やん?!」と思いながら、自分が合コンで言ったらちやほやされちゃう想像をしながらつい選んじまいました。

本ものに、なれる。

「本物」であると同時に「本の者」である。本に誠実なプロフェッショナルが想像されます。

本命なの。

「本命」と「本、命(いのち)」という多層性がありながらズバッとくるかっこいいコピーです。

体にごはん、心にごほん。 私は心の栄養士です。

「体にごはん、心にごほん」と日常で使いたくなる、可愛いコピーです。

図書館で働い読?

リズミカルで心地いい、読み方のウィットが効いたコピーです。

🖊「クリエイティブ司書賞」発表!!!

ご覧の通り「図書館にいきたくなるコピー」の「よかったコピー」は17点。「図書館ではたらきたくなるコピー」の「よかったコピー」は6点という結果でした。やはり「いきたくなる」より「はたらきたくなる」のほうが具体度があがり、ストーリーを生み出すのが難しかったかもしれませんね。

それにしても良作ぞろいではないでしょうか?私はもちろんキャッチコピーのプロではありませんし、大きな実績もありませんが・・・。とても皆さんのようなコピーは制作できないなと感心しきりでした。

そして392点のうち多くを素晴らしいコピーが占めており、上記23点の「よかったコピー」は、断腸に断腸を重ねて内蔵ずたずたになりながら選別したことを申し添えておきます。

そしてもっと断腸なことに、最後には各部門で「1点」に絞らなければならないんですよ・・・。

そんなわけでそろそろ本発表にまいりましょう。







それでは、発表します!






栄えある第1回「クリエイティブ司書賞2022」の受賞作品は、






これら二つの御作品です!!!





受賞作 ≪春・夏・冬「なんで君だけ?」≫ について
「読書の秋」に着目したキャッチコピーが少なかった(ほぼ無かった)のは、もう既に世間で「読書の秋コピー」が使い古されているからでしょう。そんななか敢えて読書の秋に切り込み、逆転の発想として春・夏・冬に嫉妬させることで斬新さを生み出し「オールシーズン読書しよう」と仕掛けた・・・。これはまさに「年中図書館にいきたくなるコピー」です。キャッチコピーを構成する逆転の発想の鮮やかさと、とても具体的なイメージが湧く一方で万人に訴えかける力があるという点を評価いたしまして、見事受賞作です。この度はクリエイティブ司書賞「図書館にいきたくなるコピー」部門の受賞、大変おめでとうございます!

クリエイティブ司書・小宮山剛

受賞作 ≪本命なの。≫ について
このコピーは「ほんめいなの」とも「ほん、いのちなの」とも読めるように思います。「図書館の仕事が本命の志望」であるというメッセージと「本、命!大好きでしょうがない」というメッセージとが、この端的に言い切られた力強いコピーに込められています。「なの」という言い切り文句も、絶対に図書館ではたらくんだと意気込む人の姿が想像できて素晴らしいと思います。この度はクリエイティブ司書賞「図書館ではたらきたくなるコピー」部門の受賞、大変おめでとうございます!

クリエイティブ司書・小宮山剛

「クリエイティブ司書賞」を受賞された村山慎治さん・よしはるちゃんさんには、椎葉村図書館「ぶん文Bun」・椎葉村交流拠点施設Katerieオリジナルの革製ブックカバーを副賞としてお贈り申し上げます。

到着をお楽しみに・・・!

🖊なぜ私がクリエイティブ司書賞を企画したのか?


いや~、本当に素晴らしい企画、素晴らしいご作品でした!

「図書館にいきたくなるコピー」のとおり、どんなシーズンでも図書館にいきましょう!「読書の秋」なんて言っている場合じゃないですね。春・夏・冬が嫉妬していますよ。

そして「図書館ではたらきたくなるコピー」のとおり、図書館ではたらく人の「本命」の仕事を感じにいきましょう!図書館の人の本命仕事は、ただ本を貸し借りピッピするだけではない凄みがあります。

「じゃあ一体どんな仕事をしているのか?」と思った方は、ぜひクリエイティブ司書・小宮山剛が椎葉村図書館「ぶん文Bun」の立ち上げを担当した際の記録記事をご覧ください。図書館勤務って、こんなにクリエイティビティあふれる仕事なんです。

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今回私が「クリエイティブ司書賞」を企画したのは、椎葉村地域おこし協力隊の最終年度にあたって「何か全国の図書館を応援するメッセージを秘境・椎葉村から発信したい」と思ったからです。

ご応募が一件もなかったらどうしよう・・・と考えると怖くて朝も起きられませんでしたが、結果としては63名・392点という非常に力強い「図書館応援メッセージ」をお預かりすることができました。

クリエイティブ司書賞受賞作、そして「よかったコピー」として発表いたしました作品の他にも、素晴らしいコピーは多くみられました。今後何らかのかたちで全てのご応募作品をご覧いただけるように取り計らいたいと思います。

この記事を・・・あるいはご応募作品のすべてをご覧になった方々が「図書館って、いいな」と思っていただければ私の願い通りです。それを基に「図書館ではたらく人って、いいな」となり、その仕事の真価がひろく再認識されることを願うばかりです。

世の中には「本を管理する人」というだけではあまりに勿体ない存在としてのスペシャルな司書さんが大勢いらっしゃるはずです。

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「第2回クリエイティブ司書賞はあるんですか?」

・・・気が早いですが、そんなご質問をいただくことがあるかもしれません。その答えはYESでありNOです。

私自身が「クリエイティブ司書」であるのは、椎葉村の地域おこし協力隊であるがゆえだと思っています(協力隊のミッション名が「クリエイティブ司書」なのです。自称じゃないよw)。

したがって、来年も同様のコンテストを行う場合は「クリエイティブ司書賞」という名称でなくなっている可能性が高いでしょう。

同様のコンテストを来年も行いたいかどうかと問われれば、それには間違いなくYESと答えます。こんなに図書館への愛に溢れる企画は、自分で言うのもなんですが、あまり無いでしょう。

きっと時期は今回と同じく、冬の芥川賞・直木賞発表直後になると思われます。椎葉村図書館「ぶん文Bun」として実施するかもしれませんし、また別の形式をとるのかもしれません。・・・お題もきっと変わるでしょう。

そんななかでも、変わらぬ図書館・・・本への愛を皆さまと分かち合うことができると確信しております。

またその節は、多くのご応募を賜りますようお願いいたします。そして最後になりますが、図書館と積読を愛する皆さまのご健勝・ご多幸をお祈り申し上げます。

椎葉村図書館「ぶん文Bun」
椎葉村地域おこし協力隊
小宮山 剛