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ちんこすこう開発者は見た!#25 沖縄の真夏の到来と共に訪れる孤独の日々

ナイチャーが最も孤独を味わう季節、夏――。

沖縄の夏のといえばエイサーだ。近くの公園や公民館から、その練習の太鼓の音が聞こえてくると、ウチナーンチュは夏の訪れを耳で感じ取り「ちむどんどん(胸がドキドキ)」または「ちむわさわさ(胸が、、、よくわからん)」するという。

しかし、沖縄に住むナイチャーにとって夏は、

「孤独」という名の試練との闘いの季節だ。

まず冒頭のエイサーだが、確かにエイサーの格好をした軍団が太鼓をたたき始めれば、確かに「お!」とはなるが、筆者にそれ以上の感動は無く、当然「ちむどんどん」はしない。しかしこの時、ウチナーンチュの女子は“エイサーバイアス”の魔法にかかり、エイサー男子に恋をしてしまうという。エイサーをやったことのない自分にとっては、なんとも面白くない現象である。ひがみである。

そして旧盆、すなわちウンケーからウークイまでの三日間に突入すると、筆者のような“沖縄に親戚がいない”ナイチャーに孤独の日々が訪れる。

沖縄県民にとって旧盆は年中行事の最重要ポイントであり、その日開催される家族の集まりや仏壇への焼香を欠席することは基本的に許されない。その証拠に、ウークイの日(お盆の最終日)を休日としている県内企業は数多く存在する。当然、そのムーブメントに乗ることのできないナイチャーは行く当てもなく彷徨うことになるのだ。

独身の頃、ウークイの日にあまりにもやることがなく独りでパチンコを打ちに行ってみたことがあったが、来店客はまばらであった。今思えば、あのとき親戚のオバアではなくパチンコ「海物語」と向き合っていたのは、おそらく行き場のないナイチャー。または、親戚に悪事がバレてドロップアウトしたウチナーンチュに違いない。完全な偏見だが。

そして、そんな孤独感を倍増させるコンテンツがもうひとつある。

夏の甲子園である。

時々「沖縄の人は高校野球好きだよね」という声を耳にすることがある。はっきり言わせてもらうと、確かにそれは当たっているが、大きく外れてもいる。

正確には「地元の高校を応援するのが好き」なのだ。筆者は、沖縄の代表校がトーナメントで負けた瞬間、その年の高校野球観戦から離脱するウチナーンチュの様子を何度も見てきた。また、テレビで熱心に応援する妻から「バントってなんね?」と聞かれたこともある。

しかし、沖縄の地元高校が勝ち上がった日には大変なことになる。島を上げての大フィーバーは最高に楽しい、もとい楽しそうだ。県内の盛り上がりの中で“外野”である筆者は、心の中で「横浜高校もがんばれ‥‥」と静かに声援を送るしかないのである。




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