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あなたの味、あなたのレシピ

スープ?カレー?ディップ?

チェンマイに来て知ることができてよかったなぁと思うタイ料理があります。
それは ”ロンタオジャオ” という、タイのお味噌とココナッツミルク、ひき肉を使ったマイルドなお料理。たくさんの野菜と一緒にいただきます。

一見すると、スープのような、唐辛子を入れればカレーのような…
でも結局のところ、必ず新鮮なお野菜とご飯一緒にいただくので、ディップ的な存在の一品です。

このロンタオジャオは、温かい状態で食べてもよし、冷やして食べてもよしという両面を持ち合わせています。
出来立ての熱々から、常温、冷蔵庫で冷やした状態と、どの温度でも常に美味しくたべることができるユニークなお料理です。

私が作ったロンタオジャオ

一度お料理教室で習ってからとっても気に入り、幾度となく作りました。

お味噌の香りと塩け、ココナッツミルクのミルキーなコクと甘さ、タマリンドの酸味、お好みで唐辛子の辛さ、合わせて食べる野菜の苦味。

この一品の中に、塩味、甘味、酸味、辛味、苦味、旨味の全てが詰まっています。

同じ料理でもそれぞれ

先日、ゲーさんのお宅で行われたディナーパーティーのサポートに入りました。
とあるインターナショナルなリサーチグループのディナーパーティ、参加者は約20人でした。ゲーさんの提供するお料理は全てオーガニックです。

この日のメニューは、

  • 鶏肉と豆とバジルを主にしたハーブの炒め物

  • エビとぜんまいとピーナッツの和え物

  • 肉団子とハーブのマイルドスープ

  • 蓮の茎の煮付け

  • ロンタオジャオ

  • ジャスミンライス

  • パイナップル(デザート)

この日のお客様はアジア各国からタイに訪れた初日ということで、どのメニューもほぼ辛味がないものを選んだようです。

ゲーさんのご自宅キッチンは風通しがよく、明るくて、広い
キッチン内では私とゲーさんを含んだ4人で20人分の料理を作りあげました。

私がロンタオジャオがお気に入りで、つい前日も自宅で作ったことをゲーさんに言うと、「あ、じゃあ、、つまらないかな。メニュー変えた方がいい?」
と私に何か新しい料理を学んだ方がいいのではという気遣いをしてくださいました。

かえって、これはとてもいい機会です。
同じメニューでも、味はもちろん作り方だって多少違うでしょうから、ゲーさんのロンタオジャオがどう作られるか知ることができるなんて嬉しいです。

ゲーさんのロンタオジャオ

実際、準備段階の時点で私が習ったロンタオジャオとはかなり違うと言うことが発覚!
それが本当に材料からも違うので、驚いてゲーさんにそのことを告げると、ゲーさんもびっくりでした。

その後、その場にいたメンバーと話したり、ネットで他の方のロンタオジャオの作り方を調べてみたりしたのですが、どうやら私が習ったロンタオジャオが少し特別だったよう。
実は、私がロンタオジャオを習ったのは、食の活動家のアンさんでした。

正直に言うと、私が一番最初に知ったロンタオジャオの味はアンさんが教えてくれた味なので、私の中ではそれがとてもお気にりになっていたのです。

もちろん、ゲーさんのロンタオジャオもとても美味しいんですよ。
ゲーさんのお料理はとても清潔なんです。クリーンな味と言いますか、シンプルな昔ながらのやり方で、きちんと作られた味。

ゲーさんはまだまだお若いので”おばあちゃん”と言うのには失礼なのは承知なのですが、
祖母の手料理で育てられた私にとってゲーさんの味は、

懐かしい、優しい、おばあちゃんの味

なんです。

それとは対照的に、アンさんの作る料理はフュージョン的です。
いろいろな山岳民族の味を知っているアンさん、一般的なタイ料理よりも、タイ料理を基本にした創作料理のような表現の仕方です。”好き”が元気に飛び回っているような、元気な味です。

今まで知らなかった料理を初めて口にして、
それがとても気に入った場合、
その味が自分に馴染んでいく味の基本となるのかと、
今回のことで再確認できました。

同じメニューを作るのでも、
作り手次第が味が変わる。

たとえ同じレシピだったとしても、
決して同じ味は出せないのではないかな。

それが料理の楽しさ・面白さでもありますよね。

そうやって、あなたの味
ができて、
あなたのレシピ
が出来上がる。

好きだなぁ。ワクワクします。

タイの食卓のバランス

今回のディナーメニューは、
辛さに慣れていない方々ということを踏まえた
とても良いバランスの組み合わせでした。
もちろん、皆さんに気に入っていただけて、おかわりも続出。
デザートのパイナップルがお腹に入らないくらい、皆たくさん食べてくださいました。

みんなもちろん話をしながらですが、
黙々と食べることも止まりません。

タイの食卓にも、バランスの良いメニューの組み合わせの基本の形があります。

特にゲーさんはそのことをとても大切にしていて、そのバランスと食べる人の嗜好・アレルギー・バックグラウンドなどを聞いてから、メニューの組み合わせが考え出されます。ゲーさんのところにはいろいろな国のお客様がやってくるので、そのこともあってできたサービス精神だとも思います。

この食卓のバランスについては、また次回、ゲーさんのお話の時に書かせていただきますね。

本日も読んでいただきありがとうございました。

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