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つれづれつづり

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それぞれ、おのおの、つれづれにつづります。
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2019年8月の記事一覧

からむ手/からませる手

高校時代、先輩に恋をしていた自分は叶わないことがわかっていた。 だからそれを恋だと思わないようにしていたんだろう。 熱く重い恋でしかなかったのに。 大学に入ってローンを組んで買ったパソコンがゲイの道を大きく切り開いてくれたといっても過言ではない。とはいえ意気地のない自分は、ネット上でやり取りはするものの実際に会うのに躊躇していた。当時の自分に言ってやりたい。何ビビってんだ。その真面目な仮面をかぶった臆病さが自分を滅ぼすことになるぞ、と。 「初めての相手は好きな人としたい。

自己肯定感が低い人の恋バナ

愛の部分はさておき、恋の部分の話ならできそうな気がする。 僕にとっての恋愛が、「そんなものは無いのである。」からのスタートだったのは前回書いたとおり。 それでも何度か恋をした経験があるのはやはり本能と言うべきものなのか。 恋をして、「そんなものは無い」と蓋をしようとして、蓋ができた恋とできなかった恋、それと蓋の存在を忘れていた恋がある。 蓋ができた恋は中高生の頃の恋。 同級生、先輩、後輩…アラいやだ、思い返せば恋多き女だったな。 でも全部なかったことにして蓋をした。 腕か

きみなき世界

性的対象である以前に友人であるということ 友人であるが性的対象にもなるということ ストレートの「オトコとオンナの友情は成立しない論」とまではいかながいが、ゲイにもどことなくこれに近い危うさはあるのかなと感じたりする 似たスタイル・ファッションをしたゲイの集合写真を見ると純粋な友情じゃないこともあるよなと邪推したり、一緒に遊ぼうよと紹介された友達の彼氏が過去のワンナイトラブの相手だったりとか でもまぁ恋愛観なんて千差万別 私には私の価値観があるからそれを否定さえしないのであ

ゲイの恋愛観 - その2

つれづれつづり、テーマ「恋愛観」の第2回目です。 「ゲイの恋愛観がノンケと異なる3つの理由」の2つ目について書きます。 1.日常生活における出会いが無い 2.結婚という公的・法的な結びつきが無い 3.子供を残せない 結婚という公的・法的な結びつきが無い 20代後半の頃、同期の結婚ラッシュで毎月のように結婚式に行っていた時期がありました。 僕は涙もろい方なので、いつも挙式で泣きそうになってしまいます。 披露宴で新婦が親に読み上げる感謝の手紙よりも、挙式の方が個人的には胸に刺

水槽のハゼ

こんにちは。つれづれつづりシーズン2、恋愛観の第2回目をお送りします。 今回触れる自分の恋愛観は、ゲイエリアに出入りするようになり、初めて男性とお付き合いした時に醸造されたものと言いたいところですが、むしろ抑圧していた本質かもしれません。それまでの、生きる環境が頻繁に変わる経験が、ヘンテコな生存戦略を生んでいたのでしょう。 ハゼが首都圏に出てきて、大海原を目指して取った行動は、新宿二丁目で、店名の印象だけを頼りに、下調べもせず単体で突撃するという暴挙。今でも時々「自分はバカ

恋愛観:破 ジンクス

 恋愛観第二回。前回は初めて付き合った人と初めて告白した人のお話でした。今回はその後の事を絡めて恋愛観についてつづっていきます。  それから2、3人ほどお付き合いをしましたが、一瞬で別れたり3年で別れたり悲喜こもごもでした。いくつか恋愛を重ねても根幹にあるのは「嫌われたくない」でした。どれだけ熱烈に愛されても、本当には信じられません  どこか疑っていて、いつも怯えていた。そういうのは相手も疲れてしまいますよね。『そういうのウザい』と言われ振られました。そらそうだ。  そん

私が死んでも代わりはいるもの。

 たくさんの同級生を好きになった高校時代は、ゲイである自分を受け入れるため、ゲイとしての活動を開始した時代でもあった。わざわざ地元ではなく、繁華街の大きな本屋にゲイ雑誌を買い求めに出向き(今思えばゲイ雑誌の存在はどうやって知ったのだろう)、寮の部屋は二人部屋だったので、相方がいない隙を狙って隠れて読んでいた気がする。今は無き雑誌の文通欄を使い、自分以外のゲイの人と会った。何度かやりとりして初めて会ったのは、自分が住む町から300kmほど離れた町に住む、教師をしている年上の人だ

モノガミス『ト』スミガノモ

私はモノガミストだ。 モノガミストと言うとセクシャリティに関係なく一瞬眉をひそめられる。 いいイメージがないのだろう。わたしにとっては半分正解。 でも若かりし頃にふとおもったことがある。 わたしは本当にモノガミストなのだろうか? 欲しかったのは本当は1対1の関係性だったはず。 なのにいつの間にか”相手から絶対的で不変な愛情が欲しい”に移り変わってしまったのではないだろうか、と。 その頃のことはあまり思い出したくはないのだが、嵐を起こしてすべてを壊す、あなたを殺して私も死ぬ

恋とか

 彼は僕に向かって言った。 「根津ってかわいいよな。…………」  唐突にして予想だにしない彼の言葉になんて返して良いのかわからなかった。  …………  …………なんて返そう。 「…………僕、野田の事が好きなんだけど」  …………     高2のクラス替え。始業式、座席は出席番号順。僕の後ろに君はいた。名前は野田(仮名)。後ろの席から「根津(仮名)〜」と絡んでくる。彼は僕をゲイだと気づかせてくれた人。人生のターニングポイント!(古語)  なんで好きになったんだろ