蛍を見に行ったらショックを受けて帰ってきた、この後の意外な展開
梅雨、蛍を見に行く。が、心に傷を負って帰ってきた。今日は、なぜそんなことになったのかをお話ししよう。
地元ではちょっと知られた蛍の出現ポイントへ行ってきた。私たちが着いた頃には先におじさんがいて、写真を撮って帰っていった。その次に、小学生の兄妹の親子連れがやってきて、なんだか騒ぎながら、虫取り網で蛍を次々捕り、虫かごに入れていた。
しばらくしてすれ違うと、カゴにはわんさか蛍が入っている。ざっと20-30匹といったところか。カゴがホタルで明るく光っている。「とれた!またとれた!」と、子どもたち。父親らしき男性。
その場所は川と草木が道から近くて、近くで蛍を見ることができる。近い分、手を伸ばさなくても簡単に捕れる。止まっているメスの蛍も、飛ぶオスの蛍も、難なく捕れる。
娘:ほたるさん、たくさんとって、かわいそう。
ほたるさん死んじゃう!かわいそうだよ。放してあげて欲しい
私:そうだね。あれは捕りすぎだね。ほたるはお外の方がいいだろうね。
私と娘が話すのを、聞こえていそうだが知らんぷりで捕り続ける親子。
なんだこいつら、鉄のハートか?
なんてメンタルが強いんだろう。
普通自分たちよりこんなにちっちゃな子どもがこんなに泣きそうになりながら悲しそうに言ってるなら、ちょっとは離すだろうよ。。と思いつつ、通り過ぎた。
少し離れた場所で蛍を見ながら歩いていると、
娘:ほたるさんかわいそう。うーちゃんもほたるさんとったけど、すぐ帰してあげたよ?でっかいほたるさん(源氏ホタル)はすぐ死んじゃうよ。ほたるさん、帰してあげてほしい。
私:そうだね。
ほたるさん放してって言ってみたら?
娘:いやだ。恥ずかしい。カカ言って?
私:えー、でもカカはもう大きいからさ、小さい子が言うから効くんだよ。大人が言ったって、「あーはいはい、うるさいな」ってなるだけだもんよ。
娘:でもうーちゃん言うの恥ずかしい...
うーーん。
そうよねー。言いづらいよね。
わかるわかる。
でも、あれはいくらなんでもやりすぎだ。
蛍を捕って帰さないのは、他の人が綺麗な光景を見て楽しむ時間を奪う、たくさんの蛍を独り占めする、次の代の蛍を産めないから蛍の量が減る。ついでに他にも同じことをする人を誘発する。
どれも腹が立つ。
そもそも、捕りすぎたらあかんことを教えるのが親やろ!どういうこと!?
自分さえ良ければあとはどうでもいい。知ったこっちゃない。それはあかんやろ。
”親として” 私はそれをスルーする姿を娘に教えたくなかった。
もしこの先、嫌なことに出くわして、嫌だと思っているのに言わないとか、見なかったことにするとか、その時は何も言わずに後で言うとか、
そんな姿を教えたくないなと思った。
そして、なんか自分に負けた気になって後でモヤモヤするとか、そうなってほしくはないなぁと思ったのだ。(もちろん、トラブルを避けるのは大事だけど、やばい匂いも嗅ぎ分けて、これはいける・いけないを判断しながらね)
子どもは親の背中を見て育つと言うけれど、親がどんな姿勢でいるか、近くで見ているからこそ、スルーしたくない。そう思った。
だから、言いに行きました。娘のためと言うより私のために。私が後で言わずに後悔するのも嫌だったから。
私:それ、捕りすぎじゃないですか?
減るし、普通に。
男性:観察したら返すんで
男性はこっちを見もしない。子どもたちは無言。
全身で明後日の方向を向きながら、はぁ?うざいなって態度で答える男性。
うん?今観察して後で(ここで)帰すってこと?と思い、
私:ふーん。そうですか
ほんまに帰すんか知らんけど!
最大限の嫌味を言って後にしたが、そのすぐ後に親子は車で去っていく
私:はぁ!何あれ!帰さへんやん!
うそつき!!
叫んだ。
次に来て止まっていた車も、なにやら虫取り網を持った男性が車に虫かごを乗せるところが見えた。私は、
なにここ、網持ったやつばっかやん!腹立つ!
と、大きな声で言ってみたが、効果なし
去年はそんなことなかった。
見にくる人はいたけれど、写真を撮るだけだったり、カゴも網も持っていない人たちが、ふらっと散歩に見に来て帰るだけだった。たまたま止まった蛍を娘に渡してくれた人もいた。(もちろんすぐ飛んでいったけれど)
いい場所だなぁ、と思っていたのに、何だろう、この有名税みたいな状況は。
腹が立って、悔しくて、もやもやしながら帰ってきた。
娘は蛍の大量捕獲にショックを受け、私は「蛍を解放する」結果が出せなかったことと、もっと言えず変に自分にバレーキがかかってしまったこと、毒づくことに慣れていなくて、どう言葉を出したらいいのか、上手く出てこなかったもどかしさでモヤモヤ。
あぁ、京都人(最強の嫌味で人の心にダメージを負わせる達人←褒めてる)を召喚したい。
あの人たちなら、スパッとズバッと、直接的に攻撃的な言葉ではないのに、最大級のえぐりをかますことができたはずだ。そのスキルがすごい。
自分にブレーキがかかったのは、私も蛍の生態やその他のことについてよく知っているわけではないのに、という知識不足からなる。なのに言ってもいいのだろうか、という、迷い。
なんだか中途半端でやりきれない。
蛍のことも詳しい毒づきのエキスパート(夫)に話をきいてみよう、と、帰り道、娘に話した。
私:あれはどう言えばよかったんだろう
夫:シンプルに、信じられない・引く・口に手を当て驚愕した顔で、「サイッテーー」って言って通り過ぎるのも効くよ。これは、女の人じなないとできんから。
夫:「あらー!蛍とってるの?たくさんとれたねー♡ ん?観察? あー、この子達は子孫を残さず死んでいくのね。その死にゆく様を見て楽しむんだー。さ、あっちの未来のある蛍を見に行きましょ」くらい、嫌味かますとかな。
最初は普通に入ってって、あっちを上げんねん。で、ドンと下げる。
私:あー、入り方から失敗しちゃったわけか。
粘れないのよ、そーゆーの慣れてないから。何て言ったらいいのか、言葉が出てこない。
高速道路の合流のごとく、はじめはすーーっと沿って合流し、「すごいねー!」と上げ、下げる。
この、”平行からの上げ”が欠けていたわけだ。
はー、なるほどなるほど。
でもきるかな、私に。
そんな話をよそに、何やら娘が絵を持ってきた。
娘:ほたるさん、いなくなったら悲しいから、かいといた。
私:ほたるさんかいたんだ!
娘:うん。
その日、娘は「かいてから寝る」と言って、
お絵かき用紙20枚を繋ぎ合わせた、超大作を生み出した。
端まで写りません!
今までで一番大きい作品となった。
そう、娘は悲しみ・やるせなさ・憤りのエネルギーを、絵を描くことで消化していた。なんて平和的な方法なのだろう!
描くことで解毒し、自己治癒していたのだ。
毒づき方を聞いていた私の横でw
素晴らしいです。
なんか恥ずかしいです。大人として。
その感情エネルギーを良い形で放出していたのね。それを自分で編み出して行動に移していたわけね。流石です。
素晴らしい解決法と、娘の成長を見せていただきました。
母は嫌味スキルの知識幅を増やしました。
(次に活かせるかどうかは謎!)
記録して、「あの時うーちゃんがほたるさんの絵を持ってきてくれた時、すごい!ってびっくりしたんだよ」って話してあげようと思っています。
その自分で編み出した解決法がとても素敵だったと。母は驚き、おののき、感動したと。
時に「そっとしておく」ことで、勝手に自分で成長していくのね(泣)という学びでもありました
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