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『目の見えない人は世界をどう見ているのか』 伊藤亜紗 著
善意は無意識の蔑みから生まれるもの、対等な関係は友情やユーモアを生み出す。
まさに目からウロコの世界でした。
個人レベルで言えば他人の世界を完全に理解することはできない、けれど、「目が見えない人」というカテゴリの世界に包含された多様性をこんなにも鮮やかに文章化されていて、新しい目を開かせてもらったような、「変身」したような心地になれる。
特別という差別も、余計な善意も入り込まない関係性を誰とでもつくっていけたら…そんなことを感じながら読みました。
p.38
「だんだん見えなくなってくると、みんながぼくのことを大事に扱うようになってよそよそしい感じになって、とてもショックでした」
p.38
情報ベースでつきあう限り、見えない人は見える人に対して、どうしたって劣位に立たされてしまいます。そこに生まれるのは、健常者が障害者に教え、助けるというサポートの関係です。福祉的な態度とは「サポートしなければならない」という緊張感であり、それがまさに見える人と見えない人の関係を「しばる」のです。
p.86
「すごい!」と言った人は蔑むような意図などまるっきりなしにそう言ったはずです。でも無意識のレベルで「見えない人は見える人にできることができないはずだ」と考えていることを、見えない人は感じ取っています。
p.87
私たちはつい「見えない人」とひとくくりにしてしまいがちですが、実はその生き方、感覚の使い方は多様なのです。
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