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セパタクロー熱中時代。vol.4
今、思えば、写真を始めて10年くらいまで、僕はいつも焦っていた。
当時の僕の写真はパッと見は派手だけれど「お、カッコいいね」で終わってしまうものが多かった。それは自分でも感じていたし、尊敬する先輩からも「お前の写真には説得力がない」と指摘されたことがあった。
24歳でなんのコネもない状態で始めようと決意してすぐに分かったことは、フリーランスでスポーツカメラマンになるのは狭き門だということ。さらに生き残るのは、簡単ではないことを悟った。
僕は人と違うアプローチを考えることにした。
まず意識したのは大きな現場を踏むことだ。最初に設定した目標はワールドカップとオリンピック、そして、個展の開催。僕はその目標を叶えるための道筋を研究した。写真の本質について考えるのは、まず生き残ってからにしようと考えた。
多くの偶然とたくさんの人の厚意によって、僕は10年足らずで最初に建てた目標はすべて達成できた。手前味噌だけれど、順調なキャリアだったと思う。でも心のどこかに自分が「ニセモノ」だという劣等感は常にあり、それを認めるのが怖かった。その不安を拭い去るためにガムシャラに走り続けた。
しかし、2回目の個展を終えたとき、自分が置き去りにしてきたものの大きさを認めざるを得なかった。新しい作品のイメージが湧かなくなっていたのだ。どうすれば良いのか、見当もつかない状態が続いた。
先輩の言葉が重くのしかかる。
「若いとき俺より上手いヤツはたくさんいたよ。でもみんな消えた。お前はどっち?」
僕は焦っていた。
※写真は2015年、ラジャマンガラスタジアムにて。
<SPOAL「セパタクロー熱中時代。」を一部加筆修正して転載>
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