活火山と暮らすということ
みなさんの住む町では、火山灰が降ることはありますか?
おそらく、そんな町に住む人は世界的に見てもそんなにいないと思います。鹿児島出身のわたしは、小さい頃から、活火山の桜島が生活のすぐそばにありました。というわけで、生活する町にもよく火山灰が降っていました。今回は、そんな「活火山と共存する鹿児島」の日々の生活をちょっぴりご紹介したいと思います。
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こんにちは。NPO法人つむぐです。
NPO法人つむぐには、まだまだ人数こそ少ないものの、北は青森~南は鹿児島まで、すでに様々な都道府県出身のメンバーが在籍しています。仕事や学校の関係で、ふるさとを離れているメンバーもいますが、時にはそれぞれの出身地に思いを馳せながら活動しています。
わたしも、鹿児島出身ですが、現在は関西の大学に通っています。生まれた時から大学に入学するまで、ずっと鹿児島で生活してきました。18歳で初めて鹿児島以外の土地で生活をはじめたわけですが、ここ数年、離れたからこそわかる鹿児島のおもしろさを実感しています。そして、やっぱり桜島の存在は大きく、日々の生活に溶けこんでいるものの、鹿児島県民の暮らしにたくさんの影響を与えていました。
「爆発」「噴火」に動揺しない人々
「桜島」。
その名前から、たまに単なる「島」だと思っている人がいます。しつこいようですが(笑)、火山です。
桜島は姶良(あいら)カルデラ(南北17 km、東西23 km)の南縁部に生じた安山岩~デイサイトの成層火山で、北岳、中岳、南岳の3峰と権現山、鍋山、引ノ平などの側火山からなり、人口が密集する鹿児島市の市街地に近接している。有史以降の山頂噴火は南岳に限られるが、山腹や付近の海底からも噴火している。(国土交通省 気象庁 「桜島」より抜粋)
安山岩、デイサイト、成層火山…。みなさんも、理科や地学の授業で聞いたことがあるワードではないでしょうか?
地図で見てみると中心のまるい部分が桜島です。よくよく見ると、東側の半島とつながっていますよね。
実は、1914年(大正3年)の大正噴火前までは、桜島は鹿児島湾内の火山島でした。しかし、大正噴火で流出した溶岩により東側の大隅半島と陸続きになったのです。
このような火山が、鹿児島の中心部である鹿児島市街から約4kmという近さで存在しているのです。わたしの実家からも、通っていた小中学校、高校からも、どんなところからでも桜島が見えていました。そして、もくもくと噴煙を上げる桜島を眺めながら
「あ~また爆発してる」
「あっ、また噴火した」
「灰がこっちに来てる」
なんていう会話がくり広げられるのは日常茶飯事。そんなわけで、鹿児島の人たちは「爆発」や「噴火」というワードに対する耐性が異常に高い気がしています。笑
火山灰から洗濯物を守るのに必死
桜島が噴火することで火山灰が降るのですが、桜島の近くで生活している鹿児島の人々は、風にのって遠くまでやってくるこの火山灰に悩まされることも多いです。
火山灰が積もる、目に入る、のどが痛くなる、、、悩みはいろいろあります。いろいろな悩みのなかでも、ストレス度上位に入ってくるのが「洗濯物」。
よく乾きそうないい天気の日に張り切って洗濯物を干し、火山灰が降った日なんかは最悪です。乾いているのに、タオルがザラザラ…ギスギス…。これは、かなりのストレスになります。
そんな鹿児島県民をサポートしてくれるのが「桜島上空およそ1500メートルの風」でした。なぜ過去形なのかといいますと、この鹿児島地方気象台によるこの記述は令和3年3月10日を最後に終わってしまったのです…。この「桜島上空およそ1500メートルの風」で自分たちの住む町に火山灰が飛んでくるか予測していた鹿児島県民にとっては、かなりピンチです。
MBC南日本放送の公式Twitterもこんな感じで大騒ぎ。
しかし、ご安心を!
降灰予報という「噴火後、どこに、どれだけの火山灰が降るか」という詳細な情報により、引き続き“鹿児島県民の降灰と戦う生活”は人間が比較的優位に立っていけそうです!鹿児島県を訪れた際には、ローカルニュースの天気予報を注意深く見てみてください。必ず、桜島のことについて言及しているはずです。
桜島があることでのめぐみ
ここまでのお話で、なんだか桜島を厄介な悪者にしてしまった気がするのですが…決してそんなことはありません。
桜島があるからこそのメリットもたくさんあり、わたしたち人間はそのめぐみを頂いて生活しています。活火山は、地熱や温泉、地下資源などを与えてくれます。そして、厄介な火山灰に関しても積極的な活用が進んでいます。
小学校の時「鹿児島県のシラス台地は水はけがよく、サツマイモがよく育つ」なんていう記述問題を一生懸命解いていた方もいるかもしれませんね。このような火山灰ならではの特徴をいかして、火山灰で魚の水分をとり干物に加工する「灰干し」の技術や、火山灰を焼き固めた加熱調理用プレートといったプロダクトづくりにまで、あらゆる面で大活躍をしています。興味のある方は調べてみてくださいね◎
おわりに
今回は、鹿児島のシンボルである「桜島」についてお話してきました。
活火山の近くで生活し共存するということは、火山灰をはじめ大変なこともありますが、受け取るめぐみも大きいです。幼い頃から、知らずしらずのうちに自然とうまく共存する重要性を学んでいた気がしました。桜島の雄大なパワーを感じたい方、ぜひ鹿児島に遊びに来てくださいね!
最後までお読みいただきありがとうございました!
【参考資料】
気象庁 報道発表「『桜島上空およそ 1500 メートルの風』の記述終了について」
*この記事を書いた人*
はるか
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