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はしる、のぞみ、やまびこ①

思えばここ数年は地縛霊のように東京という地に縛られていた気がする。
旅行したいなーと思いながらもドタバタな日々はつづくし目先のお金ばかり見てしまうから旅行っていう選択肢はハードルが高かった。
某プロジェクトの色校立ち会いで、2週間のうちに3回も出張が入った。
知らない場所や慣れない環境に飛び込むのは苦手だけど、出張は仕事を大義名分に期間限定の別世界を味わえるのがいい!(しかも会社のお金で)
まず、新幹線ってワクワクする。
道民からすると新幹線はあまり親しみのな
い移動手段。飛行機の方が早いし。
さて、第一の行き先は枚方市。
枚方に出張に行くんだよ、というと大体「あー、枚方パークの」と、言われるあの枚方。
私は知らなかったんだけど、枚方パークってなんでそんなに知名度高いんだ…
枚方や仕事の目的はさておき、経由地の京都観光を何より楽しみに枚方に発った。
新幹線に乗り込む時にはどんなに急いでいてもワクワクな遠足気分でおにぎりを調達したい。
ドキドキしながら席について、テーブルをセットして、変わり始める窓の外の景色を眺めながら頬張るおにぎりは最高においしく感じる。
出張初日のお供は、卵焼きめんたいこおにぎり。
最近おかずも一緒くたににぎってみました系おにぎりって増えてる気がするなー。
箸いらずでまるっとほおばれる包容力のあるおにぎり、いいなぁ。
特別感があるし、卵と卵なんておいしいに決まってるんだよ!

浮き足立ちながら京都に降り立つ。
10年以上ぶりの京都。
日々半径数10キロメートル圏内で日々を過ごしている身としてはタイに訪れたくらいのインパクトがある。
枚方に向かう在来線に乗り換える途中、お茶やチョコレートなどを買いに駅内のコンビニに立ち寄ったら、店員の女の子がわざとらしいくらいの京都弁で対応してくれて興奮する。
4両しかないガラガラ全席指定席という謎の特急にのって枚方に向かった。
枚方市駅に降り立つと、季節を間違えたのかってくらい暑い。
見知らぬ土地でクライアントの姿を見つけてホッとする。
迎えに来てくれた印刷会社の営業のお兄さんが運転する車で印刷所へ向かう。
印刷所は町工場と言った感じで、古きよき味のある応接室に通してもらう。
最近、客先でお茶を出してくれると言ってもペットボトルが出てくることが大半だけど、
事務員のお姉さんがガラスの湯呑みに入った冷たい煎茶を出してきてくれてジンとしてしまった。
おいしい。
印刷の工程については明るくないけれどあーだこうだ面倒くさい注文を職人さんにお願いし、
なんとか1つめの色校正を無事に終えた。
職人さんのつなぎや手のひらに染み込んだ色とりどりのインクが印象にのこっている。
ありがとうございます。
そんなこんなで立ち会いを終え、いよいよ京都へと向かう。
クライアントと、誤って鈍行に乗ってしまい予定外の長旅となってしまった。
道中、取り止めもない話をする。
異常なくらいデザインへのこだわりが強い方だと感じていたが、お風呂でもシャンプーのラベルをずっと眺めては粗探ししているらしい。こわい。
仕事では尖った一面もあるけれどやさしい二児のお父さんだと知り、微笑ましい。
一生出会わなかったかもしれない人とこうして遠く離れた土地で、電車に揺られているのはなんだか不思議でたのしい。
クライアントと別れて、祇園四条へ向かった。

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