ミツカンの味ぽんとぽん酢、身体に良いのはどっち?

あなたならポン酢はどっち? 黄色かしょうゆ入りの黒

NIKKEI STYLE(2019/11/10)

今年の9月、ポン酢に関するあるツイートが大反響を呼んだ。妻に「ポン酢を買ってきてね。間違えないでね」と言われ、「ぽん酢」を買って帰ったところ「『味ぽん』でよかったのに」と怒られたというもの。

ツイートとともにアップされた画像はミツカンの「ぽん酢」。酢とかんきつ果汁を合わせただけの、しょうゆが入っていない黄色い調味料だ。だが、妻が買ってきて欲しかったのはしょうゆ入りの黒っぽい方。

しかし、このツイートで多くの人が思ったのは、「そうか、いつも自分たちがポン酢だと思って使っていたのは、味つけポン酢だったのか!」ということではないだろうか。いや、しょうゆが入っていないポン酢の存在さえ忘れていた、という人も多かったに違いない。

Twitterでの投稿をきっかけに論争となったミツカンのぽん酢と味ぽんの違い。

本日は、健康のためにはぽん酢と味ぽんのどちらを摂取すべきか、というテーマでお話していきます。

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健康に気を付ける人は、味ぽんではなくポン酢を選んでください

結論から言いましょう。

もしもあなたが健康に留意していて、この先も病気や要介護状態になるリスクを少しでも軽減したいと考えているなら、迷いことなくぽん酢を選ぶようにしてください。

今から、その理由を証拠となる事実(=エビデンス)をもとに説明します。


まずはじめに、味ぽんとぽん酢それぞれの原材料名を見ていくことにします。


ミツカン 味ぽん(=しょうゆ入りの黒っぽい方)

原材料名

本醸造しょうゆ、果糖ぶどう糖液糖、かんきつ果汁、醸造酢、食塩、調味料(アミノ酸等)、酸味料、香料、(原材料の一部に小麦を含む)


ミツカン ぽん酢(=しょうゆが入っていない黄緑色の方)

原材料名

かんきつ果汁、醸造酢、酸味料、香料

上記の原材料名から明らかなのは、ミツカンのポン酢には含まれていない果糖ぶどう糖液糖が味ぽんには含まれているという事実です。

そして、この果糖ぶどう糖液糖は、健康にとってマイナスに働くリスクが高いことが、エビデンスによって明らかになっているのです。


まずは、果糖ぶどう糖液糖の危険性について見ていくことにしましょう。

現在、食品・飲料の製造に使われている果糖の多くは、トウモロコシのでん粉を原料にした「高フルクトース・コーンシロップ(異性化糖)」なのでさらに危険です。別名、「ぶどう糖果糖液糖」や「果糖ぶどう糖液糖」ともいわれます。
今や炭酸飲料やスポーツドリンク、ノンオイルドレッシング、焼肉や納豆のタレ、ヨーグルトなど、ありとあらゆるものに使われていますが、こうした加工品では繊維が除去されてしまうため、糖分が吸収されやすく、また野菜や果物の果糖と比べて、大量の果糖を摂取してしまうため、メタボリックシンドロームや糖尿病などへと発展しやすくなるのです。
アメリカはキューバ革命によって砂糖不足に陥ったことを皮切りに、砂糖の代替え品としてこの「高フルクトース・コーンシロップ」を用いました。アメリカ政府はトウモロコシの生産を助成金を出してまで後押しし、アメリカの食生活を一変させました。その結果、何が起きたかというと、数多くの病気を生み出したのです。

内海聡著「医者が教える あなたを殺す食事 生かす食事


果物ジュースよりも、さらに注意が必要なのは異性化糖と呼ばれるタイプの果糖です。この果糖の主原料は果物ではなく、安価なトウモロコシから作るコーンシロップ。これを加工すると果糖、ブドウ糖が大量に製造できるのです。
異性化糖は砂糖よりも低コストで製造できるため、アメリカで大量生産されており、日本にも大量輸入されています。
果糖とブドウ糖からなる異性化糖のうち、果糖のほうが多いと果糖ブドウ糖液糖、逆にブドウ糖のほうが多いとブドウ糖果糖液糖と表記されます。

異性化糖という言葉は知らなくても、「果糖ブドウ糖液糖」や「ブドウ糖果糖液糖」という単語を目にしたことはあるはず。コーラやスポーツドリンクなどの清涼飲料水に多く含まれているので、ボトルに貼ってある「栄養成分表示」でよく見かけます。
果糖ブドウ糖液糖は、果糖が多いので「中性脂肪」「AGEs」が生じやすく、とくに太りやすいです。
ブドウ糖果糖液糖は、ブドウ糖が多いので「血糖値の急上昇」「インスリンの大量分泌」を招き、血管とすい臓を傷めつけます。どちらも猛毒といえるでしょう。

江部康二著「内臓脂肪がストンと落ちる食事術

このように、身体にとって非常に危険な存在である果糖ブドウ糖液糖ですが、元々お菓子や炭酸飲料に入っているイメージがあったのですが、鍋の際に使う調味料である味ぽんにまで含まれているのは意外でした。

しかし、今回、原材料をチェックして判明したように、一見健康に良さそうに見える鍋料理を食べる際に、味ぽんを使うことで知らず知らずのうちに果糖ブドウ糖液糖を摂取しているとしたら、これほど怖いことはありません。

そして、果糖ブドウ糖液糖の摂取は、前述の糖尿病やメタボだけにとどまらず、癌や心臓病、脳卒中なども引き起こす原因となるのです。

私たちの体は食べるもので作られていますから、体質に合わない糖質をたくさん食べ続ければ、病気になっても仕方ありません。
実際、世界中で糖尿病が蔓延しています。糖尿病が強く疑われる患者さんは、日本だけでも1000万人を超えており、世界の糖尿病人口は4億人を超えています。
糖尿病だけではありません。日本人の死因の上位を占めているがん、心臓病、脳卒中は、いずれも糖質の取りすぎによるもの。いわば〝糖質病〟なのです。

江部康二著「内臓脂肪がストンと落ちる食事術


実は、がんと糖尿病、がんと脂肪には、密接な関係があります。
糖尿病になったり、肥満になったりすると、がんになるリスクが上がってしまうのです。

国際がん研究機関(IARC)が、平均年齢62〜63歳の4万人を対象に行った調査によると、腹囲が11㎝増えるごとに、肥満関連のがんのリスクが13%上昇することがわかったそうです。

日本でも、日本糖尿病学会と日本癌学会による調査で、糖尿病患者は、がんの発症リスクが約1・2倍になることが明らかになっています。

青木厚著「「空腹」こそ最強のクスリ

このように、癌などの生活習慣病に罹患するリスクが、果糖ブドウ糖液糖をはじめとする糖質にあることが、いくつかのエビデンスにより明らかになっています。

冒頭に登場した、妻に頼まれた買い物で、味ぽんと間違ってぽん酢を買ってきてしまった男性の話ですが、家族の健康のためには、むしろ間違えた方がよかったのかもしれませんね。


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