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《#無垢な泥棒猫》許される情事【ねえ先生】私を“そーゆー目”で見てるの知ってるよ【港区というステレオタイプ】#23才秋

通常の高校のレベルを遥かに超えたような
現代文講義

彼の授業には皆、悲鳴を上げていたし
私もその1人だった

けれど進路の話を進めるなどする中で

人として純粋に

興味を持つようになった

卒業してから親友と私と先生で何回か飲みに行った


気づけば、2人で会うようになって

会う場所も居酒屋からバーに変わり

そしてもう、親友にはこのことは話していない


私は22で、彼は多分......34くらい

私は彼の年齢を今も知らない


私と先生の間にあった本数冊分の距離

毎回好きな本を持ち寄る決まりがあり

好きなことを思う存分話すのだ

そういうのってやっぱり本当に楽しいし、

稀な機会だからこれ以上なく気分が高揚する


でも、どんなに酔ってフワッとした心地になっても

お遊び程度の甘い言葉のキャッチボールが少し加速して

夜闇にまぎれて手を繋ぐくらいだった

先生の掌はいつも、熱を帯びているのにかさついていた



これまでいくら深い関係になっても

内向的性格から脱せず、

心から誰かを愛せなかった私にとって

いつの夜よりも平静を保つのが難しく


また、そうした迷いは

私をとりまくあらゆる不安の輪郭を

おりこうにぼかしてくれた


♦︎脱ぐ前から、最初で最後を予測したあそび


_____とある暮れ。


授業終わりに先生は

スーツのまま車で私の家に来て、

そのまま六本木の薄暗いイタリアンでディナーをした


恋人関係になった、あるいはなりそうな人と

私がしばしば訪れた

もう目を瞑ってでも辿り着ける

ヒルズの真ん中の

東京タワーが見えるところへ

私はその日も訪れた


背後からは決まりごとのような抱擁

想像より強い先生の腕の力に

性欲というものの低俗性をふと感じた

車がそのまま乗せられるエレベーターへ
足早に戻る


車内にて「もう少し、一緒にいたい」って

先生の誘い


お酒を飲んでいないのに

先生の頬が赤く見えたのは、目尻がとろけて見えたのは、

首都高を満たすテールランプに照らされているせいだ


処女のように初々しく

躊躇いの雰囲気をしっかりと纏わせた声色で

「いいよ」と私はそこから意識的にタメ口に切り替えて答えた


車内の暗がりのなか、シンプルだけど
少し丈の短めの黒いワンピースから伸びる自分の足を眺めながら
今、私の横顔、すごく艶っぽいだろうなと他人事のように考えていた

すんなりとホテルに寄り、当然の如くSEXをした

特に印象に残ることはなかったが、

不意に触れた先生の手が想像以上に冷たくて

ふと幻の感覚が薄れたのを

今でも妙にリアルに記憶している 


あと、あの頃教壇に立っていた先生の口から

「可愛いよ。すごく可愛いよ」

とろとろと私の顔に落ちてくる

薄っぺらな言葉が邪魔くさかった


だから挿入するまでの時間に

たとえばどんな風に触れられたとか

全然思い出せない


でも、状況には凄く、凄く興奮した


私は勿論、果てていないけれど

先生は吠えるみたいに、呻くみたいに

生真面目風な顔して、3年前は生徒だった女の膣の中で性にまみれてた


事後、先にシャワーを終えて部屋に戻ると

先生はベッドの上で窓を開け

片足を伸ばして煙草を吸ってた


幹線道路を眺めながら

夜の入り口の冷えた空気も一緒に吸ってる先生の姿は

なんだか凄く健康的なことをしているみたいだった


バスローブを巻いた私を見て気持ちよさそうな表情で

ニコニコしてた

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