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2018年、僕の心を震わせた「映画」ベスト10

早いもので年の瀬が近づいているということで、今回は、年間ベストランキング企画をお送りしたい。

選定基準としては、いつか僕が2018年を振り返った時、この年の映画体験における「感動」や「興奮」、そして「驚き」や「翌年への期待」がリアルに浮かび上がってくるような10作品を選んだ。暫定的に順位を付けているが、ここで選出している作品はどれも、この後の僕の人生において何回も観直すことになるであろう大切な作品である。

あくまでも個人的な年間ベストランキングではあるが、今このテキストを読んでいるあなたにとっても、ここで選んだ10作品が、2018年の映画シーンを振り返る一つのきっかけになったら嬉しい。



【10位】
ボヘミアン・ラプソディ

全世界的に「ロック」が求心力を失いつつある2018年において、今作がスマッシュヒットを飛ばした意義はあまりにも深いと思う。今回の映画化で蘇ったのは、決してフレディの歌だけではない。80年代、全世界を熱狂の渦に叩き込んだスタジアム・ロックの感動と興奮。その輝かしい普遍性を証明したラスト21分は、あまりにも鮮烈なライブ体験だった。


【9位】
ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書

個人的に、その道のプロフェッショナルの生き様や業を描いた「職業映画」に弱い。(近年でいえば、同じくトム・ハンクス主演の『ハドソン川の奇跡』にも号泣してしまった。)ジャーナリズムの精神を描いた今作は、フェイクニュースが乱立するトランプ時代に対する、スピルバーグ監督からの痛切な「告発」であった。『レディ・プレイヤー1』の製作と並行しながらも、わずか9ヶ月で今作を作り上げた彼の執念に震えた。


【8位】
A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー

新興の映画スタジオ「A24」の快進撃が止まらない。設立わずか数年の同社が配給・製作を手がけた作品たちが、今年も数々の賞レースを賑わせた。その中でも、僕が特に推したいのが今作。ホラー/ラブストーリー/SFといったジャンルの壁を無化しながら、最後にはまっさらな「新次元」を開拓してしまっている。それでいて、なぜか懐かしい肌ざわりを感じさせる不思議な一本。


【7位】
シュガー・ラッシュ:オンライン

コンテンツ・キングとして覇権を握り続けるディズニーが、ついに本気を見せた。ピクサー・スタジオをはじめ、ルーカスフィルム(『スター・ウォーズ』シリーズ)、マーベル・スタジオ(「MCU」シリーズ)までも傘下に収める同社は、今作中盤の見せ場において、無数のキャラクターを一堂に集結させてみせた。作り手たちがそれぞれのキャラクターに抱く愛情、ユーモア、そして確かな批評性がスクリーンいっぱいから感じられて、涙を堪えるのに必死だった。総勢15名のプリンセスが集うシーンはあまりにも圧巻。


【6位】
未来のミライ

3年に一度の細田守作品に対する期待が大きすぎたからなのか(もしくは、その期待が異なる方向に向いてしまったからなのか)、今作の世間的な評価は不当に低い気がする。それでも僕は、これから先の人生において、きっと何度もくんちゃんのことを思い出すと思う。全ては「過程」であり、だからこそ「希望」がある。人生を丸ごと肯定してくれるこの作品に、僕はこれからも何度も救われ続けるのだと思う。


【5位】
万引き家族

既存の価値観が音を立てて崩れつつある現代において、新しい「家族」の在り方を模索するための一作。是枝監督は、これまでにも映画作りを通して「家族」という概念の再定義を行なってきたが、今作ではついに「血縁」の向こう側へと踏み込んでいる。今作に込められた祈りや願いは、カンヌ国際映画祭のパルムドール受賞という形で、瞬く間に全世界に共有された。その祈りが、願いが、いつか必ず結実する未来を信じたい。


【4位】
シェイプ・オブ・ウォーター

『スリー・ビルボード』を破り、見事アカデミー賞作品賞を受賞した今作。「混沌の時代に贈るおとぎ話」とはまさに言い得て妙で、時代に「声」を奪われた者たちの物語は、2018年の今だからこそ鮮烈に輝き、そして世界から強く求められた。ギレルモ・デル・トロ監督が抱く異形の怪物への愛(そして、フェティッシュなまでのこだわり)が、こんな形で時代とリンクするとは想像もしていなかった。だからこそ、今回の作品賞受賞の報せは、彼の新作を追い続けてきた僕にとって何よりも嬉しいものだった。


【3位】
君の名前で僕を呼んで

この「LGBT映画」が世界中で愛され、そして必要とされる時代。2018年、マイノリティを巡る様々な意識変革が同時多発的に起こったが、この現象が一過性のブームとなってはいけないと思う。だからこそ、いつまでもこの作品を大事にしていきたい。今作が、「LGBT映画」の金字塔としてではなく、真の意味での「恋愛映画」の金字塔になる日を願っているは、きっと僕だけではないはずだ。


【2位】
リメンバー・ミー

全ての「死者」に愛と敬意を。ディズニー/ピクサー作品に通底する究極的な性善説を、これまで誰も見たことがなかった形で表現してみせた野心作。「家族」を巡る価値観が劇的に変容しつつある2018年において、絶対的な「血縁」の意味を見事に問い直してみせた。どれだけ時代が変わっても、決して変わらないもの。今振り返れば、いつだってディズニーはその大切さを伝え続けてくれていた。その真髄を改めて伝えた今作が今年公開されたことには、あまりにも大きな意味があったと思う。


【1位】
ちはやふる ー結びー

今回のランキング上位には、強烈な「時代性」を帯びる作品が並んでいるが、この作品が放っているのは、きっと千年先も色褪せることのない「普遍性」の輝きだ。僕は今作の評価を、「青春映画の金字塔」という一言で片付けることはどうしてもできなかった。「青春」の季節が過ぎ去ってから何年も経つけれど、この作品の中には、今も自分の居場所があるように思える。そして、そう感じるのはきっと僕だけではないはずだ。青春の光を生きる者/影を生きる者、勝者/敗者、先へ歩む者/立ち竦む者。今作は、決して誰のことも拒みはしない。これほどまでに優しく、全ての人の「青春」(および、その先に続く「人生」)を包み込んでしまう作品に、僕は生まれて初めて出会った。


2018年、僕の心を震わせた「映画」ベスト10

【1位】ちはやふる ー結びー
【2位】リメンバー・ミー
【3位】君の名前で僕を呼んで
【4位】シェイプ・オブ・ウォーター
【5位】万引き家族
【6位】未来のミライ
【7位】シュガー・ラッシュ:オンライン
【8位】A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー
【9位】ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書
【10位】ボヘミアン・ラプソディ



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