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干し芋の美味しさの理由。 砂糖は使わずに、さつまいもの糖分が増え、新たな糖分までも生まれる。

こんにちは。
干し芋の鶴田商店です。

 今回は、干し芋の美味しさの秘密について、ご紹介したいと思います。
干し芋は、生のさつまいものがいくつかの変化を重ねることで、濃厚で上品な甘さと凝縮された旨みを味わうことができるのです。

1,そもそも収穫直後のさつまいもは、あまり甘くない

 さつまいもは、収穫直後は、甘みが少ないのです。その理由は、収穫直後のさつまいもは、一部糖分は含まれているものの、甘くないデンプン質が大半を占めているためです。お芋掘りをして、すぐに食べてみると実感いただけるかもしれませんね。

↑収穫した手のさつまいも

2,さつまいもの低温貯蔵による変化

 さつまいもは、低温貯蔵することで、大半を占めていたデンプンがショ糖などの甘い糖分に変化し、もともと含まれている糖分も増えます。さつまいもの貯蔵には,温度 13~15 ℃,湿度 90 % 程度の環境が一番、適していると言われています。当店では、専用の貯蔵倉庫で、約2カ月以上、低温貯蔵し、熟成させます。

↑専用倉庫で低温熟成中のさつまいも

 お芋掘りなどで収穫したお芋も、きっちりとした湿度や温度管理は難しいかもしれませんが、冬の時期でしたら、ご自宅内の暖房が利かない場所などで保管しておくだけでも、熟成されて甘くなりますよ。

3,蒸すことによる変化

 生のさつまいもを加熱することによって、お芋はとても甘くなります。
さつまいもの主成分のデンプンがアミラーゼの働きによって、新たな糖分として、麦芽糖や果糖、ブドウ糖などを作り出しているのです。

↑蒸し終えたばかりのさつまいも

 これには、主成分のデンプンと、アミラーゼという酵素が関係しており、ブドウ糖が鎖のように長く連なってできているデンプンをアミラーゼが、その鎖を切って、麦芽糖や果糖、ブドウ糖などの糖を作り出す働きをするのです。ここで大切なのは、温度を65〜80℃の温度帯を維持しながら加熱すると、アミラーゼが最大限に働き、甘味を増したさつまいもになります。
 そして、糖分にも種類があり、面白いことに、それぞれ感じる甘みが異なるのです。
<加熱後のさつまいもに含まれる糖分から感じられる甘み>
 麦芽糖:水飴のような優しくて自然な甘み
 ショ糖:砂糖のような強い甘み
 果糖・ブドウ糖:爽やかで上品な甘み

 特に、水飴の主成分でもある麦芽糖により、蜜を染み込ませたようなしっとりと甘くて美味しいさつまいもにしてくれるのです。

4,乾燥で美味しさギュッと凝縮

 加熱した後は、皮むきやスライスなどの加工をした後に、専用のすだれに並べて、最後に専用の乾燥機で約2日間~10日間も乾燥させます。この乾燥により、水分が飛び、さつまいもの成分が凝縮し、濃厚で甘くて美味しい干し芋に仕上がります。

↑専用乾燥機で乾燥中

5,まとめ

 さつまいもが干し芋になるまでの栄養分や甘さの変化を知ることで、自然の作物って、本当にすごいなと思いました。よくテレビ番組などでは、加熱の仕方によっては、栄養素が無くなるので、効果的に摂取できる食べ方をおススメしたりしていますが、さつまいもは、低温貯蔵して、加熱するだけで、糖分などが増えて美味しくなるから素晴らしい食材ですね。

↑乾燥を終えた干し芋

 さらに、干し芋にすることで凝縮されて、少量でも美味しさを堪能できて栄養を摂取できる効率的なスイーツに変化します。保存食として生まれた干し芋、先人の知恵が詰まったとても素敵な食べ物です。

↑干し芋べにはるか

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