見出し画像

藤井風さん「死ぬのがいいわ」 どの国で聴かれてる?Youtubeデータから分析する

アジアで人気とされる「死ぬのがいいわ」。藤井風さんYoutube動画へのコメントが何語で書き込まれているかを解析して可視化してみると、従来に比べて外国語比率が3倍ほどに増えている様子が見えてきました。

(2022年12月23日追記):
NHK紅白歌合戦2022での藤井風さんの曲目「死ぬのがいいわ」発表に伴い、当noteへのアクセスも増えています。この曲がグローバルヒットするに至った背景を分析した記事はこちらもお読みいただくのがおすすめです。

3月にSpotifyのビッグデータを分析して書いた藤井風さんの聴かれた方に関する記事は、想像以上にたくさんの方に読んでいただきました。

個人的にも非常に注目しているアーティストさんですが、8月に入って公式Twitterアカウントで次のツイートが投稿されました。

藤井風さんは以前から海外でも聴かれているとされていましたが、ここまで目立った動きは今回が初めてかもしれしれません。

3月に当研究室で行ったSpotify視聴データ分析を今行うと、また違った結果になりそうですが、まずはもう少し簡単にできる分析をやってみたいと思います。

手始めにGoogleでの検索推移を見てみましょう。漢字での「藤井風」の検索と、ローマ字での「fujii kaze」検索の、直近1年間での比較です。

ご覧のように日本国内からの検索が中心と考えられる「藤井風」での検索数は、NHK紅白歌合戦があった2021年12月26日週に爆発的に増加し、その後は落ち着いた推移を見せてみます。

いっぽう海外からの検索も多く含まれると考えられる「fujii kaze」の検索数は、紅白のタイミングで少し増加を見せていますが、それより遥かに顕著な水準で今年8月に入ってから爆発的に増加しています。

ちなみにこの二つの検索ボリュームの最大値である「100」は「絶対値」でないので、ローマ字での検索は検索での漢字検索に比べてまだまだ少ないのですが、少なくとも海外からの関心が8月に入って急激に増大していることは間違いありません。

ではその海外からの関心はどのような国から高まっているのでしょうか。同じGoogle Trendsのデータから地図上に可視化してみましょう。

トップは、マレーシアと南シナ海に囲まれた小さな国、ブルネイです。三重県ほどの人口に43万人の人口が住み、豊富な地下資源に恵まれた国のようです。

次いで高いのは、カンボジアやタイ、香港といった国々です。

東南アジア圏からの検索が多いようですね。

では次に、Youtubeでの「死ぬのがいいわ」動画のコメント欄の「外国語比率」を分析してみましょう。

膨大なコメントを定量的に扱うため、Youtube動画のコメント全件のテキストデータを取得し、コメントごとにそれが何語で書かれているかを判定していくプログラムをPythonで組みました。

まず比較対象として、「藤井 風 - "きらり" Official Video」のコメント欄を分析してみます。

こちらの動画は2021/05/21に公開され、現時点で7千万回も再生されています。すごいですね。

この動画は、日本語比率が87.4%なので、外国語比率は12.4%ということになります。他にも藤井風さんのYoutube動画をいくつか分析してみましたが、大きくは変わらないようです。

この12%という数字は、他のアーティストさんの動画も含めて考えると、ものすごく高いというものではないと考えられます。

一方、「藤井 風 - "死ぬのがいいわ" Live at 日本武道館 (2020)」はどうでしょうか

こちらの動画は2022/08/23に公開され、現時点で139万回再生されています。

おお…全然違いますね!外国語比率は100から日本語比率61.3%を引いた、38.7%でした。

そのうち英語が18.7%と最多を占めます。

他にも東南アジアからはタイ語やベトナム語、マレー語なども入っていますが、構成比は決して高くありません。

このことからこの動画は、アジア以外の英語圏からのコメントが多いか、もしくはアジアの中でも香港やタイといった国々の中の英語が読み書きできる方々がコメントしているケースが多いと考えられます。

そしてそうしたコメントが、従来に比べて3倍ほどに増えている。

いずれにしましても、今までの藤井風さんの動画のコメント言語構成比と比べると、非常に外国語比率が高く、それは国際感覚の高い英語話者によって牽引されている可能性がある、ということなります。

(以上はもちろん藤井風さん運営チームさんもYoutubeの管理画面のアクセス解析機能で、おおむね近い傾向として把握されているはずです。)

当研究室が把握している限り、日本語の楽曲が海外のリスナーに広がるケースは、鈴木雅之さんやAdoさんのようにアニメーション作品に起用されている場合や、シティポップのように、長い時間をかけてジャンルとして再発見されているケースがあります。

今回の藤井風さんの「死ぬのがいいわ」はそのいずれにも当てはまらず、TikTokがきっかけとなって瞬間的に海外に広まっているようです。

藤井風さんは英語での歌唱も見事ですが、ほとんど日本語で歌われているこの曲が、海外のリスナーに発見され、愛されるというのは本当に素晴らしいことですね。

今後の展開が楽しみです…!

以上、徒然研究室でした。


トップ画像はお絵かき人工知能Stable Diffusionで生成した画像に、当研究室作成のグラフを合成して作成したものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?