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【読書記録】しびと

2021年242冊目(漫画等141冊目)。

えほん遠野物語シリーズの続きです。

三島由紀夫が「小説とは何か」で取り上げた有名なエピソードである「炭取り」が収録されています。その他にも「死者が帰ってくる」お話が集められています。

「炭取り」のお話は遠野物語を読んだ時は不思議なお話ということであまり怖い印象は受けなかったのですが、今作では怪談としての演出がなされており、他のエピソードと一緒に読むことで恐ろしさを感じさせるものとなっていました。

他のエピソードで扱われている「しびと」は生者を友引くような悪さをするものでした。より明確な悪意を感じられました。

ここで帰ってくる「しびと」は生前の人格を保持した幽霊とは別物という説明がなされていました。姿は知人・親類でも中身は別物ということで、ゾンビのようなイメージに近いのかなと思いました。

死んだおばあさんの足が炭取りに引っかかって炭取りがくるくると回る描写など、肉感を感じさせる描写がある一方で、追い立てられた「しびと」が天井に張り付いて睨みつけるあたりは現実感なく、「しびと」が肉体を持っている存在としてイメージされているのかはよくわかりませんでした。

同じシリーズの『おまく』のお話でもそうですが、遠野物語では死者が身近に感じられるエピソードが多いですね。死自体がそれだけ身近だったということもあるのかもしれません。

それにしても、知っている人が「しびと」として帰ってきてしまったらそれは厭だろうなぁと思いました。

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