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「質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか?」は、『無敗営業』の平易分解書と考えるともっとわかりやすい。 

 また大変ご無沙汰しております。大橋です。連続投稿が相変わらずできなくなってしまって、ほんとたまにしか投稿できてないのですが、また読んだ本がおススメなので紹介しますね。
 「無敗営業」の著者である高橋さんが、「無敗営業」よりもさらに踏み込んでわかりやすく、「若手営業パーソン」と「メンバーの育成に悩む営業リーダー」のために書きたい、と書かれた本。 「若手営業パーソン」と「メンバーの育成に悩む営業リーダー」をストーリー形式で登場させ、ロールプレイもふんだんに交えており大変平易な本で一時間もあれば読めてしまいます。 僕は「無敗営業」は本当にバイブルにしていて、営業の実践でもそちらに書かれたノウハウを落とし込んで対応するようにしています。かつ感動し過ぎて、これまで買って配った冊数は、もう二けたになったんじゃないかな。(ちなみに今日また発注しました)
イントロ長くなってしまいましたが本編行ってみましょう!


質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか? 無敗営業マンの「瞬間」問題解決法

高橋浩一 著 
2022年3月の本

 
 僕はプリセールスも含めると法人営業は15年以上も担当しているので、既にベテランと言われる領域になってしまうのかもしれないが、都合上一二年生を指導する機会も多く、そうした彼らにとっては格好のガイドとなるような本だと思います。 というのも無敗営業を彼らには買って与えているのであるけれど、いまいち反応がピンとこない。僕はSPINからシップレイから学んで「無敗営業」に行き着いて、「なんだこのわかりやすくまとめられた本は!」と感動したのであるが、そもそも一二年生は、SPINでのアプローチすら十分経験がないところからであれば「無敗営業」の(僕が受けた)感動とは異なるんだな、と思うこともあります。 実際、後輩に言われたことがあります。何がそんなに感動されるのかそのベースラインに立てていないというところが悲しい、と。

 ということで、一二年生をどうやって伸ばしてあげたらよいかというところになると、やはり営業に同席させて(Teams会議同席ね)、お客様に質問したりするところを見せたり、徹底的なSPIN質問の議事メモから「要件整理」のフォーマットで落としこんでみたり、というそういう一連の流れを見せてあげるのが良いと考えています。 その後に彼らに「やってみてみてよ」とやらせてみて、フィードバックしていく手法が一番なんじゃないかと思っています。 そうした一連の「質問」から可視化し「ご提案」に組み立てていくところ、は、なかなか一対一でないと、僕はまだまだ教えにくい。
そうした中で今回の本は、「無敗営業」よりさらに平易に踏み込んでおり、「若手営業パーソン」向けへのガイドとなると本当に思います。

 純粋にタイトルだけから勝手な想像をしてしまうと、例えば上司や先輩から仕事を振られた若手社員が、どのように質問をすればよいのか?や、例えば企画型の仕事の進め方をする際に、どう質問を組み立てていけばよいの?ということを考えてしまったりするのだけれど、こちらの本は純粋に「法人営業のノウハウを質問力という形で体系化した本」(を、さらに平易な対話手法でまとめあげることによって若手社員にもすぐに成果をあげられるように導こうとしている本)だと感じました。


以下の抜粋は、個人的な抜粋と、若手営業パーソンに読んでもらいたい的な抜粋と混在してますが、ご容赦を。

お客様へ寄り添う営業

「例えば、石川君が仕事で着るワイシャツを買いに、お店へ出かけたとしよう。ディスプレイの服に『このシャツ、形がきれいだな』と目をとめた瞬間、スタッフが即座に接近してきて『試着できますよ!』と迫ってくる。
 その場で『このネクタイを合わせると鮮やかに映えます。色も今シーズンの流行りですし、お客様に絶対お似合いですよ!』と熱心に訴えてきたら、どう思うかな?」
「うわあ、色々押し売りされそうだな、と感じて帰りたくなると思います」
「石川君は自分の欲しいものと相手の営業にズレを感じるわけだよね
 では、いきなり試着を迫る代わりに、『その服はどんな場面で着る予定か?』『色が好みなのか、形が好みなのか?』を聞いてきたらどうだろう?」
「自分に合わせた提案をしてくれるかも? という期待が膨らみます」
「そうだね。会話が弾んできたところで『差し支えなければ、どういったお仕事をされているのか教えていただけますか?』『他にはどういう服をお持ちですか』とさりげなく聞いてくれたら、さらに期待は高まる。 このお客様を理解する行為が『ヒアリング』だ。 そうして『この営業はわかってくれているな』と思ってもらえれば、ズレはおこりにくくなるし、商談は次の段階に進む

質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか? P47

 直近で鍛えている若手社員がこう言っていた。

営業なんで数字が大切だということはわかるし、いろんな方の営業スタイルがあるとは思うんですけど、やっぱり押し売りっぽく感じさせてしまう営業はニガテなんですよね。 自分がやられて嫌なことは、相手にもしたくないし、だからオオハシさんの営業スタイルは、とても勉強になると思ってます!」と。

無敗営業にも記載があったけれど、お客様目線に立って、お客様に寄り添い、ズレをなくしていくアプローチが非常に重要なんだと高橋さんは都度都度紹介されているし、データでも示しています。

顧客の事を理解し貢献しようとする姿勢がある営業がもっともズレない営業(無敗営業より抜粋)

 僕は法人営業にプライドを持っているし、かつ3年前に東海地区に異動してきてからは新規開拓営業を担っていることから、特にこの点は意識しています。徹底的にお客様に寄り添う為には、お客様のことをよくよく知らないとご提案なんてできやしないと個人的には思っています。 だからこそ「質問」が必要になる(というか必須スキル)だと考えています。


関係構築エンジンを回し続ける

 例えば、『この情報がお役に立っているのか』あるいは『他にどんな情報があったらよいのか』といったことを聞けば、お客様のニーズへの理解が深まるね。  それと、情報提供以外に『忙しくて負担になっていることはないか』『やりたくてもなかなかできていないことは何か』を聞いてみるのもいい。  そうするとお客立ちするチャンスがさらに回ってくる。
 『お役立ちする』『理解する』のサイクルが関係構築エンジンを回すことになるんだ。 
 お客様から聞いた情報にあわせてお役立ちができると、質問する機会がいただける。
 質問によって理解が深まったら、こちらの行動の精度が上がっていく。

質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか? P64

 お客様との関係性が深まっていかないと、お客様にとっての最適な提案なんてものはできやしないと個人的には思っています。どんなことに悩まれ、どんなことを課題認識し、というところは上記のとおり「お役立ち情報」などをご提示していったりして、『この営業とは話をしていて意味がある』と思わせなければならないと思っています。 そのために徹底的に顧客理解を努め、関係構築初期には十分な時間をとってお客様に寄り添おうとしています。


SPINアプローチ

質問から提案につなげる「課題解決質問」の流れ
①現状を把握する :Situation question (状況質問)
②悩みを深堀する :Problem question (問題質問)
③気付きを促す  :Implication question(示唆質問)
④提案につなぐ  :Need payoff question(解決質問)

質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか? P120

SPINアプローチは、僕もとてもとても大好きな営業アプローチです。SPINに関しては、多数の書籍やWebサイトがあるので、詳細はそちらを参照してほしいと思います。 例えば若手社員が、「〇〇というサービスを提案してほしいと言われました」というボールを持ってきた際には、なぜお客様が〇〇というサービスを提案してほしいと思われたのか、状況質問や問題質問をしっかりヒアリングしてきてほしいなぁ、と思ったりもします。 一回立ち止まって、S質問やP質問をしっかりして、ある程度形成を整えてから、I質問をすると、N質問から導き出される解決策は△△であった、 なんてことは、ものすごくよくあります。 
 質問力をつけて、しっかり成長していきましょう。
 以下部分もSPIN質問関連の補足抜粋で、ためになるところなので、引用しておきますね。

・P128
「『最後はお客様の選択で決まる』ということを心得ておくといいね。(中略)
 このように、選択肢付きクローズドクエスチョンで質問するとよい。選択肢があれば、お客様は『自分の意志で選ぶ』ことになる。意思があって初めて、自分事として提案を考えるモードになるんだ。」
・P130
課題解決質問で大事なのは、最終的にお客様がご自身の言葉で「取り組みたい」とおっしゃることだ

質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか? P128, P130

 このP130 の部分って、実際に体験したことがある方だとしたら、忘れられない経験になっていることかと思います。 営業なんでついつい解決策を提案したくなるのですが、ここまでがまんし続けたのちに、お客様から「ということは△△〇〇すればいいんだね」 というお言葉を引き出せた際には、心でガッツポーズしたくなりますよね。 ほんと、こういう言葉をお客様から引き出した後の、お客様が「自分事」化した後の案件は強いですよね。


「勝負どころの10か条」

・P154
受注率を左右する「勝負どころの10か条」
⑥検討上のネックや判断基準
 『少し踏み込んだ質問になりますが…』などの枕詞を駆使して、クロージングの妨げになる懸念を確認し、払拭していこう。それによって、意思決定をサポートするためのアクションも明確になる。

⑦ネクストステップ
 これは、『お客様社内の予定』とは異なり、『お客様と当社の共同作業』に関わるタスクの話。お客様と二人三脚で案件を前に進めるために、それぞれの持ち帰りタスクをはっきりさせよう。

⑧当社へのリクエスト
 当社がお客様へお役立ちできることの確認だ。相手が『もう購買の意思決定できる』という状態ならよいが、そこまでお客様の温度感が上がりきっていないときもある。その場合、『応えなくても怒られない宿題』に言及しておくことをおすすめする。
『今おっしゃっていた〇〇〇の件、当社内でも探してみて、もし良い情報があればご連絡しますね』というトーンで伝えておくのだ。
『応えなくても怒られない宿題』があると、こちらからいつでもお客様に連絡するための口実になる。

⑩直後のコミュニケーション許可
 特に、お客様が複数人数の体制で検討されている場合、商談の終わり際に『この後、〇〇様あてに少しお電話させていただいてもよろしいでしょうか?』のように、許可をもらっておきたい。
お客様に『検討しますので、お待ちください』と言われて、蚊帳の外で結果を待つことにならないよう、フォローするための機会をあらかじめ確保しておくんだ。

質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか? P154

「無敗営業」でもありましたが、楽勝案件は置いておいて接戦の案件でいかに勝ち切れるか、というところが営業の真骨頂なところだと思います。接戦の状況の際に勝負どころの10か条を駆使して、勝率を高めていきましょう。

詳細は本書をあたっていただきたいのですが、自分が特に気になった部分を抜粋しておきました。 例えば、⑩の「直後のコミュニケーション許可」などは、なるほど、と思うし、特にアカウント営業なのであれば、その次の案件にもどうつながってくるのかという観点もあるのでぜひやってみましょう。⑧の当社へのリクエスト、というところも大好きです。特にお客様がRFPを出そうかお考えの時には、このアプローチ(お役立ちになれるところを探す)という行動は大事ですよね。 長くなってきてしまいましたがあと少しです。


決裁者の判断基準を間接的にヒアリングする

「決裁者とお会いする前に、事前準備をしておきたいのですが、決裁者が重要視されるポイントをあらかじめ知る効果的な方法はありますか?」
「いい質問だね。『決裁者が重視されるポイントを教えてください』と担当者へストレートに聞くのも一つだが、それでは一歩足りない可能性が高い。 なぜかというと、担当者には決裁者の心中の全体像は見えていないからだ。
私がおすすめするのは、『〇〇専務(決裁者)は現場に対して、日頃どんなことをおっしゃっていますか?』とか『いつもおっしゃる口癖はありますか?』のように、担当者と決裁者との間の日常会話を押さえることだよ」
(中略)
決裁者の判断基準そのものを担当者に尋ねても、バイアスのかかった断片的な情報しか得られない。本当のヒントは決裁者の日常コミュニケーションにある。
 ・いつも何をおっしゃっているか
 ・何が口癖か
 ・何にイライラしているか
 ・どんな資料で全体に発信しているか
 ・どんなメールを書いているか
そういうファクトを尋ねるといい。 特に決裁者のイライラやストレスが現れている情報がつかめたら、そこに注目するといい。
 
 いつもくり返し言っているのに理解されないこと。皆にわかってほしいこと。そこに決裁者の心の琴線がある。そのニュアンスをしっかり捉えていれば、決裁者と顔を合わせていない段階でも、仮説を立てることができる。

質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか? P197

 ここは改めて勉強になりました。僕も某案件でお客様が決裁者を説得できず保留になってしまっている案件があるので、その案件に上記アプローチで再チャレンジしてみようと思います。 「いつも繰り返し言っていること」というところに決裁者の心の琴線がある、ふむふむですね。

お困りことを自然と引き出す「核心質問」

今回は二つの観点から核心質問を使ってみたよ。ぜひ参考にしてほしい
一見すると困っていないように見えるのですが… (本当に困っていることは何なのでしょうか)

これまでも、課題の解決に向けて手を打ってこられていると思うのですが… (なぜ、解決されないままに残っているのでしょうか。)」

質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか? P213

さて、最後のパラグラフとなります。
「核心質問」と名付けられていましたね。 こちらも大変勉強になりますよね。お客様のお困り度をお客様ご自身の口から話していただくことによって、お客様が困っていることをお客様内にリマインドさせていくこともできる素晴らしい技術だと思っています。あとはそのお困り度合いを営業側で紙に落としてあげる、こうこうこういう問題が起きていてお困りなんですよね、それは大変ですよね、と寄り添ってあげれば「わかってくれる営業」に近づけますよね。議事メモでやってから、PPTに落としていってお客様と共通認識の紙面にしていけると、素晴らしいですよね。


以上でございます。 自分の思いも強すぎて随分と長い投稿になってしまいました。最後まで読んでいただいた方、本当にありがとうございます。定期投稿はできないのですが、今後とも時々アップしていきたいと思います。
(お願いばかりで恐縮ですが「スキ」していただけると著者も励みになります)


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