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美味しいガパオライスの色と香り
まずは育てるところから
先日、また小さな食堂のシェフ-ギップさんにタイ料理を教わりました。
↓前回、ギップさんに教えてもらったパッタイの話はこちら。
今回の一品はパッガパオ。日本ではガパオライスと呼ばれているものです。
パッガパオは、日本語に直訳すると、”バジル炒め”。ガパオ=ホーリーバジルなので、お好みで豚肉、鶏肉などをバジルと一緒に炒めます。
今回、ギップさんには豚肉と鶏肉を使うそれぞれのパッガパオを教わりました。
まずは主役のバジルから。
バジルの花と葉っぱ部分をつまみながら、ギップさんは言いました。
「あそこにバジルが生えているから、たくさん持って帰りなさい。そして、簡単だから自分で種を蒔いて育てなさい。美味しいバジルは買うもんじゃない。育てるの!」
と、種の取り方、蒔き方、育て方を教えてくれました。
私は、、「育てるところからかぁ…」と内心ちょっとびっくりしていました。
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あちこちにたくさんありました。土は完全オーガニックで、
決して”畑”ではなく、ほかの草木と混じりながら共存しながら生えていました。
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穴の空いた中華鍋
前回パッタイの作り方を教えてもらった時には、さほどお客さんがいなかったので余裕でしたが、この日は様子が違いました。
お昼時に、私がざっと数えただけで15人お客さんがいたんです。それをギップさん一人で切り盛りしなくてはいけない上に、その中で私にパッガパオの作り方を伝授してくれるというのです。
私は、ほかのお客さん全員にご飯を提供した後、落ち着いてからでいいといったのですが、ギップさんにはギップさんの考えがあったようです。
「まずはちょっと待ってて。用意ができたらバジルの処理をしてくれる?」
と… 。
バジルの準備が終わり、ガスの近くに行くと恥ずかしそうにギップさんが中華鍋を見せてくれました。
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「とうとう穴が空いちゃったの!今日、買いに行くつもりだったけど、お客さんがたくさんきて買いに行けないから、こう傾けて左部分で作るからね!笑」
私ももちろん一緒に笑いましたが、鍋に穴が開くほど調理したギップさんに驚きと感心の気持ちでいっぱいになりました。
鍋底の右のその部分は、炒め物をするときに中華ヘラが一番鍋にぶつかる部分です。
「どれだけ作ると穴があくんだろう…」
さて、パッガパオを作る時が来ました。
まずは、豚バージョンのパッガパオをギップさんが作り、
次に鶏バージョンを私と一緒に作っていききます。
私自身が食べる分が鶏肉バージョンなので、豚のパッガパオはほかのお客さん用です。
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作りながら、その工程を進めながら、
材料や調味料の説明を丁寧にしてくれます。
ギップさんにとって味はもちろんこだわりながらも”食べる直前の色と香り”もとても大切なのだと、今回教えていただいた中で一番印象的でした。
「この種類の野菜やハーブを入れるのは、色が綺麗だからなの。パッと見が綺麗なことは大切。もちろん、味のバランスも大切だけどね。豚肉と鶏肉は味はもちろん調理し終わった時の仕上がりのそれぞれ色が違うから、お肉以外の材料を使うときはそれぞれ別のものを入れるのよ。
お皿にもった時に、最後の仕上げにプリックタイ/胡椒をふりかけてね。この香りは大切よ。」
ソースと炒めた鶏肉は茶色になります。
他の野菜やハーブも多少茶色がかった色になるので、それに打ち勝つ赤系の色、ガパオの緑や他のトーンの緑も入れます。
一皿目のパッガパオガイ/バジルと鶏肉の炒め物を仕上げたときに、
ちょうどバジルと豚肉の炒め物を注文したお客さんが「できたかな〜?」と覗きに来たのです。私が料理を習っているの知っているお客さんなので、気になって来てみたようです。
すると。。。
「僕、バジルと豚肉の炒め物を注文したけど、、、このバジルと鶏肉の炒め物がものすごく美味しそうだからこっちにしてもいい??」
と言ってきたのです!
ギップさんは一瞬「え!?」という反応をしましたが、
(私もえぇ!と思いました。だって豚肉のパッガパオはもうできてお皿にのっていたからです。)
オッケーと言うことなりました。
実は私が食べるはずだったこのバジルと鶏肉の炒め物をそのお客さんに提供し、豚肉が食べられない私の分の鶏肉パッガパオは引き続きもう一度作ることにしました。
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もう一度最初からギップさんにくっついてバジルと鶏肉の炒め物を一緒に作りました。
私が「写真を撮りたいから綺麗にもってもいい?」というと、
ささっと人参でニコちゃんマーク、
そして、キュウリで耳を作ってくれました!うさぎです!
目玉焼きは、月か太陽か!?
いつもお子さんにこうやって作ってあげているのかなぁと思わせる
手際の良さでした。
さて実食の時です。
私は店内のギップさんの近くの席に座り食べ始めました。ギップさんは次のお客さんの食事に取り掛かります。
すると、そこへやってきた新しいお客さんが
「どんなメニューできるの?」と聞いてきましたが、
(※ギップさんのお店にはメニュー表がなく、みんな思い思いのメニューを〇〇できる?といった感じで注文していくスタイルです。大概なんでもできるみたいです!)
私のバジルと鶏肉の炒め物を見てか、香りに誘われたのか、
「バジルと鶏肉の炒め物お願い!」
と注文していました。
すごいです。やはりギップさんの言うとおり、
パッガパオが仕上がった時の、ぱっと見の印象と香りは大切です。
炒めたバジルと香ばしいソースの香りに胡椒の香りがふわっと漂っています。
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どうでしょう。パッガパオを他で食べたことがある人はこのギップさんのパッガパオを見て違いがわかりますか?
一般的なパッガパオとだいぶ違うんですよ。
食感の楽しさ、甘すぎず、しょっぱすぎず、辛すぎず、香りがいいパッガパオです。
美味しいー。
清潔な味
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花の部分をとっておき、もう少し成長させて繁殖用に保存しておきます。シードバンクです!
さて、ギップさんに感謝してガパオ=バジルをたっぷり持ち帰りました。
ギップさんに言われたとおり、私も自分でバジルを育てたくなりましたが、今の我が家には狭いバルコニーしかありません。
これは引っ越すしかないな!
と言うわけで、今、本気で引越し先を探しています。
ともあれ、とりあえず今はまずギップさんにいただいたワイルドバジルのタネを保存しておくことにしました。
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ギップさんと調味料のお話をした時に、
「調味料のバランスは、本当に自分の好きなバランスにしてね。種類はこれ、バランスは自分だから。」
と言うことで、ささっとおおまかな分量を教えてもらっただけです。
ギップさんの使う調味料のブランドは私が使うものとは違うからです。
これからギップさんの味により近く、でも私の味に仕上げる練習です。
翌日に作ったバジルと鶏肉の炒め物は美味しかったけれど、ちょっとしょっぱく仕上がってしまいました。それでも家族には好評でした。
これを基に、また次の日も作ります。
こんなバジルと鶏肉の炒め物を習った話を、私のクライアントの一人に話したところ、大変興味をもってくださって早速そのクライアントにも作ることになりました。
嬉しさ半分、まだ”完全には自分のものになっていない”レシピだったので緊張もしました。と言うのも、そのクライアントにも合わせた味付けに仕上げるのが私の仕事だからです。
それが本日のランチ。
今回は、クライアントのランチの時間が仕事の上がり次第だったので、いつでも食べられるようにタッパーにそれぞれ入れてデリバリーしてきました。
夜にクライアントが私に送ってくれた写真です。
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クライアント自身の個人的な味の好みに関する率直な意見もいただきましたが、結果は良かったです。ホッとしました。
いいバランスの味付けだとおっしゃっていただけました。
一番嬉しかったことは、クライアントご本人も”とても清潔な味”と言ってくださったこと、そしてこの料理を食べているクライアントの横でたまたま見ていたそのパートナーさんが「とても清潔そうなバジルと鶏肉の炒め物だね」とコメントをしてくれたと言うことでした。
タイ料理ですから、特にタイ人の方に美味しかったと言われるとそりゃ嬉しくなります!タイ人にももちろん色々な好みの味がありますし、色々なバジルと鶏肉の炒め物のスタイルも実際にあります。
ただ、
清潔な味って想像できますか?
私はタイに来る前には全く考えたことも、聞いたこともありませんでした。
円を想像してもらって、
ちょうど中心の味。
そのメニュー自体の特徴を真ん中にしっかりと保った味。
作り手の好みを出しすぎない、
食材を誤魔化さない、
私の中では、きっと”正直さ”の味のことだと理解しています。
何に対して正直かと申しますと、
作り手自身に対してと、
作った食を提供する相手への態度だと考えています。
ギップさんの作る味は清潔な味です。だから好きなんです。
彼女の使っている調味料は、どれも一般的などこででも買えるもの。
でも、例えばパッガパオの主役であるバジルは、
自分で育てることで、
摘みたての柔らかくて一番美味しい状態で提供できる、
一皿、一皿、色のこと香りのことをちゃんと考えて作るバランスの料理。
一瞬、当たり前のことのように思われるかもしれないのですが、
これをかなりの低価格で、一人きりで切り盛りして
10年以上も続けるのって、すごいことだと思うんです。
多分、
正直に向き合い、
清潔な味が出せるから、
続けられているんじゃないでしょうか。
クライアントにこのパッガパオに対してとても良いフィードバックをもらった時はギップさんに伝えたくなりました。
ギップさんのパッガパオレシピ、美味しいって!
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