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デザイン考察②「イベントにおける時間のデザイン」#レポート2

「2年半ぶり開催予定のイベント」についての時間のデザイン


私が実際に開催を計画している、イベントのアイデアを記す。私は自らが経営する会社のビジネスモデルとして、リアルな場で行うイベントを、多いときは年間で10本ほど企画し、集客から開催までを行ってきた。

私自身がイベント企画を得意とすることもあったが、もともとは顧客向けのサービスの一環として行っており、その都度、例えばリベラルアーツ、お酒、リゾート体験など、あるテーマを軸に参加者同士が交流を図る目的であった。

ところが、2020年初頭から広がりを見せた新型コロナにより、やむなく会社も社会情勢に合わせ、こうしたビジネスモデルを、オンラインを主体としたものに変えざるを得なくなった。
この間、顧客同士もそうだが、当社と顧客との関係性は、大きく深まるという実感を持つことはできなかった。
そして今夏、あらためて今の社会情勢を鑑み、およそ2年半ぶりにイベントを復活させようと思うに至ったのである。

今回のイベントのテーマは、「アートと癒し」である。
その目的は、「アートに触れる非日常空間の中で、五感を刺激し、コロナ禍での疲れを癒す」ことである。

このイベントを成功させるためには、私自身が「非日常」という空間のデザインばかりではなく、時間のデザイン、つまり「不連続の時間にいかに意味を持たせるか」を精緻に行うことが必要と思っている。
つまり、組まれる「プログラム」に、コロナ禍で努力を続けてきた参加者一人ひとりの「ストーリー」が、無理なく自然に編み込まれていくことを意識して計画を進めることが、必要である。

開催する場所は、当社が保養所を構える静岡県熱海市である。具体的なプランの内容は、まず、大正時代の建造物である「起雲閣」からスタートする。大正時代ならではの独特で繊細なデザイン、庭園に流れる穏やかな空気や水といった環境により、瞬時に非日常の時間に皆が越境できるであろう。
そこを出たら次は、宿泊先のホテルに移動し、「アートやデザインをいかに企業経営に取り入れるか」についてのセミナーを行う。
アートやデザインの目的や意義のみならず、企業の資産をあらためて発掘するためには、それらに向き合うことがいかに必要かを、体験を通して感じてほしい。
そして、その後はお酒を酌み交わしながら、参加者同士の交流を図る。
コロナ禍で続けてきた努力をお互いにねぎらい合いながら、非日常的な時間を体験した者どうし、お互いの世界を「越境」し、交流を深めてもらいたい。
さらに、その後は熱海の誇る温泉にゆっくり浸かり、日常の疲れを癒したら、翌日は熱海市最大の美術館である「MOA美術館」の鑑賞を予定している。
折しもこの時期、「葛飾北斎」と「歌川広重」の作品が、同時に展示されている。
世界で認められた作品群に触れ、日本の歴史と伝統が築いた日本の美に誇りを感じてもらいたい。

この「アートと癒し」のイベントを通し、特別に意味づけされた時間を体験することで、参加者にとってその後の日常への移行に、少しでも活力を与えたいと願う。


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