あの糸
瞼をひらくと、天から一本の糸が垂れ下がっているのが見えた。
積極的にここから抜け出したいというわけではなかったが、ここであきらめたら先には間違いなく地獄が待っている。
すがる思いで糸に向かって手を伸ばした。
先端に結ばれた玉を握り締め、腕に力を込める。そう遠くない場所で、カチリ、と金属がこすれ合う音がした。
その時、青白い光がこの目を貫いた。
部屋が明るくなった。
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