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出せなかったラブレター

拝啓 君へ。

部屋の引き出しからかわいい便箋と封筒を発掘したから、また手紙を書いてみたよ。


と、いうのは言い訳で、どうしても、スマホの上の温度のない字ではなく、手書きの字で、君に想いを伝えたかったからペンを取りました。



元気ですか?私は元気です。


まあ、君が元気なのも知っています。毎日メッセージのやりとりをしているからね。ステイホームで少し気が滅入るときもあるけれど、趣味や仕事に真摯に向き合う君をずっと見てきました。毎日を丁寧に生きている君をよく知っています。

さて、前回の手紙(ラブレターじゃないからね、あれは)ではいつも伝えられない感謝の気持ちを半ば無理やり押し付けたので、今回は私の君への気持ちを、またもや半ば無理やり押し付けようと思う。




隠しているわけでもないから君も重々承知しているだろうけれど、私は君が好きだ。

これまでに何度も告白して、何度もきっぱりと断られているので今回の答えも分かってはいるが、君が好きだ。


自分なりに、いつから君のことを好きなのか少し振り返ってみた。なぜ、君のことを好きなのかという理由も。


正直にいうと、君の第一印象は最悪だった。仕事はできるが、私への注意はいつも的確かつ厳しかった。今思えば仕事上では誰に対しても君は公平に接していたし、ミスを連発する私が悪いのだが、当時の私には「絶対この人に嫌われている」という考えしかなかった。だからこそ、触らぬ神はなんとやら、君を知ろうとする以前に、出来るだけ君と関わらなくても済むよう一方的に距離を取っていた。


最悪だった君への印象が変わったのは、いつからだろう。酔うと意外とかわいいことを知ったから?音楽の趣味が合うことを知ったから?精神的に不安定になりやすい私が欲しい言葉をくれるから?

どちらにせよ、気づいた時には、「君が考えているよりも好きだよ」と笑いながら言うには、私の内側で君への感情が育ちすぎていたみたいだ。




でも、君には恋人がいる。



この状況下で、お互いを大切に思うからこそ、会わないという選択をできるほど大切に思っている恋人がいる。


きっと、その彼女よりも私の方が君と一緒にいる時間は長いだろう。会えなくても頻繁に電話やメッセージのやり取りをしているし、こうやって(一方的ではあるけれど)手紙も書いている。でも、そんな物理的な比較なんてなんの足しにもならないくらい、私と彼女の間には大きな違いがある。



君の恋人か、そうじゃないか、だ。



まあ、このことに関しては、気長に考えるしかないね。もしかしたら、いつの日か君が私のことを選んでくれる日がくるかもしれないし、こないかもしれない。


君も知っていると思うけれど、私はしつこいよ。ネバーギブアップ精神。



と、ここまでツラツラと私の想いをつづってみたけれど、改めて告白するのは恥ずかしいですね。


この先どのくらい君の一番近くにいることができるかわからないけれど、私は君のことを愛おしく思っているし、尊敬している。幸せになってほしいといつでも願っているし、同時に、君と幸せになりたいとも思っている。


この手紙をもらった時、君はどう思うんだろう?いつもみたいに困ったように笑って抱きしめながら「早く違う人と幸せになりな」って言われるかな。それとも、いつもみたいに大切で愛おしくてしょうがないような切ないキスをしてくれるのかな。


これだけは確かなのは、まだまだ君を諦めてあげれなさそうだってこと。


いつもありがとう。これまでも、これからも、大切に想ってます。


p.s. 誕生日プレゼントに何か買ってくれるって言ってたの、すごく楽しみにしてたのに、まだもらってないよ。待ってます。


敬具


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