疳の虫と脱フュージョン
江戸時代のころ、日本には疳の虫(かんのむし)と呼ばれる考えがあった。
これは、主に子供の疳(ひきつけ、かんしゃく、夜泣き)を起こす原因と考えられていた虫のことである。
その治療法は様々あった。
一つに素焼きの土人形を咥えさせるということがあった。
論理はさておき、おしゃぶりとして土人形は機能していたということだ。
疳の虫以外にも、様々な虫が人体に対して悪さを働いていると考えられてきた。
解体新書が江戸の後期あたりに刊行され、医学の発達に寄与したことからも、一般市民の当時の医療は割と民間療法、おまじないの域を出ないものも多かったのだとわかる。
しかし実は、虫が悪さをしているという考え方は、現代の認知行動療法でいう、脱フュージョンというテクニックである。
脱フュージョンとは、苛立ちなどのネガティブな感情と自分との距離をとり、より客観的に捉えることで、感情をコントロールするテクニックだ。
例えば、嫌なことがある→イライラする→頭の中の虫が悪さをしていると想像する→怒りをコントロールしやすくなる。といった流れだ。
これは実は理にかなってる。先人の知恵恐るべし。
迷信も、今見ると非論理的であるかもしれない。しかし効果があるから、みなに信じられてきたのだ。
非効率や無駄を許さない現代だからこそ、そういった慣習や文化も愛おしい。
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