実は簡単だった、アナログ・レコードでの高音質の見分け方
アナログ・レコードというと、みなさんは、『ええ!?でも廃盤がどうのとか、マトリックスがどうだとか、マニアックそうで難しいんじゃないの?』と思われるかもしれません。
たしかに、アナログ・レコードにおいては、そのマトリックス番号(レコードの中心にあるレーベル面の周りの黒い部分に刻印された番号)や、初盤(オリジナル盤)と再発盤の違いなどによって出てくる音が全く異なります。
でも、レコード・マニアになるのならともかく、単に良い音で聴きたいだけなら、特に面倒なことはありません。
なぜなら、その判定は、全てレコードを販売している中古レコード屋さんがやってくれるからです。
■レコードのマトリックス番号は、店がお客様に対して開示して販売している
中古レコード店で売っているアナログ・レコード(中古品)には、必ず、右上に、その状態や価格を記載した紙が付いています。
そして、その紙には、それらの情報(状態や価格)とともに、かならず、マトリックス番号が記載されているのです。
例えば、次のようにです。
USオリジナル MAT 1/1 SHRINK付き
USはアメリカ盤の略、SHRINK(シュリンク)とはアメリカ盤に特有の、新品の時にジャケット全体をパックしている透明なビニールのことで、SHRINKと書いてあれば、そのビニールがレコードの開け口だけ破られた状態(レコードを取り出すためには、そこだけは破らないといけません)でジャケットに付いたままだという意味です。
(アメリカ盤は、このシュリンクが付いたものの方がジャケットが美しく映え、かつ状態が良いケースが多いため、シュリンク付きの方が値段が高くなる傾向にあります。)
MATはマトリックス番号(以下、マト番)の略で、
1/1は
最初の数字がレコードのA面のマト番
2つ目の数字がレコードのB面のマト番を指します。
したがって、1/1であれば、A面、B面の両方ともマト番が1ということになります。
同じ要領で
2/1であれば、A面のマト番が2、B面のマト番が1
3/3であれば、A、B面両方ともマト番は3ということになります。
また、マト番が2桁(10以上)や仮に1桁でも8や9など大きい番号の場合には、あえてマト番を記載せず
USオリジナル
とか
UKオリジナル
というように、オリジナル盤だという表記のみのケースも多々あります。
このような記載の場合には、
『ああ、このレコードはオリジナル盤だけど、マト番はあまり良くないんだ。』と判断することができます。
それでは、この1とか2とか3とか8や9など、番号の違いは一体何を意味するのでしょうか?
■レコードにおけるマトリックス番号と音質・価格との関係
マトリックス番号(以下、マト番)の意味を専門的に解説し始めると、レコード制作の方法みたいな、非常にマニアックな話に突入してしまう恐れがあり、また、その手の解説はネット中に多数転がっているので、ここでは、マト番と、そのレコードの音質と価格との関係に的を絞って解説していくこととします。
マト番については、次の3点だけ押さえておけばよいです。
・マト番は小さければ小さいほど、音が良い傾向にある
・マト番が1(マト1)が、最高の音質である
・したがって、マト1のレコードは、非常に高価である
つまり、マト1なら、多少高くても音が良いことから、高値でもお客様が購入してくれるため、お店が中古レコードの値付けする上では、そのレコードのマト番がキーになっているのです。
例えば、ビートルズのUKオリジナル盤(UKは、イギリスの略)のMAT1/1の場合には、レコード1枚で、数万円以上の価格がつくことはザラにあります。
逆に言うと、お客の立場からすると、自分でマト番をチェックする必要はありません。
先ほど説明したとおり、店の方で値付けのためにチェックの上、商品説明の紙に記載してくれることから、それを頼りに、マト番の若い(小さい)レコードを購入していけば、自然と高音質で聴くことができる、というわけです。(ただし、支払う値段も高くなりますが…)
ただ、中には、
UKオリジナル
とか
USオリジナル
という記載しかなく、マト番が記載されていない商品もあるので、そういう場合には、カウンター(レジ)に持って行って、『検盤させてください』と頼めば、盤面を見せてくれるので、そこでマト番をチェックすればいいだけです。(店員の人に『マト番はいくつですか?』と聞いても構いません。)
オリジナル盤とリイシュー盤(再発盤)では、当然オリジナル盤の方が音質が良いため、アナログレコードを最高の音質で聴くための方法としては
オリジナル盤の、マト番ができるだけ若い(小さい)レコードを選ぶ(予算の範囲内で)こととなります。
■マト1とそれ以外では価格に雲泥の差が…
もう1つ、中古レコードの値付け(価格)において押さえておかなければならないのは、マト番が1(マト1)のものと、それ以外では、極端に価格が異なるということです。
例えば、同じオリジナル盤であったとしても、両面マト1(MAT1/1)のレコードに対しては数万円の値段が付けられている一方で、マト2やマト3以下になった瞬間に、一気に数千円レベルにまで価格が下落することもザラにあります。
逆に言うと、たとえオリジナル盤であっても、マト1でなければ、リーゾナブルな値段で買える、ということになります。
たしかにマト1の音は全然レベルが違います。
かと言って、マト2以下の音が悪いかというと、そんなことはなくて、輸入のオリジナル盤であれば、少なくともCDよりは絶対に音質は良くなります。
したがって、アナログ・レコードにて良い音を安価に手に入れるためのコツは
輸入盤(オリジナル盤)のレコードで、マト1以外のものを選ぶ、ということになります。
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