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「前橋市アーバンデザイン」を読解くvol.5 第2章:現状の整理
前橋市の再開発計画「前橋アーバンデザイン」(以下MUD)を章ごとに読解いていく。今回は、前置き部分の第2章について。「現状の整理」という事であるが、私も故郷前橋を離れてから30年になるので、相当の衰退が予想されるが、冷静に危機的な実情を受け入れたいと思う。
1)人口・世帯
前橋市全体と比べて、再開発地域の人口減が著しい。高度成長期に商店として開業した事業者が高齢になり、後継ぎが無くシャッターを降ろし、そしてご自身が80歳を越えて施設に移るか、お亡くなりになる・・・そんな状況が想像できる。中心商店街の空洞化はいよいよ拍車がかかり、人が住まずに空き家や空きビルが残る「ゴーストタウン化」が現実になっているようだ。
2)店舗・事業所・住居棟の建築物
「空き家」化も顕著である。200mメッシュで10件~20件の空き家が目視できるエリア(濃い目の青)が多い。特に、区域の上の方にある広瀬川沿いは、特に空き家集中エリアになっている。
※空き家分布
また、事業所や店舗は事業が郊外に流出するなか、長期間空きビルとして更新されずに放置されている物件が多い。特に商店街の真ん中は、昔の賑わいがごっそりもぬけの殻になっている。
※空きビル、空き店舗分布(左:1Fのみ入居、右:1Fも空き)
ただ、最近になってリノベーションブームや市の利活用支援策によりシェアハウスやシェアオフィスとして活用事例も出てきているという。面白い活用法としては学生向けのシェアハウスのリノベーション案件だ。古いテナントビルを学生向けの住所にコンバートしたのだが、家賃が安い代わりに、地域の活動への参加が義務付けられるというもの。良質な空きビルはリノベ可能だが、耐震補強もできていない空きビルが多いのも事実で、リノベすべきか壊すべきか悩ましいところではある。
また、シャッター商店街を逆手に取り、レトロで風情のある古い街並みを映画やドラマのロケ地として誘致することに成功している。昭和風商店街と人通りが少ないことが逆にロケ地として適しているのだろう。でも、昭和風商店街を大切に残しても「世界遺産」になるまでは時間がかかりすぎる・・・やはり、生まれ変わった前橋を「新しいライフスタイルの街」としてロケ地に使ってもらいたいものです。
3)公園・緑地・オープンスペース
再開発区域の中には、特に大きな公園は存在しない。左に「前橋公園」という利根川にの河川敷に隣接した公園があるが、区域外。区域の上側を広瀬川が流れる。広瀬川は利根川から農業用水として引いた用水路であるが、川沿いに柳の木が植えられ風情がある。また、国道と駅前通りにはケヤキなどの街路樹が整備され、表参道くらいの緑感はある。
※公園、街路樹、河川の分布
柳の木が美しい「広瀬川」
前橋駅前の「けやき通り」
「オープンスペース」という名の空き地は、他の地域と同様「駐車場」になっている。前橋市は移動における車の利用率が75%!にもなるので駐車場が多いのはわかるが、やっぱり多すぎ。ま、駐車場という名の「再開発を待っている土地」と考えれば、再開発しやすいとも言える。
※平面駐車場分布(多すぎ!)
4)交通・街路
これに関しては記載が少ない。先にふれたように「自動車大国」なので、逆にそれ以外の交通が脆弱。バスも利用者が少ないので不採算路線ばかり。小型のバスで効率化するも年間3億円も補助金を入れて何とか継続。高齢者には500円分タダのタクシーチケットが配布され、そちらの方が重宝している模様(実父母談)。再開発地域はそもそもウォーカブルにすべきだし、周回コミューターのようなものがあれば良い。郊外から中心市街地への交通手段は別途考えねばならないが、田舎で周りの家も知り合いなんだから、誰かに車で送ってもらったらいいのに・・・
5)文化・歴史・自然・教育
重要文化財などの史跡は少ない。詩人 萩原朔太郎 生誕の地!ではあるが、それ以外はパッとしない。私が住んでいた30年前には「文化」とか「芸術」とは無縁だったが、2013年に「アーツ前橋」という現代系の美術館がオープンし、その場所だけちょっとセンス偏差値が高い。
教育施設は区域内にゼロ。コレでは若い人は来ない。
6)イベント
前橋三大祭りがあるんです!この日だけは、みんな外に出ます。
1月上旬)初市(だるま市)
7月上旬)七夕まつり
10月上旬)前橋祭り(戦後復興祭)
これ以外にも、地元の若い衆が頑張って盛り上げてくれているみたいです。
けやき並木フェス(Street Barとか)
めぶくフェス(ちと文化祭っぽい)
7)前橋市現状まとめ
わかりやすい数字でまとめているようだが、逆にわかりづらい・・・要は「くらしやすい街だけど、魅力が全然理解されなくって、人がどんどん流出しているよ~」ということです!
今回は「第2章:現状の整理」について読解きました。実際に行ってみたら衰退の様子はわかるけど、こうやって数字で出されると、より一層危機感が増しますね。前橋ラバーズとして何とかせねば!
次回は「第3章:民間の意見集約」を読解きます。「市民のべ40人」という非常に少ないヒアリングでよかったのか、しっかりと検証します。お楽しみに~
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