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6年の時を経て。野球が我が家に帰ってきた。

小1から高3まで、長男はどっぷり野球漬けだった。
必然的に私の生活も彼の野球中心の生活だった。

最後の夏、高3の夏。
彼が所属していた高校チームは、
チーム史上初の成績をおさめた。
都の予選大会、ベスト16,。
決して強豪校ではない都立高校にとって、
快挙といえる成績だった。

でも。

彼自身には、たぶん、納得のできないままの
幕切れだった。

最後の試合の翌日、彼はすべての道具をゴミ袋にまとめた。

それ以来、甲子園の試合もプロ野球すらも見ることはなかった。


それから6年。

3月から東京に戻ってきた長男が
野球を再開した。
会社のクラブだかサークルだかなんだかに入ったらしい(多分)

自粛やら雨やらで、なかなか活動できずにいたみたいだけれど、
今日、ようやく、試合だったようだ。

私は高3の夏に引退後、
長男が捨てた用具をこっそり回収していた。
ただ単に、母のセンチメンタルなんだけど。

監督やコーチや仲間たちと
費やしてきたたくさんの時間が
染み込んでいるものたちを
捨てることは、
きっと彼なりに断ち切りたい思いがあったんだろうなあと
これも勝手な母の妄想だけれど。

それを一気に捨て去るには、私の心構えも足りなかった。



数年の時間を経て、
また野球に戻ってきた。
社会人となった今
スポーツが彼にとってどんな存在になるんだろう?
想像したら、ワクワクしている。

スポーツの可能性をまた見せてもらえるかもしれない。

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