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「喜嶋先生の静かな世界」

初めて「森博嗣」さんの作品を読んだ。
ミステリーを主に執筆されているようだが、たまたまBookOffで自伝的小説を見つけたので、表題の作品から入門することにした。
(そもそもだが、著者がどういう考えや価値観を持っているか、どのような経験をしてきてたのが、凄く気になるタイプなので、この作品はドンピシャだったと思う。)

タイトルにもある通り、「喜嶋先生」が自分の強い信念を持って生きている姿がかっこよかった。知る人ぞ知る偉人。頂上にたどり着いた人だけが理解できる、その人の本質。かっこいい。
他の人から見たら人の心が分からない、あの人は変だと言われそうな人こそ、自分なりの信念があるように思える(私とは正反対だから、無いものねだりで憧れるのだろうか…)

喜嶋先生の言葉には、本質が多く捉えられていたと思う。研究者でありつつも、その考えは民間企業の人にも通づる部分がある。(もともと理系出身だから、共感できる部分が多かったのもあるが、民間人として働いている今でも共感できた)やはり何事も、共通点がありそれを抽象化することができるといいな、と個人的には思った。

共通点を抽象化するという点で言うと、どうやら私は「大学教授など、アカデミックな人達が描いた作品が好き」という共通点があるようだ。「原田マハ(元MOAキュレーター)」「鎌田浩毅(京都大学名誉教授:火山、地球変動学)」「森博嗣(工学博士)」あたりが好きだ。
※というかそもそも、小説を書く人の多くは、京大や東大卒などの人が多い気がしている。もちろんそういう出身ではない人の本も沢山読むけれども、必然的にそう言う出身の人の本が好きになる傾向がある。

私はこの共通点を抽象化したい。この本の文章にそのヒントがあったような気がする。

なにか一つの専門分野を極めつつある人は、自分とは違う分野についても、かなり的確な質問ができるし、有益なアドバイスもできる。僕はまだよく分からないけれど、大学の先生と言う職業が成り立っているのは、こういう原理だと思える。

他の著者が全く当てはまらないと言うわけではないが、やはり、思考が上品でまとまりがあり、深く、その人なりの哲学を持っている気がする。
また、一つのことを極めていくと、もちろんその分野でしか通じない専門的な部分もあるが、どこかしらで違う分野でも繋がりがあるような気がしている。その繋がりから普遍性が出てくるのではないか。
そうすると、専門的分野を知りつつ、全体の本質も掴めると言う、素晴らしい思考が出来上がる気がする。誰でもできないことだからこそ、憧れるのだろうか。


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