モノガミス『ト』スミガノモ

私はモノガミストだ。
モノガミストと言うとセクシャリティに関係なく一瞬眉をひそめられる。
いいイメージがないのだろう。わたしにとっては半分正解。

でも若かりし頃にふとおもったことがある。
わたしは本当にモノガミストなのだろうか？
欲しかったのは本当は1対1の関係性だったはず。
なのにいつの間にか”相手から絶対的で不変な愛情が欲しい”に移り変わってしまったのではないだろうか、と。

その頃のことはあまり思い出したくはないのだが、嵐を起こしてすべてを壊す、あなたを殺して私も死ぬわテイストの恋愛をしてきた。
わたしがアナタを好きかどうかは関係ない、あなたがわたしを好きかどうかが重要だ。

思い返しただけでも恐ろしい恋愛観だったな、と。

大半の付き合った人の名前が思い出せない。
わたしがしてきた恋愛とはそういう恋愛だった。

ゴールが「お付き合い」なのだ。
テープを切った瞬間から（あれわたしこの人となにをしたいんだっけ？）とハテナが脳裏を蠢く。

さもあれお相手もそれにふさわしいくらい豹変するような人だった。
愛の重さを勘違いしているような人や、痛めつけることで愛を確かめる人や、ただの道具としてわたしをみる人や、不特定多数のうちの一人だとおもってる人や。
こんなわたしにはお似合いだったなぁと思う。
ただひたすら我慢すれば去っていく。
それまではわたしには『彼氏持ち』という称号が得られたのだから。
モノガミストには最高の称号だろう。

それでも大切にしてくれる人がいなかったわけじゃない。
ただ（どうしてこんなわたしを好きでいてくれるの？）という不安に自分が押しつぶされてしまう。
そうすると試してしまう。
きっとわたしのことはそこまで好きじゃないんだという思い込みの観念に負けてしまう。

恐らく、きっと、わたしを心底愛してくれた人たちは、二度とわたしに会いたくないと思う。
若かった自分の代わりに謝れるならいまのわたしが土下座して謝りたいとおもう。

幸せだといいな。
あんなにも優しかった人たちが、とにもかくにも、幸せだといいな。

そう願ってやまない。